総務省がXやGoogleに初の是正勧告——「情プラ法」の開示不備で何が起きたのか

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月24日 更新
総務省がXやGoogleに初の是正勧告——「情プラ法」の開示不備で何が起きたのか

42項目中22項目。
総務省が7月24日、Googleに対して「開示が不十分だった」と指摘した数です。
Xも18項目で同様の不備が認定されました。

対象は他にMeta、爆サイ.comを運営する湘南西武ホーム、ニコニコ動画のドワンゴを含む5社。
情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法:SNSなどの悪質投稿対応の透明性を義務づける法律)に基づく行政指導としては、これが初めてのケースです。

自社のSNS公式アカウントの運用ルールが直接変わるわけではありません。
ただ、投稿を削除する・しないの判断をどこまで開示しているかという「プラットフォームの信頼度」を測る新しいものさしが、公的な形で示されたことになります。
この記事では、何が問題視されたのか、そして企業のSNS運用にどう関わってくるのかを整理します。

先に結論をまとめると:
– 総務省は7月24日、X・Google・Meta・湘南西武ホーム(爆サイ.com)・ドワンゴ(ニコニコ動画)の5社に情プラ法違反で是正勧告を出しました。
同法に基づく行政指導は初めてです
– Googleは義務づけられた開示項目42のうち22項目、Xは18項目で不備が認定され、両社は2026年8月31日までに修正した開示資料の再公表を求められています
– LINEヤフーやTikTok、サイバーエージェントなど他の指定事業者は期限内に適切な開示を済ませており、企業ごとの「透明性の差」が可視化された形です

何が起きたのか:5社そろって「開示不備」の判定

情プラ法は、月間利用者数1000万人以上のSNS・動画・掲示板サービスを運営する事業者に対し、悪質投稿の削除申請への対応実績を年1回公表するよう義務づけています。
2025年4月の施行後、最初の公表サイクルとして各社が2025年度の実績を今年5月までに公表していました。

総務省はこの公表内容を精査した結果、Google・X・Meta・湘南西武ホーム・ドワンゴの5社について、義務項目の開示に不備があると認定しました。
特にGoogleとXは不備の数が多く、「改善の方向性が明確でなかった」として、2026年8月31日までに修正資料の再公表を求められています
Meta・湘南西武ホーム・ドワンゴの3社は改善計画の提出を指示され、今後定期的に対応状況が確認される見通しです。

一方で、同じく指定事業者であるLINEヤフーやTikTok、サイバーエージェントなどは適切に公表を済ませており、是正勧告の対象にはなりませんでした。
同じ規制のもとで明暗が分かれた格好です。
ではGoogleとXは、具体的に何を開示していなかったのでしょうか。
ここから一次情報をもとに掘り下げます。

調べて分かったこと

そもそも何を開示する義務があるのか?

情プラ法が求める開示項目は、削除申請に7日以内に対応した件数、削除しない場合はその理由を通知した件数、利用者や公的機関からの通報を受けて削除した件数・しなかった件数、AIによる自動削除やアカウント停止の件数、日本語を理解するコンテンツモデレーター(投稿内容を審査・削除判断する担当者)の人数など、あわせて42項目にのぼります。
単に「削除しました」という総数だけでなく、判断の内訳や体制まで含めて数字で示すことが求められている点がポイントです。

なぜGoogleとXは「不十分」と判定されたのか?

日本経済新聞の報道によれば、Googleは42項目中22項目、Xは18項目について、公表資料の中で適切な開示がされていなかったと判定されています。
半分前後の項目が抜け落ちていたことになり、単なる記載漏れというより、制度全体への対応の遅れを示す数字といえそうです
総務省側も両社について「改善の方向性が明確でなかった」と評価しており、これが他の3社より重い「再公表」という対応を求められた理由になっています。

何も対応しなければどうなるのか?

是正勧告自体に罰則はありませんが、正当な理由なく従わなかった場合は「是正命令」が発出されると定められています。
是正命令は勧告よりも強い行政処分であり、さらに従わなければ次の段階の措置に進む可能性があります。
今回の5社がどこまで期限内に対応するかによって、情プラ法が実際にどの程度の実効性を持つ制度なのかが試されることになりそうです。

企業のSNS運用にどう関係するのか?

自社の公式アカウントの投稿ルールや運用フローが今回の勧告で直接変わることはありません。
ただし、悪質投稿や誹謗中傷への対応体制は、企業がキャンペーンや炎上対応でプラットフォームに削除依頼を出す際の「頼れるかどうか」に直結します。
削除対応の透明性が低いプラットフォームほど、いざというときの対応スピードや基準が読みにくいリスクを抱えているとも読み替えられるでしょう。
SNS運用担当者としては、各社の透明性報告書(対応実績の公表資料)を一度確認しておくと、炎上対応やブランドセーフティ(自社の投稿・広告が不適切な文脈に表示されないようにする配慮)の判断材料になります。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

今回の勧告で目を引くのは、罰則の重さよりも「数字による見える化」の効果です。
42項目という細かい単位で開示不備を指摘されたことで、GoogleとXの対応の遅れが具体的な数字として残りました。
これは今後、企業がプラットフォームを比較検討する際の指標になり得ます。

Shiritomo編集部として提案したいのは2つです。
1つ目は、自社が主に運用しているSNSの透明性報告書に一度目を通しておくこと。
削除件数やモデレーター体制の記載が薄い場合、炎上時の対応に時間がかかる可能性を織り込んでおいた方が安全です。
2つ目は、8月31日の再公表期限を1つの節目として、GoogleとXがどう修正資料を出すかを追っておくこと。
修正の中身次第で、今後さらに他のSNSにも同様の指摘が及ぶかどうかの目安になります。
情プラ法はまだ最初の運用サイクルが始まったばかりの制度です。
今回の勧告は、その実効性を占う最初の試金石になりそうです。

まとめ

総務省は7月24日、情プラ法に基づき初めての行政指導として、X・Google・Meta・湘南西武ホーム・ドワンゴの5社に是正勧告を出しました。
GoogleとXは42項目中それぞれ22項目、18項目の開示不備を指摘され、8月31日までの修正資料の再公表が求められています。
SNS運用者にとっては直接のルール変更はなくとも、プラットフォームの信頼性を測る新しい判断材料が公的に示された出来事といえるでしょう。

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