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プログラマーとイラストレーターのAI活用観、なぜこんなに分かれるのか

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月1日 更新
プログラマーとイラストレーターのAI活用観、なぜこんなに分かれるのか

「学習してもらって構わない」と「学習されるのが一番こわい」。
同じ生成AIの話をしているのに、プログラマー界隈とイラストレーター界隈からは、ここまで違う反応が返ってきます。

2026年7月30日、この落差に疑問を投げかけた1件の投稿がきっかけで、両業界の温度差をめぐる考察がXで一気に広がりました。
数日のうちにTogetterまとめまで作られるほどの反響で、AIの活用を発信するSNS運用者やクリエイターにとっても、他人事とは言いにくい話題です。
この記事では、何がきっかけで議論になったのか、そして実際のところ職種によるAIへの態度差はどれくらいあるのかを、一次データにあたって整理しました。

先に結論をまとめると:

  • きっかけは「プログラマーはAIを喜んで使うのに、イラストレーターは自分の絵柄の模倣を強く嫌がる」という問いかけ投稿
  • 業界団体の調査では、イラストレーターの約59%、漫画家の約76%が画像生成AIに否定的な一方、Webデザイナーは約61%が肯定的と、職種によって評価が大きく割れている
  • 差の背景には「成果物が主役の仕事」か「作風そのものが個性であり商品価値の仕事」かという構造の違いがある

Xで広がった「態度差」への問いかけ

話題の発端は、-akku-さん(@akku1139)が2026年7月30日15時45分に投稿した1件でした。
プログラマー界隈は自分の書いたコードが学習に使われても抵抗が少なく、むしろAIを積極的に使いこなしているのに対し、イラストレーター界隈は自分の絵が学習されることへの拒否感が強い人が目立つ——そんな疑問を投げかける内容です。

この投稿をきっかけに、なぜそこまで反応が分かれるのかを説明しようとする考察が相次ぎ、まとめサイトTogetterに「プログラマー界隈は自分のコードが学習されてもAIを喜んで利用し、イラストレーター界隈は自分の絵が学習されるからAIを毛嫌いする人が多いのはなぜ?→様々な考察が集まる」というまとめが作られるまでになりました。
ただ、Xの声だけでは「実際にどれくらいの温度差があるのか」までは分かりません。
そこで、業界団体が公表している調査データを確認してみました。

調べて分かったこと

なぜプログラマーはAIを喜んで使うのか?

考察の中で繰り返し語られていたのが、プログラミング文化とイラスト文化の目的の違いです。
プログラミングの世界には、他人のコードを流用・改変して使うオープンソース(誰でも中身を見て再利用できるように公開されたソフトウェア)や、いわゆるコピペ文化が根づいています。
プログラマーにとって重要なのは「動くものが完成すること」であり、コードそのものは目的を達成するための部品という位置づけです。
だからこそ、AIがコードを提案してくれること自体は自然な延長線上にあり、抵抗感が生まれにくいと説明されていました。

一方でイラストは事情が異なります。
絵柄そのものが作者の個性であり、しばしば「自分らしさ」を証明する商品価値でもあります
同じ構図・同じ雰囲気の絵をAIが大量に生成できてしまう状況は、プログラマーにとっての「コードが流用される」こととは重みがまったく違う、という指摘が考察の中心にありました。

イラストレーターの否定的な反応は、実際どれくらい強いのか?

感覚的な話だけでなく、実際の数字も確認してみました。
日本イラストレーション協会(JILLA)が2025年12月3日から25日にかけて会員9職種を対象に実施した「画像生成AIに対する意識調査」(有効回答386件)によると、画像生成AI全体への否定的評価(非常に否定的+やや否定的)は46.4%、肯定的評価は32.4%、どちらともいえないが21.2%でした。

職種別に見ると差はさらに鮮明になります。
イラストレーターの否定的評価は約59%、漫画家に限ると約76%にのぼりました
「描くこと」そのものが仕事の核である職種ほど、警戒感が強く出ている形です。
対照的に、Webデザイナーは約61%が肯定的評価をしており、同じクリエイティブ職でも「何を作るか」によって受け止め方がここまで違うことが、数字の上でも裏付けられていました。

SNSでの反応はどう広がったのか?

-akku-さんの投稿に対しては、コードとイラストで「再利用されること」の意味そのものが違うのではないか、という角度から補足する声が続きました。

さらに、絵柄が模倣されることへの心理的な抵抗感の強さに触れる反応や、自分の作品がAIの学習素材として扱われる状況そのものへの違和感を語る投稿も見られました。
単に「賛成・反対」で割り切れる話ではなく、なぜその感情が生まれるのかを言語化しようとする考察が積み重なっていった印象です。

こうした反応の広がり方を見ると、この話題が「AI是非論」ではなく「職種ごとの価値観の違いを言語化する試み」として受け止められていたことがうかがえます。

権利団体はAI企業に何を求めているのか?

JILLAの調査では、会員がAI企業や行政に期待する対応も聞かれています。
最も多かったのは「著作権を守る取り組み」(299件)で、次いで「行政への提言・提案」(248件)、「《生成AI使用マーク》の試験運用」(174件)と続きました。
単にAIの利用に反対しているというより、経済的な還元や権利保護の仕組みを整えたうえでの共存を求める声が中心にあるようです。

Shiritomo編集部の考察:発信するなら「立場の違い」を前提にする

このテーマがSNSで伸びやすいのは、賛否のどちらか一方に肩入れせず「なぜ差が生まれるのか」を構造で説明できる論点だったからだと見ています。
単純な「AI賛成/反対」の二項対立は共感が偏りやすく拡散が伸び悩みがちですが、今回のように「職種による構造の違い」という切り口は、プログラマーもイラストレーターも「自分は間違っていない」と感じたまま議論に参加できます。
これが結果的に多様な立場からの引用・考察を呼び込み、まとめサイト化するほどの広がりにつながったと考えられます。

AIやクリエイティブ分野の話題を発信する側にとっての示唆はシンプルです。
同じ「AI活用」というテーマでも、職種や成果物の性質によって受け止め方は大きく違います。
発信する際は「AI全般」として一括りにせず、対象読者がどちらの立場に近いかを意識したメッセージ設計をすると、無用な炎上を避けつつ共感を得やすくなるでしょう。

まとめ

プログラマーとイラストレーターのAIへの態度差は、感情論ではなく「成果物が主役の仕事」か「作風そのものが商品価値の仕事」かという構造の違いに根ざしていました。
JILLAの調査でもイラストレーター・漫画家の否定的評価がWebデザイナーより明確に高く、この温度差は今後もAI関連の議論で繰り返し表面化しそうです。

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