IllustratorのAIファイルが「生成AIデータ」と誤解される——デザイナーたちのリアルな悩みと笑い
「これ、AI生成ですよね?」——そんな一言をかけられて、思わず苦笑いしたデザイナーさんはいませんか。
Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター、ベクター画像の編集に使われるデザインソフト)のファイル拡張子「.ai」が、生成AIブームのなかで予期せぬ誤解を生んでいます。
デザイナーたちに広がる「.ai誤解」あるある
きっかけは、デザイナーのgoking5さんのX投稿でした。
「.ai ファイルで納品したら『本物のデータください』と言われた」というエピソードが共感を呼び、似た体験談がデザイナーたちの間で次々と集まってきました。
「.ai」はAdobe Illustratorのファイル形式として1987年から使われてきた拡張子です。
ところが2022年以降の生成AIブームで「AI=人工知能」のイメージが一気に広がり、デザイン現場でも混乱が起きています。
ピンバッジに入っていた「AI」の文字が「AI生成が好きな人」と誤解された、名刺の「Adobe Illustrator使用」という表記を変えざるを得なくなった——そんなエピソードがXで拡散しています。
デザイナーたちはユーモアで対処しながらも、「笑えない」という本音もにじんでいるようです。
ちなみに、ChatGPTGで写真やイラストを読み込ませてこの画像を生成するプロンプトはこんな感じです(このプロンプト自体ChatGPTに考えてもらいました)。みんな遊んでみようぜ!…
— うにプリン (@unipudding) 2025年4月25日
クリエイターたちは「#手描きイラスト」「#手書き証明」などのハッシュタグを使って、AIではなく手作業であることをアピールし始めています。
アイロニーと実害が入り混じった状況に、Xでは笑いながらも真剣に語り合う投稿が増えているようです。
https://x.com/akira_papa_IT/status/1905106547556718757
「.ai」の本当の意味と、混乱が深まった背景
気になって調べてみました。
Adobe Illustratorの「.ai」形式は、ポストスクリプト(PostScript、印刷向けの描画言語)をベースにしたベクター画像フォーマットです。
ベクター画像とは、点・線・曲線の数値データで構成された画像形式のこと。拡大しても劣化しないため、印刷物やロゴ制作に広く使われています。
1987年のIllustrator発売当初から使われており、生成AIとはまったく無関係です。
一方、Adobe Illustratorは2025〜2026年にかけて「テキストからベクター生成」などの生成AI機能を搭載するようになりました(Adobe Firefly技術を利用)。
こうした動きが「Illustrator自体がAI化している」という混乱をさらに加速させている面もあるかもしれません。
現場のデザイナーにとっては、長年使ってきたファイル形式の名前が「AI生成物の証拠」として誤読されるという、笑うに笑えない状況です。
特に「手描きであること」「人の手で制作したこと」が価値を持つ業務では、この誤解が信頼や評価に直結しています。
もっと詳しく知りたい方へ
- Adobe IllustratorのAI機能公式ガイド: helpx.adobe.com
- Illustrator 2026の新機能レビュー: inte-action.com
- 「イラストやAI機能の使い方」解説: cg-kenkyujo.com
まとめ
「.ai=AI生成」という誤解は、生成AIが日常に入り込んだ時代ならではの副産物といえるでしょう。
ファイル拡張子の混乱は小さな笑い話にも見えますが、その背景には「人の手による創作」の価値をどう証明するかという、より深い問いが潜んでいるのではないでしょうか。