「あと7600万回」。ファンが毎晩スクショで報告する再生数の進捗が、Xで静かに続いている
7月10日の夜、超ときめき♡宣伝部の「最上級にかわいいの!」ミュージックビデオが2400万回再生を突破しました。
数字だけ見れば「よくある人気曲の再生数報告」に見えるかもしれません。
ただこのカウント、達成の瞬間をXで実況していたのはグループの公式アカウントではなく、ファンでした。
連日スクリーンショットで進捗を報告する人がいて、キリのいい回数に達するたびに祝福のコメントが並ぶ。
合言葉は「#とき宣最上級一億回」。
目標は、まだ7600万回以上先にあります。
この曲は2024年4月20日に公開されたミュージックビデオです。
シンガーソングライターのコレサワさんが手がけた失恋ソングを、宣伝部らしいキュートなアレンジに仕立て直した1曲になります。
TikTokでの振り付け動画がきっかけで火がつき、関連動画の総再生回数はTikTok上だけで2024年9月時点で12億回を超えたと報じられています。
MV自体も2024年11月に1000万回、2025年9月に2000万回を突破しました。
今回の2400万回は、約10カ月でおよそ400万回増えたペースにあたります。
ファンが「進捗管理」を担うキャンペーンの構造
「#とき宣最上級一億回」を牽引しているのは、アラフォーの宣伝部員を自称する“かなぴ”さんです。
連日の再生数を記録し、1日あたり3万回超のペースが続いていることを分析して共有しています。
この地道な集計が、他のファンにとっての「今日も応援しよう」というきっかけになっているようです。

メンバーの辻野かなみさんや小泉遥香さんらも、達成報告に対して感謝のコメントを投稿しており、他グループのファンからも協力の声が寄せられています。
公式が号令をかけたわけではなく、ファンコミュニティが自発的に役割分担をしながら、長期の草の根運動として広がっている点がこのキャンペーンの特徴です。
TikTokで火がついた曲が、YouTubeの再生回数という別の指標に飛び火する。
そこにファンが独自の共通目標(今回で言えば1億回)を設定する——この流れは、K-POPファンダム(熱心なファンによるコミュニティ)の「ストリーミング応援」文化に近い構造を持っています。
ハッシュタグを掲げ、進捗を可視化し、キリ番のたびに祝福する。
応援する側にとっては、単に曲を聴く行為が「チームで目標に向かう体験」に変わるわけです。
「1億回」という数字が持つ意味
現在のペース(1日あたり3万回程度)で単純計算すると、残り7600万回を今のペースだけで積み上げるには数年単位の時間がかかる計算になります。
それでも目標が下がることはなく、むしろ長期の合言葉として機能している点が興味深いところです。

目標達成までの距離が遠いからこそ、キリ番のたびに「今日も進んだ」という小さな達成感が積み重なり、応援を継続する理由になっているようです。
マーケティングの世界では、短期のゴールばかりを追うと燃え尽きやすい一方、遠い目標を「共通の旗印」として掲げると、コミュニティの結束が長持ちしやすいという現象が知られています。
今回のキャンペーンも、その典型例と言えるでしょう。
さらに深掘りしたい方へ
TikTokとYouTubeをまたいだ再生数の伸び方や、レガシーコンテンツがどう新しい指標を獲得していくかに関心がある方は、上記の記事も参考になるはずです。
Shiritomo編集部の考察
このキャンペーンからSNS担当者が学べるのは、「数字を追わせる」のではなく「数字を一緒に育てる」体験の設計です。
企業アカウントが目標達成を一方的に発表するのではなく、ファン自身が集計役・広報役を担い、役割が自然発生する状態を作れるかどうかが、長期的な熱量維持のカギになります。
また、TikTokで火がついたコンテンツをYouTubeの再生数という「積み上げ型の指標」に移す発想も参考になります。
TikTokの拡散は瞬間風速が強い一方、記録として残りにくい面があります。
そこにYouTube側の再生数という「みんなで積み上げる貯金箱」を用意すると、拡散のエネルギーを長期の応援行動に変換できます。
今回のケースの巧みな点だと言えるでしょう。
まとめ
2400万回という数字自体は通過点に過ぎませんが、それを実況し、祝い合うファンの営みこそが「最上級にかわいいの!」を息の長いコンテンツにしている理由のようです。
1億回という遠いゴールが、かえって応援を続ける理由になっている構図は、SNS時代のファンコミュニティ運営を考えるうえで示唆に富んでいます。

