スマホを2年ごとに乗り換えると新機種が「実質1円」になる仕組み、正体はキャリアの分割プログラムでした

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月1日 更新
スマホを2年ごとに乗り換えると新機種が「実質1円」になる仕組み、正体はキャリアの分割プログラムでした

バッテリーが弱ったスマホをヨドバシカメラの店頭で相談したところ、店員から勧められたのは「2年ごとにキャリアを乗り換える」という提案だったといいます。
投稿者は半信半疑のまま新機種を手に入れました。
「乗り換えで得をする」というこの話、実は都市伝説でも裏技でもありません。
ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルが公式に用意している分割購入プログラムの仕組みそのものです。
スマホの買い替えを検討している人にとっては、知っているかどうかで支払総額が大きく変わる話なので、実際の条件をキャリアごとに確認していきます。

先に結論をまとめると:

  • 各社の分割プログラムは「48回または24回払いで購入し、既定の期間内に端末を返却すれば残債が免除される」という共通構造を持つ
  • 期間・回数・手数料はキャリアごとに違い、返却できない場合や査定に落ちた場合は数万円の追加費用が発生する
  • 背景には総務省による「通信料金と端末代金の完全分離」規制があり、キャリアはMNP(携帯電話番号ポータビリティ)による顧客獲得競争の手段としてこの仕組みを使っている

ヨドバシでの体験談がきっかけでした

きっかけになったのは、次男のスマホの調子が悪くなり、ヨドバシカメラに相談に行ったという投稿です。

「お得に乗り換えたい」という前向きな投稿ですが、実際にどういう仕組みでお得になるのかは書かれていません。
今回の元ニュースの要約によれば、ドコモやauなどのキャリアが提供する端末購入サポートでは、スマホを48回分割で購入し、24ヶ月後に返却すると残債が免除され、月1円程度で最新機種を使い続けられるとされています。
ただ、この「48回」「24ヶ月」という数字は、キャリアや商品ラインによって細かく変わります。
総称としての「端末購入サポートプログラム」は存在せず、各社がそれぞれ別の名前・別の条件で提供しているという点が、話をややこしくしている原因のようです。
そこで、キャリア各社の公式ページで条件を一つずつ確認しました。

調べて分かったこと

各社のプログラムは名前も回数も違いました

まずドコモです。
「いつでもカエドキプログラム」は、残価設定型の24回払いで端末を購入し、23ヶ月目までに返却すれば24回目(残価)の支払いが不要になる仕組みです。
23ヶ月を過ぎると支払期間が49ヶ月に延長され、残価がさらに24分割される点も公式に明記されています。

auは2026年2月25日に従来の「スマホトクするプログラム」の新規受付を終了し、現在は後継の「スマホトクするプログラム+」を提供しています。
こちらも基本は24回払いで、13〜25ヶ月目の返却で残債が不要になりますが、「特典利用料」として最大22,000円がかかる点は見落とせません。
破損・故障があれば別途「故障時利用料」が上乗せされる場合もあります。

ソフトバンクの「新トクするサポート」は48回払いが必須で、25ヶ月目以降の返却で最大24回分が不要になります。
プランによっては13ヶ月目以降の返却で最大36回分が免除されるコースもあり、査定に通らなければ22,000円の追加費用がかかります。

楽天モバイルの「買い替え超トクプログラム」も48回払いで、25ヶ月目以降の返却で残債(最大24回分)が不要になります。
終了時には3,300円の事務手数料がかかります。

こうして並べると、ヨドバシで案内された「48回・24ヶ月」という条件は、48回払いを採用しているソフトバンクや楽天モバイルの仕組みに近いことが分かります。
ドコモやauの24回払いのプログラムとは回数の設計そのものが異なっているのです。

なぜこんな仕組みが存在するのでしょうか

この手の分割プログラムが生まれた背景には、総務省が進めてきた「通信料金と端末代金の完全分離」規制があります。
総務省は2018年以降、端末購入を条件にした通信料金の値引きや、通信契約を条件にした端末代金の値引きを禁止する規律を整備してきました。
かつてのような「2年契約すれば端末が実質0円」という売り方ができなくなった結果、キャリア各社は「端末代金そのものを分割し、一定期間後に返却すれば残債を免除する」という形でお得感を演出するようになった、という流れのようです。

もう一つの投稿は、この仕組みをこう説明しています。

48回払い、返却、そして乗り換え割引を組み合わせることで、24ヶ月分の支払いをほぼ相殺できる、という理解です。
実際、MNPで他社に乗り換える際には各社が高額な乗り換え割引を上乗せするケースが多く、分割プログラムの残債免除と組み合わさることで、実質負担が数十円〜数百円程度まで下がる例も見られます。
この背景には、2021年4月から原則無料化されたMNP転出手数料もあります。
転出コストが下がったことで、キャリアを乗り換えるハードルそのものが低くなったことも、こうした「2年ごとの乗り換え」を後押ししているようです。

利用するうえでの注意点は何でしょうか

いいことずくめに見える仕組みですが、注意点も一次情報から確認できました。

まず返却時の査定です。
画面割れや水没など各社の定める条件を満たさない状態で返却すると、ドコモ・au・ソフトバンクいずれも数万円規模の追加費用が発生します。
次に返却期限です。
期限内に返却できないと残債が再分割される形で支払いが続く設計になっており、回収キットの返送を忘れるとそのまま数年間支払いが続くことにもなりかねません。
そして2年ごとに手続きを繰り返すこと自体の手間です。
回線切り替えやデータ移行など、乗り換えのたびに発生する作業は小さくありません。

Shiritomo GADGET編集部の考察

このニュースを価格設計の観点から見ると、興味深いのは「キャリアが端末の中古価値をどう見積もっているか」という点です。
各社の残価は「その機種が2年後にいくらで売れるか」の予測値そのもので、査定が甘ければキャリアが損をし、厳しすぎれば消費者から選ばれなくなります。
プログラムの条件が各社で微妙に違うのは、マーケティング施策の差というより、各社の中古端末査定ノウハウの差が表れた結果とも読めます。
もう一つ注目したいのは、回収された端末のその後です。
返却端末は整備のうえ中古市場やレンタル市場に再流通するケースがあり、キャリアにとっては新規販売とは別の収益源にもなります。
利用者が「お得に新機種を使えた」と感じる裏側で、返却された旧機種がもう一つの市場を回しているという構造は、買い替えサイクルを考えるうえで押さえておきたいポイントです。
円安や部材価格の高騰が続けば、この残価設定型プログラムの重要性はさらに増していくと考えられます。

まとめ

「2年ごとにキャリアを乗り換えるとお得」という話は、ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルが公式に提供する分割購入プログラムに基づく、実在する仕組みでした。
ただし条件や手数料はキャリアごとに異なり、返却期限や査定基準を誤ると逆に負担が増えることもあります。
乗り換えを検討する際は、目先の「お得」だけでなく、各社の公式条件を自分の目で確認してから判断するのが安全です。

さらに深掘りしたい方へ

モトローラ「moto g37」が2万円台で予約殺到――3キャリア横並び発表の裏側モトローラ「moto g37」が2万円台で予約殺到――3キャリア横並び発表の裏側ソフトバンク版の一括価格は21,984円。 そこにMNP割引が乗ると、支払い額はわずか24円になります。
ドコモがiPhone最新2万5190円値上げ、7月28日で「旧価格」終了ドコモがiPhone最新2万5190円値上げ、7月28日で「旧価格」終了iPhone 17 Pro Max(2TB)のドコモオンラインショップ価格が、7月28日を境に39万9850円から42万5040円へと2万5190円動きます。