企業公式Xの「中の人」80人が東京と大阪に集結、3周年イベントで語られた運用のリアル
テーブルいっぱいに並んだマスコットキャラクターのぬいぐるみと、その前で笑顔を見せる担当者たち。
7月23日、そんな写真とともに報告されたのが「公式X中の人コミュニティ」の3周年記念オフラインイベントです。
会場は東京と大阪の2都市、集まった参加者は合わせて約80人にのぼりました。
企業のXアカウントを日々運用している人にとっては、他社の担当者と直接話せる数少ない機会でもあります。
この記事では、イベントの内容と、そこから見えてくる「企業公式アカウント運用」の今を掘り下げます。
先に結論をまとめると:
– 「公式X中の人コミュニティ」は2024年6月発足、現在は数十人規模の運用担当者が参加する情報交換コミュニティに育っている
– 3周年イベントのテーマは「ファンを生む企業公式Xアカウントの作り方」で、GMOサインや乗換案内NEXTなど知名度のあるアカウントの担当者が登壇した
– Xのアルゴリズムは「いいね数」より「返信や滞在時間」など会話の深さを評価する方向に変わっており、登壇内容もこの変化への対応がテーマの中心になっている

何が起きたのか──「中の人」たちが顔を合わせる日
「公式X中の人コミュニティ」は、企業公式Xアカウントの運用を担う人たちが情報交換や交流のために集まる場です。
7月23日、東京と大阪の2会場で3周年を記念したオフラインイベントが開催され、あわせて約80人が参加しました。
テーマは「ファンを生む企業公式Xアカウントの作り方」。
GMOサインブログや乗換案内NEXTといった、Xで一定の知名度を持つアカウントの運用担当者が登壇し、日々の運用術やアルゴリズムへの対策を共有したといいます。
会場ではマスコットキャラクターが一堂に会した集合写真も話題になり、参加者からは「可愛くて和む」といった声が上がりました。
普段は画面の向こうで淡々と投稿を続けている「中の人」同士が、顔を合わせて悩みを語り合える場になっている様子がうかがえます。
参加者の感想としても「現場のリアルが濃密だった」「新しいつながりができた」といった声が寄せられ、豪華なお土産も話題になったようです。
ただ、こうした感想だけでは、なぜこのコミュニティがここまで続いているのか、実際に何が語られたのかまでは見えてきません。
そこで、コミュニティの成り立ちと登壇内容を一次情報で確認してみました。
調べて分かったこと
このコミュニティはいつ、どうやって始まったのか?
「公式X中の人コミュニティ」の運営メンバーが公開しているnote記事によると、コミュニティは2024年6月12日に活動を開始しています。
きっかけは前日6月11日のオンラインランチ会でした。
3人の運営メンバーが「公式アカウントの運用で困っている人はたくさんいるはずだ」という共通認識を持ったことから立ち上げに至ったとされています。
活動内容はSlack(ビジネス向けチャットツール)上での相談室や告知・宣伝、参考投稿のシェアといった日常的な情報交換に加えて、オンラインイベントも定期的に開催されてきました。
座談会や企業の運用術に関する勉強会、コラボアイデアを発掘するイベントなど、発足から数カ月の間に複数回のイベントが実施されています。
今回のような大人数のオフラインイベントは、こうした地道な積み重ねの先にある節目といえそうです。
「困っている人はたくさんいるはず」という運営側の実感どおり、コミュニティは発足から2年で東京・大阪同時開催・80人規模にまで成長しました。
登壇者は何を語ったのか?
イベントの登壇者として名前が挙がっているGMOサインは、公式Xアカウントの運用担当者がメディアでの寄稿やセミナー登壇の実績を積んでいるアカウントの一つです。
同社の担当者が語った内容として確認できたのは、Xのアルゴリズム(投稿の表示順位や拡散範囲を決める仕組み)が大きく変化しているという指摘でした。
2025年5月ごろにいいね数が急減し、フォロワー以外へのリーチ(投稿が届く範囲)が3〜5割ほど縮小したという実感を持ったといいます。
背景にあるのが、評価指標そのものの変化です。
かつては「いいね数」の多さが重視されていましたが、現在は返信の有無や投稿を読んでいる滞在時間など、「会話の深さ」がアルゴリズムの評価対象になってきているとされています。
単純な表示回数を稼ぐより、フォロワーとの会話を生む投稿の方が届きやすくなっているという見方です。
こうした変化への対応策を、GMOサインの担当者は自社の運用実績をもとに語ったようです。
今回のイベントでこの内容がそのまま共有されたかどうかは公式発表からは断定できませんが、登壇の経緯からして近い内容が扱われた可能性は高いといえるでしょう。
乗換案内NEXTのような「別分野」のアカウントが登壇する意味は?
もう一社の登壇者として挙げられている乗換案内NEXTは、乗り換え案内サービスを提供するジョルダンの公式Xアカウントです。
交通情報の発信だけでなく、季節の行事や周辺スポットの紹介などを交えた投稿でフォロワーとの距離を縮めていることがうかがえます。
BtoC(企業対消費者)サービスとBtoB(企業対企業)サービスという異なる立場のアカウントが同じ場で登壇するのは、業種を問わず「ファンを生む運用」という共通の課題があることの表れではないでしょうか。
Shiritomo編集部の考察:明日から見直したい2つのこと
登壇内容から浮かび上がるのは、SNS運用の評価軸が「どれだけ見られたか」から「どれだけ会話が生まれたか」へと移っている流れです。
運用担当者にとっての示唆は大きく2つあります。
1つ目は、投稿の設計段階から「返信したくなる余白」をどう作るかを意識すること。
質問形で終わる投稿や、あえて情報を出し切らない投稿は、この評価軸のもとでは合理的な選択になり得ます。
2つ目は、他社アカウントとの絡みを増やしすぎないことです。
企業アカウント同士の交流が増えると特定の狭いクラスタに固定されやすく、個人ユーザーへのリーチがかえって細る可能性があると報告されています。
BtoBとBtoCという異なる文脈のアカウントが同じ勉強会で情報を持ち寄る今回の構図も、特定クラスタに閉じないための工夫の一つと見ることができそうです。
コミュニティという横のつながりが、こうした変化の速い情報を業種を超えて共有する装置として機能している点は、注目に値します。
まとめ
「公式X中の人コミュニティ」の3周年イベントは、単なる懇親の場ではなく、アルゴリズムの変化という運用担当者共通の課題を業種横断で共有する機会になっていたようです。
マスコットの集合写真の裏側には、日々の運用に向き合う担当者たちの地道な情報交換の積み重ねがありました。