「視聴しかできないようにした方がいい」――16歳未満SNS利用禁止の要望書、1024人の医師・教育者が賛同
10月30日、医師や研究者、教育関係者ら1024人の名前を連ねた要望書が、こども家庭庁の窓口に届きました。
内容は「16歳未満のSNS利用を法律で禁止してほしい」というものです。
提出したのは市民団体「子どもをSNS被害から守る会」。
共同代表を務める大谷良光さんは「被害の実態が緊迫した状況になっている」と訴えています。
もし16歳未満のSNS利用そのものが法律で制限されれば、SNS事業者の年齢確認の仕組みや、将来のユーザー構成にも影響が及びます。
SNSに関わる仕事をしている人、SNSを使っている人であれば、他人事では済まない話です。
先に結論をまとめると:
– 「子どもをSNS被害から守る会」が10月30日、16歳未満のSNS利用を禁止する法律の制定をこども家庭庁に要望。
1024人が賛同
– 要望は利用禁止だけでなく、「無限スクロール」「自動再生」など依存を誘発する機能の規制や、SNS事業者への年齢確認システムの義務化も含む
– こども家庭庁の有識者会議も同じ10月30日に中間報告書を示し、年齢による一律制限の是非について議論を本格化。
年内に最終報告書をまとめる方針
何が起きたのか
要望書で求めているのは大きく3点です。
1つ目は16歳未満のSNS利用を禁止する法律そのものの制定。
2つ目は、SNS事業者に対して「無限スクロール」(投稿を区切りなく流し続け、終わりを感じさせずに利用を続けさせる表示方法)や「自動再生」など、依存を誘発するとされる機能を制限するよう義務付けること。
3つ目は、年齢の詐称を防ぐための公的な年齢確認システムの構築です。
共同代表の山田真理子さんは、子どもの心身の健康や睡眠への影響を根拠に「年齢制限は合理的な制度だ」と強調しています。
団体はさらに、オンライン署名を11月末まで募集中で、今後も追加の署名をこども家庭庁へ提出する予定だといいます。
この「16歳未満禁止」という提案そのものには、X上でも反応がありました。
16歳未満SNS禁止じゃなくて12歳以下のTikTokの投稿とコメント禁止にして視聴しかできないようにした方がいいと思う
— にょん! (@nyonchima) 2026年10月31日
10月31日夜に投稿されたこのポストでは、全面禁止ではなく「12歳以下のTikTokの投稿とコメントだけを禁止して、視聴はできるようにする」という年齢の切り方が提案されています。
一律禁止か、年齢を区切った部分的な制限か――この投稿1件だけでも、解決策の方向性が人によって分かれることがうかがえます。
ただ、この提案が一人の意見にとどまるのか、それとも議論の本流になっていくのかは、公的な場での議論を見ないと分かりません。
調べて分かったこと
なぜ今、16歳未満の全面禁止なのか
団体側の主張は、依存を誘発する設計が子どもの心身の健康に深刻な影響を与えているというものです。
これは「家庭や学校だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題だ」という位置づけで語られています。
中学生までの期間は国が責任を持って安全な環境を用意し、メディアリテラシーを学んだうえで、高校生になってから段階的にSNSを利用していく仕組みが必要だという考え方です。
こども家庭庁の有識者会議はどう考えているのか
タイミングとして注目したいのは、この要望書と同じ10月30日に、こども家庭庁の有識者会議が中間報告書を示していることです。
報告書では、年齢による一律の利用制限を導入するかどうかについて、議論を本格化させることが重要だと指摘されました。
具体的な提言としては、SNS事業者に対して年齢が適正かどうかを確認するなどの安全対策を義務付け、違反した場合の罰則も検討するよう求めています。
また、SNS利用が心身に与える影響などのリスクを事業者自身が評価し、その結果と取り組み内容を公表することも提言に含まれています。
年内には最終報告書がまとめられる方針で、市民団体の要望は、この議論がまさに大詰めを迎えるタイミングで出された形になります。
海外ではどうなっているのか
国際的な動きを見ると、日本だけが特殊な議論をしているわけではないことが分かります。
豪州では2024年にオンライン安全法が改正され、16歳未満の子どもによるSNS利用を一律に禁止する内容が盛り込まれました。
欧州連合(EU)やカナダも、同様の方向性での規制を打ち出しています。
一方で、年齢制限や投稿管理を強めればそれで解決という単純な話ではない、という慎重な見方もあります。
表現の自由や、子どもが新しい情報に触れる機会、孤立した子どもにとってのSNSという居場所、そして年齢確認を厳格にすることで生じるプライバシーの負担など、配慮すべき論点は少なくありません。
「禁止すればいい」と「規制すれば守れる」は、必ずしも同じ結論にはならないというのが、この議論の難しさだといえます。
SNS年齢制限はこのあとどうなるのか
今回の要望書そのものに法的な強制力はありませんが、こども家庭庁の有識者会議が年内に最終報告書を出す予定である以上、この話は年明け以降も繰り返し動きが出るテーマになりそうです。
SNS事業者の年齢確認の仕組みがどう変わるのか、罰則が実際に設けられるのかどうかは、SNSを運営・活用する側にとっても、今後注視しておく価値のある論点です。
Shiritomo編集部の考察:事業者側が備えるべきことは何か
今回の要望が仮にそのまま法制化されなくても、こども家庭庁の有識者会議が「年齢確認の義務化」や「罰則の検討」に言及した時点で、SNS事業者側には一定の対応コストが発生する可能性が高まっています。
年齢確認の厳格化は、本人確認の仕組みを新たに組み込む開発コストだけでなく、未成年ユーザーの一部が利用をやめることによるアクティブユーザー数への影響も意味します。
豪州やEU・カナダの先行事例は、日本の議論の行方を占ううえで参考になります。
特に豪州は実際に法改正まで進んでいるため、施行後にユーザー数や利用実態がどう変化したかのデータが出てくれば、日本の規制論議にも直接影響してくるはずです。
SNSマーケティングに関わる立場からは、「もし年齢確認が厳格化されたら、自社のターゲティング戦略やユーザー数の前提はどう変わるか」を今のうちに一度整理しておく価値があるでしょう。
まとめ
10月30日、医師や教育関係者ら1024人が賛同した要望書がこども家庭庁に提出され、同じ日に有識者会議も中間報告書を示すという、議論が重なるタイミングになりました。
一律禁止か年齢を区切った部分的な制限か、結論は年内にまとめられる予定で、SNSに関わる誰にとっても無関係では済まない話になっています。
さらに深掘りしたい方へ
要望書の全文や団体の活動については、報道各社が詳しく伝えています。

