pixiv・noteと肩を並べた「個人サイト」、総務省が好き嫌い.comを規制対象にした理由
pixiv、note、ガールズちゃんねる、そして「好き嫌い.com」。
8月31日、総務省がこの4事業者を情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)の「大規模プラットフォーム事業者」に追加指定しました。
3社は誰もが知る規模のサービスですが、残る1社は個人が一人で運営するサイトです。
SNSや投稿サイトを運営・活用する立場からすると、この指定は「うちのサービスも対象になり得るのか」を考えるきっかけになる話です。
先に結論をまとめると:
– 総務省は8月31日、情プラ法に基づきpixiv・note・ガールズちゃんねる・好き嫌い.comの4事業者を「大規模プラットフォーム事業者」に追加指定した
– 指定されると、誹謗中傷などの削除申出について原則7日以内に対応を判断・通知する義務や、「侵害情報調査専門員」の選任、削除基準の策定・公表などが課される
– 4事業者のうち好き嫌い.comだけが個人運営で、著名人への好感度投票という機能の特殊性が指定の背景にある
何が起きたのか
総務省は8月31日、情プラ法第20条第1項に基づき4者を新たに大規模プラットフォーム事業者に指定しました。
対象はpixiv(運営:ピクシブ株式会社)、note(運営:note株式会社)、ガールズちゃんねる(運営:株式会社ジェイスクエアード)、好き嫌い.com(個人運営)です。
この件はテック系ニュースサイトのInternet Watchが速報し、Xでも投稿が拡散しています。
総務省、「pixiv」「note」など情プラ法の「大規模プラットフォーム事業者」に追加、誹謗中傷への迅速な対応など求める 「ガールズちゃんねる」「好き嫌い.com」含む4者が対象 https://t.co/G8xwtORDIS
— INTERNET Watch (@internet_watch) 2026年8月31日
好き嫌い.comは著名人やVTuberへの好感度投票・コメント機能が主体のサイトで、発信者情報開示請求が相次いでいたことが背景にあるとされています。
pixivやnoteはクリエイターの投稿数が多く著作権や誹謗中傷に関するトラブルが起きやすいこと、ガールズちゃんねるは匿名掲示板ゆえの誹謗中傷指摘が、それぞれ指定の理由として挙げられています。
ただ、この4者の並びだけを見ても「なぜこの基準で選ばれたのか」はまだ見えてきません。
そこで指定の制度そのものを調べてみました。
調べて分かったこと
情プラ法とはそもそもどんな法律なのか
情プラ法(情報流通プラットフォーム対処法)は2025年4月に施行された法律です。
インターネット上の誹謗中傷などの違法・有害情報が短期間で広く拡散してしまう状況を踏まえ、一定規模以上のプラットフォーム事業者に削除対応の迅速化と運用状況の透明化を義務づける目的で作られました。
施行から1年半足らずですが、月間の検索回数は直近で1,900件、12カ月平均に対して1.5倍に増えており、法律名そのものへの関心は指定のたびに高まっているようです。
指定の基準と、これまでの指定企業
大規模プラットフォーム事業者に指定されるかどうかは、総務省令が定める「平均月間発信者数1,000万人以上」などの基準で判断されます。
今回で3回目の指定です。
2025年4月にはGoogle・LINEヤフー・Meta・TikTok・Xの5社が、同年5月にはニコニコ(ドワンゴ)・Pinterest・Amebaブログ・爆サイ.comの4社が指定されました。
巨大プラットフォームから始まり、掲示板・ブログ・創作投稿サイトへと対象が広がってきた流れの中に、今回のpixiv・note・ガールズちゃんねる・好き嫌い.comが位置づけられます。
指定されると具体的に何が変わるのか
指定を受けた事業者には、主に次の義務が課されます。
ひとつは削除対応の迅速化で、権利侵害の申出があった場合は原則7日以内に削除の可否を判断し、申出者へ結果を通知しなければなりません。
加えて、社内に「侵害情報調査専門員」(削除申出の内容を確認し、削除するかどうかを判断する担当者)を置くこと、削除基準を策定して公表すること、権利侵害情報への対応方法を公表することも求められます。
さらに透明化措置として、削除件数や削除しなかった件数、対応にあたる人員体制などを定期的に公表する義務も生じるとみられます。
これらは片手間でできる作業ではなく、通報対応の体制そのものを見直す必要が出てくる内容です。
なぜ好き嫌い.comだけが個人運営なのか
pixiv・note・ガールズちゃんねるが企業運営であるのに対し、好き嫌い.comは今回の指定で唯一の個人運営事業者です。
著名人やVTuberへの好感度投票・コメントというシンプルな機能ながら月間発信者数1,000万人以上の基準を満たしたとみられ、運営規模と運営体制のギャップが今後の対応能力の焦点になりそうです。
個人運営でも「侵害情報調査専門員」の選任などを一企業と同様にこなせるかは、この指定が抱える現実的な課題といえます。
Shiritomo編集部の考察:規模の基準は「知名度」ではなく「発信者数」で決まる
今回の指定で見えてくるのは、大規模プラットフォームの線引きが企業規模やブランドの知名度ではなく、あくまで「月間発信者数1,000万人以上」という機械的な基準で決まるという点です。
SNSやコミュニティ機能を持つサービスを運営・活用する立場なら、この基準は意識しておく価値があります。
フォロワー数やPVだけでなく、「投稿できるユーザー数」がどこまで伸びているかという視点です。
今回pixiv・noteが対象になったように、創作系・UGC(ユーザー投稿型)プラットフォームは今後も指定対象の拡大が続く可能性が高く、コミュニティ運営を担う事業者にとっては人ごとではないテーマです。
まとめ
pixiv・noteという大手創作プラットフォームと、個人運営の好き嫌い.comが同じ基準で規制対象になったことは、情プラ法の線引きが規模の“数字”だけで決まる仕組みであることを浮き彫りにしました。
削除対応の迅速化と透明化という重い義務を、体制の異なる事業者たちがどう果たしていくのか、今後の運用が注目されます。