「権利保護声明の方が厳しいよ」――M!LK・超特急ら一斉発表、ファンアートはどこまでセーフなのか

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月5日 更新
「権利保護声明の方が厳しいよ」――M!LK・超特急ら一斉発表、ファンアートはどこまでセーフなのか

9月4日、M!LKや超特急、EBiDANに連なるアーティストたちの公式Xアカウントが、示し合わせたように同じ文面の「権利保護方針」を投稿しました。
柱は3つ。
誹謗中傷・プライバシー侵害の禁止、無断での肖像・著作物使用の禁止、そしてSNS投稿の無断転載・加工の禁止です。
この発表を茶化したあるファンの投稿は、公開から1日足らずで6,000件を超える「いいね」を集めました。
ファンアートや切り抜きを日常的に投稿している人、仕事でAIを活用している人にとっては、自分の活動がこの方針のどこに当たるのか、線引きが気になる発表ではないでしょうか。

先に結論をまとめると:
– M!LK・超特急・EBiDAN系アーティストの公式アカウントが9月4日、誹謗中傷/無断使用/無断転載・加工の禁止を柱とする権利保護方針を一斉に投稿した
– アーティストの写真・動画をAIの学習データに使うことも、禁止対象として明記されている
– 一方で「感想投稿はOKなのか」「過去のファンアートはどう扱われるのか」は公式文書に記載がなく、線引きはファン側の解釈に委ねられている

一夜で広がった「権利保護方針」一斉投稿

9月4日、複数の公式アカウントがそれぞれのタイミングで同じ方針文を投稿していきました。
内容は「誹謗中傷・プライバシーの侵害について」「肖像・著作物の無断使用について」「SNS等への投稿・二次利用について」の3項目に分かれ、アーティストの写真や動画をAIの学習データとして使うことも、無断使用の一例として明記されています

ファンの反応は早く、投稿から数時間のうちに関連ツイートが伸びていきました。
中でも目立ったのが、日常の恋愛ネタと掛け合わせたこの投稿です。

「彼女より権利保護声明のほうが厳しい」という言い回しがそのまま数字に表れた形で、公開から1日足らずで6,000件超の「いいね」、約14万件のインプレッションを集めています。
ただ、こうした反応の広がりだけでは、方針の文面が実際に何を禁じ、何には触れていないのかまでは見えてきません。
一次情報を確認してみました。

方針の中身を確認してみると

何が禁止で、何は触れられていないのか

SNS上で見かけた要約の中には「自分の感想投稿や公式のリポストは問題ない」という説明も出回っていましたが、方針文が掲載されている公式サイトを確認したところ、そうした許可行為への言及は見当たりませんでした。
方針が明記しているのは禁止事項の3本柱だけで、どこまでが許容されるかについては書かれていないというのが実際のところです。

この投稿がまとめている通り、方針文は「禁止されること」を並べる構成になっており、逆に「許されること」には触れていません。
ファンアートや切り抜き投稿を日常的にしている人からすれば、過去の投稿が今回の方針に照らしてどう扱われるのか、判断材料が少ないのが実情でしょう。
方針は違反が重大と判断した場合、警告なしで法的措置を取る可能性にも触れています。

「AI学習禁止」を掲げるだけで、本当に止められるのか

SNS上で「AI学習禁止」を掲げる例はこれまでも珍しくありませんでしたが、法律の専門家からは「一方的な宣言だけでは学習行為を止める力を持たない」という指摘が繰り返されてきました。
著作権法30条の4は、AIの学習のような「情報解析」目的の利用について、著作権者の許諾がなくても認めています。
SNS上に「学習禁止」と書くだけではこの規定を覆す契約が成立するわけではないため、法的な強制力までは伴わないというのが専門家の見立てです

今回の一斉発表もこの構造の外にあるわけではありません。
ただ、事務所が方針として公式に示すことには、誹謗中傷やプライバシー侵害といった別の権利侵害に対して法的措置を取りやすくする意味があります。
「AI学習禁止」の一文だけを取り出して効力を測るのではなく、方針全体としてどんな抑止効果を狙っているかで見る必要がありそうです。

SNS上では方針そのものより、方針への批判者に苛立つ声も見られました。

事務所自身がAIを活用しているのに、ファン側の学習利用だけ禁じるのは筋が通らないという批判に対し、「仕事で有料AIを使っていない人には分からない話」と切り返す投稿です。
この投稿に添付された画像の中身までは確認できていませんが、方針の是非をめぐる議論が「AIをどう使うべきか」という一段深いテーマにまで広がっていることがうかがえます。

Shiritomo編集部の考察:バズったのは「方針」ではなく「例え」

今回、実際に伸びたのは事務所公式の告知そのものではなく、それを日常のボヤキに変換したファンの投稿でした。
公式発表を文字通り受け止めれば重いテーマですが、SNSで拡散するのは硬い文言ではなく、身近な感覚に翻訳された一言だという構図が改めて見えます。
事務所やブランドのアカウントを運用する立場からすると、方針や規約を正確に伝えることと、拡散される形に整えることは別の設計が必要だという示唆でしょう。
あわせて、今回のように「禁止事項は明記、許容範囲は不明記」という方針文は、線引きをファン側の解釈に委ねる分、個別の問い合わせやグレーゾーン投稿への対応コストが運用側に残ります。
禁止事項と一緒に典型的な「セーフ」の例を1つでも添えておくだけで、こうした問い合わせの負担は軽くできるかもしれません。

まとめ

M!LKや超特急ら複数のアーティストの公式アカウントが同時に打ち出した権利保護方針は、禁止事項こそ明確になった一方で、ファンアートや感想投稿がどこまで許されるかという線引きは今後も曖昧なままです。
方針が今後どう運用されるのか、引き続き注目したいところです。

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権利保護方針の詳しい文面は、M!LK公式サイトの発表ページで確認できます。
「AI学習禁止宣言」の実効性については、ITmedia の弁護士取材記事が著作権法上の論点を詳しく解説しています。