SNS運用Tips 読了 7 分

「3500ドルでイラストを」海外DMの正体、イラストレーター界隈で広がる注意喚起

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月24日 更新
「3500ドルでイラストを」海外DMの正体、イラストレーター界隈で広がる注意喚起

「海外の方から連絡がきたので様子見てみたら思った通り同じような状況になりました。
(この後お断りしました)」。
イラストレーターのいきるさん(@ikiruchan)が7月22日に投稿した一文に、1580件のいいねと1278件のリツイートが集まりました。

投稿の中身は、海外アカウントから届いた「3500ドルでイラストを描いてほしい」という高額DMのスクリーンショットです。
DM経由で仕事の依頼を受けることがあるのは、イラストレーターに限った話ではありません。
SNSで自分の作品や活動を発信し、そこから商談につながる人であれば、誰にでも起こりうる出来事です。
この記事では、話題になった詐欺の手口と、SNSで活動する人が明日から使える自衛のポイントを整理します。

先に結論をまとめると:
– 海外DMからの高額イラスト依頼は、Skeb(クリエイターへの依頼を仲介する国内サービス)を避けてPayPalや銀行振込に誘導する詐欺パターンが定番になっている
– Skeb公式も2025年10月にチャージバック(決済の取り消し)詐欺への注意を呼びかけており、同種の手口は少なくとも2023年から確認されている
– DM経由の商談を受ける際は「プラットフォーム内決済を貫く」「アカウントの新しさと文体の不自然さを見る」の2点が有効な自衛策になる

何が起きたのか(Xでの盛り上がり)

いきるさんの投稿によると、依頼の流れは典型的なパターンをたどったといいます。
海外アカウントから連絡が来て、様子を見てみると「思った通り」の展開になった、という書き方から、この種のDMがすでに知られた手口であることがうかがえます。
投稿には「まじで最近多いです。
絵描きの方は気をつけてください」という呼びかけが添えられ、1日で800件以上のいいねを集める反響になりました。

引用リプライやコメント欄には「私も同じDMが来た」「これ本当によく見る」といった体験談が寄せられ、単発の出来事ではなく、イラストレーター界隈で継続的に発生している問題として共有された形です。
ただ、この投稿だけを見ると「最近急に増えた新しい手口」に見えてしまいます。
実際にはどのくらい前から続いているのか、一次情報を確認してみました。

調べて分かったこと

なぜ「Skebを避けてPayPal」に誘導されるのか

イラストレーター向けの依頼仲介サービスであるSkebは、2025年10月14日に公式でチャージバック詐欺への注意喚起を行っています。
手口は次の3ステップです。
海外ユーザーを装った相手が「Skebの決済手段が使えない」と伝え、「3000ドルを先に支払うから描いてほしい」と持ちかけ、最終的にPayPalなど外部の決済へ誘導するというものです。

Skebはこの注意喚起の中で、送られてくるメッセージが定型文的で類似性が高いこと、送信元アカウントの利用履歴が浅いことを詐欺の特徴として挙げています
プラットフォーム外の決済に誘導される最大のリスクは、代金を受け取った後に相手側の操作で決済が取り消される「チャージバック」です。
Skeb上の取引であればこうした操作はできませんが、PayPalや銀行振込に切り替えさせられると、クリエイター側が代金を失うリスクが一気に高まります。

この手口はいつから続いているのか

今回の話題は2026年7月のものですが、同じパターンの詐欺は数年前から繰り返し報告されています。
2023年には、Instagramでイラストレーターを狙ったPayPal詐欺が発生し、@satakeshunsuke氏がこう注意を呼びかけていました。

このときの手口は、通常の依頼料の100倍近い「2000〜5000ドル」という高額提示から始まり、PayPalアプリ内で支払いたいという名目でメールアドレスを執拗に求めるというものでした。
メールアドレスを渡すと、PayPal運営を装った偽メールが届き、「ビジネスアカウントへのアップグレード費用」として200ドルの支払いを要求される流れです。

さらに2025年にも、@illust_rice氏が同様のPayPal詐欺について注意喚起を投稿しています。

依頼料に加えて「300ドル送ったから返金してほしい」と持ちかけられたという内容で、「PayPalの手数料や上乗せ分を返金してほしい」という体で被害者に送金させようとする点は、2023年の事例と共通しています
2023年、2025年、そして2026年のいきるさんの投稿と、少なくとも3年にわたって似た手口が形を変えながら続いていることが分かります。

実際に金銭被害は出ているのか

今回のいきるさんの件を含め、現時点で具体的な金銭被害が確定的に報告されているわけではありません。
いきるさんは依頼を断ったと明言しており、今回の投稿自体は「未然に防いだ」事例として共有されています。
それでも、こうした投稿が繰り返し拡散される背景には、実際に被害に遭ったクリエイターが過去に存在していることがあります。
Skebは対処法として、PayPalなどへの誘導を受けた際は必ず相手に「具体的にどの決済手段が使えないのか」を確認すること、直接取引や外部サイトへの誘導を避けること、チャージバックが起きにくい国際送金サービス(WISEなど)を検討することを挙げています。

Shiritomo編集部の考察:明日からできることは2つ

この一件をSNS運用の視点で見ると、DM経由の商談は「相手の実在性を確認しづらい」という構造的な弱さを抱えています。
フォロワー数や投稿頻度で信頼度を測る従来のやり方は、詐欺アカウントが最低限の投稿履歴を用意すれば簡単にすり抜けられてしまいます。

編集部として提案したいことは2つです。
1つは、プロフィールや固定ポストに「依頼はSkeb経由のみ」「DMでの直接取引は行いません」と明記し、条件を外部に見えるようにしておくことです。
もう1つは、高額オファーが来た時点で一度立ち止まり、相手のアカウント作成日と過去のやり取り実績を確認する習慣を持つことです
今回のいきるさんの投稿が広く拡散されたこと自体、同じ手口を知らない人にとっての「先行事例の共有」として機能しており、こうした注意喚起の連鎖がコミュニティ全体の防御力を底上げしている点も見逃せません。

まとめ

海外DMからの高額イラスト依頼は、Skebを避けてPayPalなどに誘導する詐欺パターンが少なくとも2023年から続いており、いきるさんの投稿はその最新の一例でした。
SNSでDM経由の商談を受ける機会がある人は、プラットフォーム内決済を貫くことと、相手のアカウントの新しさを確認することを、今日からの習慣にしておきたいところです。

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