「パスワードリセット申請爆撃」――Xアカウント乗っ取りが8月末に急増、ポケモン公式まで暗号通貨を宣伝させられた理由
8月28日早朝、ポケモンのグローバル公式Xアカウント(@pokemon)が、聞き慣れない暗号通貨「$POKEMON」の宣伝を始めました。
同じ日の早朝には、NVIDIAの公式アカウントも見慣れないコントラクトアドレス(暗号資産の取引先を示す文字列)を投稿していたといいます。
どちらも運営側がすぐに気づいて投稿を削除しましたが、乗っ取りは個人アカウントだけでなく、大手ブランドの公式アカウントにまで及んでいました。
同じ週、Xでは個人アカウントの乗っ取り報告も相次いでいました。
俳優の加藤諒さんも8月23日に自身のXアカウントを乗っ取られたと報告し、2日後の25日に復旧を伝えています。
SNSを仕事で使っている方にとっても、この話は他人事ではありません。
ブランドの公式アカウントが乗っ取られればフォロワーに直接詐欺情報が届きますし、個人の運用担当者が同じ手口に遭う可能性も変わらないからです。
先に結論をまとめると:
– 8月末、Xで個人・著名人・企業公式アカウント(ポケモン、NVIDIAなど)の乗っ取りが相次いで報告されました
– 手口はメールアドレスの不正変更やパスワードリセットの連続送信、なりすましDMなど複数パターンが確認されています
– 乗っ取られた際の復旧スピードは、日頃の2段階認証・パスキー設定と、X運営への粘り強い異議申し立てで大きく変わります
Xで相次いだ乗っ取り報告
8月末、X上では「アカウント乗っ取り」を訴える投稿が次々と流れてきました。
中でも目を引いたのが、次の投稿です。
進捗。
— アール/Aru (@papatiwawa) 2026年9月1日
外部からのパスワードリセット申請爆撃により一時的にセキュリティロックがかかり、アカウント管理等はできないらしい。
2段階認証とパスキーを使ってログインしなおしてアクセスはできてる。
以後怪しいメールはフルシカトで様子を見つつ、ほとぼりが覚めたらアカウント周りを整理。… https://t.co/8rbQVJPUqW
「外部からのパスワードリセット申請爆撃により一時的にセキュリティロックがかかり、アカウント管理等はできないらしい」という報告で、投稿時点で525件のいいねを集めていました。
パスワードリセットのメールを大量に送りつけて相手を混乱させる、あるいはアカウントを一時的にロック状態へ追い込む手口とみられます。
ほかにも「パスワードリセットの繰り返し」「2段階認証の勝手な設定」「メールアドレスの不正変更」といった被害報告が、一般ユーザーから著名人まで幅広く投稿されていました。
サポートへの問い合わせを経て復旧できたケースが多い一方、なりすましDMや偽の詐欺サイトへの誘導に悪用される例も見られます。
ただ、こうした個々の投稿だけでは「どこまでが本当に起きていることなのか」が分かりにくいため、実際の報道もあわせて確認してみました。
調べて分かったこと
誰が、どうやって乗っ取られているのか?
被害の範囲は個人にとどまりませんでした。
IT系メディアのAUTOMATONによると、8月28日にはポケモンのグローバル公式X(@pokemon)が一時的に乗っ取られ、「公式ポケモンミームコイン」と称する暗号通貨「$POKEMON」の宣伝投稿が行われました。
同じ日の早朝にはNVIDIAの公式アカウントも暗号通貨のコントラクトアドレスを記載した投稿をしており、どちらもすぐに削除されたものの、フォロワー数の多い公式アカウントが標的になっている実態が明らかになっています。
個人・インフルエンサーレベルでも被害は深刻です。
次の投稿を見てみましょう。
真琴(@ma926koto)です!
— 9.27🎀真琴20周年記念興行🎀 (@MKT927AKB) 2026年8月31日
課金してましたし、2段階認証も電話番号も登録してたのにハッキングされ😭
1週間経ちましたが@Xさんから返答がなく…😭
9.27の自主興行も迫っているので
泣く泣く作りました🥺
(解決したら消します!)
9月からチケットお取り置き開始します!✨
DM解放してるので是非! pic.twitter.com/pvFv3LdhlF
「課金してましたし、2段階認証も電話番号も登録してたのにハッキングされ😭1週間経ちましたが@Xさんから返答がなく…😭」という報告で、298件のいいねがついていました。
有料課金や2段階認証を設定していても、乗っ取り自体を完全には防げないケースがあるというのが、こうした報告から見えてくる実態です。
具体的な手口は何なのか?
実際にどんな操作をされているのか、被害者本人が公開した画面を確認してみました。
お世話になっております。
— φ村 (@phi233) 2026年8月30日
8/17(月)の昼にアカウントが乗っ取られ(※メールアドレス/パスワード変更+2段階認証設定)、各種問合せから2週間を経て今朝なんとか復活出来ました。
万が一連絡の遅滞等ありましたらすみません。
皆さんも2段階認証は設定しておきましょう(社内セキュリティ担当より) pic.twitter.com/E2kDVas6eM
投稿には、Xから届いたメール2通のスクリーンショットが添付されていました。
1通目は「@phi233さんのメールアドレスが変更されました」という通知で、日付は2026年8月17日。
もう1通は「@phi233さんの2要素認証をオフにしました」という英語混じりの通知です。
投稿者は「8/17(月)の昼にアカウントが乗っ取られ(※メールアドレス/パスワード変更+2段階認証設定)、各種問合せから2週間を経て今朝なんとか復活出来ました」と経緯を説明していました。
メールアドレスを先に書き換えられ、2段階認証を無効化されるという順番は、この被害報告のメールから読み取れる手口の一つです。
なりすましのDMを使った手口の報告もありました。
「私の名前で『X(旧Twitter)の1年間のプレミアムが送られてきました』という内容のDMや通知が届いた場合、アカウント乗っ取りを狙った詐欺(フィッシング)の可能性が非常に高い」と注意喚起する投稿も見られ、他のセキュリティ情報でも「偽の領収書を添付したDMでX公式サポートを装ったDiscordへ誘導し、ログイン情報や2段階認証コードを聞き出す」手口が報告されており、共通する部分があります。
一つの決まった手口というより、複数の攻撃パターンが同時に出回っている状況のようです。
乗っ取られたら、どのくらいで復旧するのか?
Xアカウント復旧にかかる時間は、被害者によってかなりばらつきがありました。
次の投稿の例では、比較的早く解決しています。
うぉおおおおおおおおおよっしゃかああああああああああ!!!!!💪🫠💪
— Ag₂O🍀 (@Argentum_2O) 2026年8月30日
今朝起きたらX垢メアドパスワード乗っ取り解消されました!!!
X社さんに鬼メールした甲斐があった、発生から2日半で爆速対応してくれた🥹💦
皆様大変お騒がせいたしました!!!… pic.twitter.com/6Gp5sx97QT
「X垢メアドパスワード乗っ取り解消されました!!!X社さんに鬼メールした甲斐があった、発生から2日半で爆速対応してくれ」という報告です。
一方で、先述のphi233さんは2週間、別の被害者は22日かかったと報告しており、同じXサポートへの問い合わせでも、復旧までの日数には数日から3週間以上まで大きな差があるのが実情です。
共通して言えるのは、被害に気づいたらすぐにサポートへ連絡すること、そして日頃から2段階認証だけでなくパスキー(パスワード不要でログインできる認証方式)も設定しておくと、メールアドレスを書き換えられても復旧の足がかりが残りやすいという点です。
Shiritomo編集部の考察:ブランドアカウントの「もしも」を想定しておく
今回の件で特に気になるのは、ポケモンやNVIDIAのようにフォロワー数の多い公式アカウントですら、暗号通貨の宣伝投稿を数分間とはいえ出してしまった点です。
SNS運用担当者にとって、フォロワーへの詐欺拡散はブランドの信頼を直接損なうリスクになります。
実際に企業・個人を問わず「本アカウントが乗っ取られた瞬間、サブアカウントから緊急のお知らせを出す」という対応が広がった事例もあり、乗っ取られた場合の連絡手段を本アカウント以外に確保しておくことは、被害を最小限に抑えるうえで効果的です。
具体的には、①管理者アカウントには2段階認証とパスキーを必ず設定する、②ログイン通知メールの宛先を複数人で確認できる体制にする、③乗っ取り発生時にフォロワーへ告知する代替チャネル(サブアカウントや他のSNS、公式サイトなど)をあらかじめ決めておく、の3点が最低限の備えになりそうです。
今回のような暗号通貨がらみの乗っ取りは過去にも別のパターンで報告されており、フォロワー数の多いアカウントほど狙われやすいという構図は今後も変わらないと見ておいたほうがよいでしょう。
まとめ
8月末にXで相次いだアカウント乗っ取りは、個人ユーザーから著名人、そしてポケモンやNVIDIAといった大手ブランドの公式アカウントにまで及んでいました。
手口はメールアドレスの不正変更やパスワードリセットの連続送信など複数確認されており、被害からの復旧日数も数日から3週間以上とばらつきがあります。
2段階認証やパスキーの設定、そして乗っ取り時の代替連絡手段を今のうちに準備しておくことが、被害を最小限に抑える近道になりそうです。

