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「でもGeminiが出来るって言ってるから」PMの一言にエンジニアが凍りついた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月5日 更新
「でもGeminiが出来るって言ってるから」PMの一言にエンジニアが凍りついた理由

「技術的に不可能です」と回答した要件に、「でもGeminiは出来るって言ってるからやりましょう」と返された——。
あるエンジニアがXに投稿したこの一文が、数日で1,600件を超えるリポストと8,700件超のいいねを集めました。

AIを日々の判断材料にしている人なら、一度は似た場面を思い浮かべるかもしれません。
この記事では、投稿がここまで広がった背景と、AIの回答をどこまで信じていいのかを調べた内容をまとめます。

先に結論をまとめると:
– 「技術的に不可能」という専門判断を、AIの回答一つで覆そうとした体験談が共感を集めた
– Geminiを含む主要AIのハルシネーション(もっともらしい誤情報を生成すること)率は、測定方法によって数%台から20%台後半まで大きく変わる
– 数字の大小より、「AIの回答をそのまま採用する前に検証する仕組みがあるか」が現場のリスクを左右する

「実績解除」という言葉に滲んだ疲労感

投稿したのは@maigo_nameさんです。
要件定義の場で「技術的に不可能です」と回答したところ、PMから「でもGeminiは出来るって言ってるからやりましょう」と返されたという、それだけの内容でした。
ただ「実績解除」という皮肉めいた言い回しに、似たようなやり取りを何度も経験してきた人の疲労感がにじみます。

投稿には177件の引用と1,600件超のリポストが付き、インプレッションは63万を超えました。

エンジニア界隈で「あるある」として一気に広がった様子がうかがえます。
ただ、この投稿1件だけでは、AIの回答が実際どれくらい信用できるものなのかは分かりません。
そこで、ハルシネーションの発生頻度と、現場での付き合い方を調べてみました。

調べて分かったこと

「誤答率28%」はどこから来た数字なのか

Xでは今回の話題に関連して「Geminiの誤答率28%」という数字も取り沙汰されているようですが、出典をたどると、これはあるブログが独自に100問のテストを行った結果で、公式の統計や論文ではありません。
回答不能・論理破綻を含めると約38%に達したとも書かれていますが、あくまで一つの検証結果として扱うべき数字です。

一方、AIの要約が元の文章にどれだけ忠実かを測る第三者ベンチマーク「Hallucination Leaderboard」(Vectara社運営)を確認すると、Geminiのハルシネーション率はモデルのバージョンによって3.3%(Gemini 2.5 Flash Lite)から13.6%(Gemini 3 Pro Preview)まで開きがありました。
同じ「Gemini」でも、どのバージョンをどんなタスクで測るかによって数字は何倍も変わります
しかもこのベンチマークは文書要約時の事実整合性を測るもので、「この機能は技術的に実現できるか」という判断の正しさを測ったものではありません。
SNSで見かける数字を、そのまま実装可否の根拠にするのは筋が違うといえそうです。

なぜAIの回答は、もっともらしく見えてしまうのか

OpenAIとジョージア工科大学の研究チームが2025年9月に公開した論文では、言語モデルが「分かりません」と答えるより、それらしい答えを返す方が学習の評価上有利になりやすい構造があると指摘されています。
この構造がある以上、技術的な実現可能性を尋ねられた場面でも、AIが自信ありげに「できます」と答えてしまう可能性は十分にあるといえるでしょう。
専門的な判断が求められる場面ほど、回答の自信度と正しさは別物だと意識しておく必要がありそうです。

AIの提案を鵜呑みにしないために、現場は何を確認すればいいのか

Googleが2025年に公表した開発生産性に関する調査レポート(DORA report)では、AI活用によってソフトウェア開発のスループット(一定期間にこなせる作業量)は前年から改善傾向に転じた一方、リリースの安定性については引き続きマイナスの傾向が見られたと報告されています。
レビュー体制やテストの自動化が追いついていないチームほど、AIが増やした変更量を吸収しきれずに不具合が増える構造があるという分析です。

「できるかどうか」の最終判断をAIに委ねてしまうと、スピードは上がってもトラブルは減らないというのが、この調査から読み取れる現実的な結論のようです。
技術的な実現可能性の判断は、AIの回答をそのまま採用するのではなく、専門知識を持つ人が一次情報や検証結果にあたって最終確認する体制が欠かせません。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

この投稿がここまで拡散した理由は、内容そのものの目新しさよりも、「AIの回答」が仕事上の意思決定の根拠として使われ始めているという変化を、多くの人が肌で感じていたからだと考えられます。
共感を呼ぶ投稿の多くは「自分にも心当たりがある」という連鎖で伸びますが、今回はそこに「専門判断とAIの回答、どちらを信じるか」という職場内の力関係が絡んでいた点が、拡散を後押ししたとみられます。

明日からできることは2つです。
一つは、AIに聞いた内容を仕事の判断材料にするときは、必ず出典や根拠を自分で確認する習慣をつけること。
もう一つは、専門知識を持つ人の「できない」という判断を覆したいときは、AIの回答ではなく公式ドキュメントや検証結果といった一次情報にあたることです。

まとめ

「Geminiが出来ると言っているから」という一言は、AIが便利になった裏側で、専門知識より手軽な回答が優先されかねないという現場の不安を浮き彫りにしました。
ハルシネーション率が数字のうえでどれだけ下がっても、最後に答え合わせをする人がいなければ意味がないのかもしれません。

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