「悪口ではなく、ラーメン愛を」——家系ラーメン総本山が”ラーメンの日”に投稿した一文
「SNSでの他人への悪口ではなく、今日も、ラーメン愛に溢れたお客様が、1人でも多く来店しますように」。
7月11日の朝、横浜・家系ラーメンの生みの親である「吉村家」の公式Xアカウントが投稿したのは、こんな一文でした。
派手な割引もキャンペーン告知もない、朝の挨拶に近い短い投稿です。
それでもいいねは559件、リポストは69件、ブックマーク(後で見返すための保存機能)は12件に達しました。
インプレッション(投稿が表示された延べ回数)は23,832回でした。
フォロワー規模の大きいアカウントの一投稿としては控えめな数字ですが、宣伝色ゼロの投稿としては十分に反応を集めたと言えます。

おはようございます🌞
— 【公式】家系総本山 吉村家 (@yoshimuraya1974) 2026年7月10日
今日は、日本ラーメン協会が制定した「ラーメンの日」みたいですね🙂
SNSでの他人への悪口ではなく、今日も、ラーメン愛に溢れたお客様が、1人でも多く来店しますように…😊 pic.twitter.com/nZUjQBOurH
Xでの反応と、静かな広がり
この投稿には引用ツイートが9件つきました。
件数こそ多くありませんが、いいね数に対するリポスト比率が高いのが特徴です。
559いいねに対して69リポストという比率は、単に「いいね」で済ませず、自分のフォロワーにもこの言葉を届けたいと感じた人が一定数いたことを示しています。
投稿の文面には「悪口」という否定的な言葉と「愛」という肯定的な言葉が対になって置かれており、読み手に選択を促す構成になっています。
過度な説教臭さがなく、あくまで「そうであってほしい」という願いの形で語られている点が、素直に受け止められた理由のひとつでしょう。
調査・深掘り:そもそも「ラーメンの日」とは
投稿のきっかけになった「ラーメンの日」は、一般社団法人日本ラーメン協会が制定した記念日で、2017年に日本記念日協会へ申請・登録されました。
7月11日という日付には2つの由来があります。
ひとつは数字の形から、「7」をレンゲ、「11」を2本の箸に見立てたという説明です。
もうひとつは、日本で最初に麺類を食べた人物とされる水戸藩主・徳川光圀(水戸黄門)の誕生日(新暦1628年7月11日)にちなむという説です。

投稿主の吉村家は、横浜市内で1974年に吉村実氏が創業したラーメン店です。
豚骨醤油スープに極太ちぢれ麺を合わせる「家系ラーメン」の元祖であり、現在全国に約1,000店あるとされる家系ラーメン店の”総本山”と呼ばれています。
アカウント名の「yoshimuraya1974」も、この創業年に由来していると見られます。
業界の記念日を業界の”元祖”が発信するという組み合わせ自体に、一定の説得力があったと考えられます。
もともとは横浜市磯子区の約10坪の小さな店舗から始まり、1999年に横浜駅西口へ移転しました。
そこから暖簾分け・孫弟子筋の暖簾分けが広がり、さらに独自にスタイルを取り入れた「インスパイア系」も生まれました。
これらすべてを含めると、全国の家系ラーメン店のほとんどが何らかの形でこの一軒に系譜をたどれます。
ラーメン業界内での発言力という意味では、数あるラーメン店の中でも特に重みのあるアカウントだったと言えるでしょう。
さらに深掘りしたい方へ
「ラーメンの日」そのものの由来は、日本ラーメン協会の公式ページで詳しく解説されています。
Shiritomo編集部の考察
この投稿が示しているのは、広告費をかけずにブランドの世界観を伝える手法として「時事ネタ×価値観の表明」が機能するという一例です。
あわせて読みたいカードで紹介した別のラーメン店の事例は、「参加させる仕掛け(なぞなぞ)」で拡散したケースでした。
一方の吉村家は「言葉そのものへの共感」で反応を集めており、同じ業態・同じSNSでも拡散の入り口が異なる点が興味深いところです。
企業アカウントの運用担当者にとっては、記念日を単なる販促の口実にせず、自社らしい一言を添えるだけでも十分な反応を得られることを示す事例と言えるでしょう。
まとめ
大々的な施策ではなく、記念日にちなんだ一文だけで一定の共感を集めた今回の投稿は、フォロワーとの関係性がすでに築けているブランドアカウントならではの強みを表しています。
派手さより言葉選びが問われる時代を象徴する一件でした。
