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NVIDIA DLSS 5のリーク画像がゲームグラフィックス議論を呼ぶ

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月1日 更新
NVIDIA DLSS 5のリーク画像がゲームグラフィックス議論を呼ぶ
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158MB。
NVIDIAがこれまで配布してきたどのDLSSライブラリよりも重い1つのファイルが、『NBA 2K27』のアーリーアクセス版に紛れ込んでいました。
ファイル名は「nvngx_dlssnr.dll」。
数時間後には海外のModderコミュニティがこれを解析し、まったく関係のない別のゲームへ移植していました。

対象は『Cyberpunk 2077』『Grand Theft Auto V』『Control』『The Elder Scrolls V: Skyrim』、さらにはカートゥーン調の『A Hat in Time』まで、12本以上に及びます。
SNSでは「yassification filter(すべてを均一に加工してしまうフィルター)」「AI slop(AIが吐き出した粗悪な生成物)」といった辛口の反応から、「作品との相性次第で楽しみ」という期待の声まで、評価が真っ二つに割れました。

スタイライズド(現実の写実ではなく、独自の絵柄で作り込まれた)なビジュアルを大事にしている作品のファンほど、この話は他人事ではありません。
AIが「照明」や「質感」を勝手に書き換える時代に、デザイナーの狙った絵作りはどこまで守られるのでしょうか。

先に結論をまとめると:
– NVIDIAが3月に発表したDLSS 5は、AIが照明や質感をリアルタイムで補強する「ニューラルレンダリング(3Dモデルの形はそのままに、AIが陰影や素材の質感を推論して描き直す技術)」で、今秋にRTX 50シリーズ向けに正式リリース予定です
– 『NBA 2K27』のテストビルドから未完成版のDLSS 5が流出し、Modderが12本以上のゲームへ移植。
「不気味」「魂がない」という反発がXや海外掲示板で広がりました
– RTX 5070 Tiでの実測では4Kのフレームレートが71fpsから35fpsへほぼ半減。
開発者が用意する調整機能が正式版でどこまで効くかが今後の焦点です

Xで広がった「DLSS 5すごい」と「不気味」の両論

NVIDIAが3月に発表したDLSS 5は、AIによるニューラルレンダリングでゲームの照明や質感をリアルタイムに強化する技術として注目を集めてきました。
今回話題になっているのは、この未完成版が『NBA 2K27』のアーリーアクセス版から流出し、Modderの手で本来対応していないタイトルに次々と適用されたことです。
「デザイナーの意図を損なう」という懸念の一方で、「作品によっては化ける」という期待の声も混ざり合っています。

同じ時期、日本語圏のXでも近い話題が動いていました。
『FFXIV(ファイナルファンタジーXIV)』のキャラクターにDLSS 5を適用したとみられる比較画像に対し、「特に照明系はDLSSで補正されてすごく良くなってる」「顔修正がすごすぎる」という反応が集まっています。

実際に添付画像を確認すると、同じキャラクターを左右に並べた比較カットで、髪や肌の陰影のトーンがわずかに違って見えます。
ただし投稿本文には具体的な設定・バージョンの記載はなく、断定はできません。
あくまで好意的な反応の一例として受け止めるのが妥当でしょう。

ただ、この「良くなった」という声だけを見ていると、海外で広がっている「不気味」という評判とは真逆に思えます。
両方が同時に本当なのか、一次情報を確かめてみました。

調べて分かったこと

DLSS 5とは結局どんな技術なのか?

NVIDIA公式の発表によれば、DLSS 5は各フレームの色情報と動きのベクトルを入力として、AIモデルがシーンに写実的な照明・素材感を「注入」する仕組みです。
肌の下で光が散乱する様子(サブサーフェススキャッタリング)や、布のツヤ、髪への光の当たり方といった、これまで個別に作り込む必要があった複雑な要素をAIが処理します。
従来のDLSSが「解像度を補う」技術だったのに対し、DLSS 5は「見え方そのものを描き直す」技術という位置づけです。

なぜ『NBA 2K27』から流出したのか?

流出したファイルは「310.8.0.0」というバージョン番号の実験的ビルドで、2026年8月に署名されていました。
『NBA 2K27』のアーリーアクセス版に同梱されていたところをModderが発見し、数時間で解析・抽出。
RenoDXという改造コミュニティを中心に、対応外のゲームへ次々と移植されました。
NVIDIA自身が意図した流出ではなく、テスト用ファイルが漏れた形のようです。

何が「不気味」だと言われているのか?

批判の中心にあるのは、キャラクターの見た目が均質化してしまうという指摘です。
海外メディアGamers Nexusは、あるキャラクターの変化について「詐欺目的で使われる古い”AI生成のデート用プロフィール写真”のようだ」と評しました。
低ポリゴンのキャラクターに現実の人物の3Dスキャンを重ねたような違和感が生まれ、作品ごとの絵柄の個性が塗りつぶされてしまう、というのが懸念の核心のようです。
Notebookcheckは「キャラクターとしての個性や深みがない(No character or soul to it)」という評を紹介しています。

性能はどれくらい落ちるのか?

実際にModderが計測したところでは、RTX 5070 Tiで『Control』を4K表示した場合、DLSS 5オフでは71fpsだったフレームレートが、オンにすると35fpsまで落ち込んだと報告されています。
ほぼ半減という重さで、HDR表示も正しく機能しないケースがあったようです。
これはあくまで流出した実験版での結果であり、正式リリース版でどこまで最適化されるかは未知数です。

NVIDIAはどう答えているのか?

NVIDIA公式は、DLSS 5には強度・色調整・マスキングといった細かい調整機能を開発者向けに用意しており、各ゲーム独自の美術表現を保てる設計だとしています。
対応を表明している企業にはBethesda、CAPCOM、NetEase、NCSOFT、Ubisoft、Warner Bros. Gamesなどが名を連ねています。

一方でNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、批判直後の会見で「彼らは完全に間違っている」と強気の姿勢を見せていました。
ところが後日のポッドキャストでは「自分もAI slopは好きではない」と発言をやや軟化させています。
技術への手応えと現場の拒否反応の板挟みになっている様子がうかがえます。

Shiritomo GAME編集部の考察

今回の一件で興味深いのは、批判の矛先が「AIが使われていること」自体よりも「誰がその見た目をコントロールするか」に向いている点です。
ゲームのアートディレクションは、開発チームが何年もかけて積み上げる作品の顔にあたります。
そこにAIが後乗せで介入する余地が生まれると、プレイヤーは無意識のうちに「これは作り手が選んだ絵なのか」を疑うようになるのではないでしょうか。

NVIDIAが用意する強度・色調整の機能は、いわば「AIにどこまで任せるか」を開発側が握るための保険です。
今回流出した版はその保険が効いていない実験段階のビルドだった、と見るのが妥当でしょう。
正式版のタイトルがこの調整機能をどこまで積極的に使うかで、DLSS 5への評価は今後大きく変わっていくはずです。
公開される比較画像が「開発者が調整した公式版」か「Modderが素の設定で流用した実験版」かを見分ける視点を持っておくと、SNS上の賛否に振り回されにくくなりそうです。

まとめ

DLSS 5は、AIがゲームの照明や質感をリアルタイムで描き直す野心的な技術ですが、流出した実験版が示したのは「制御されていないAI加工」の危うさでした。
今秋の正式リリースで、開発者の調整機能がその危うさをどこまで抑え込めるかが、次に注目すべきポイントになりそうです。

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