西野亮廣「100人に届いていたのが2人に50回」ーー初耳学のSNS広告論がSNS運用者に刺さった理由
「前までだったら100広告出したら100人に届いてたけど、今100広告出したら2人に50回届く」。
8月2日放送のTBS・MBS系「日曜日の初耳学」90分スペシャルで、絵本作家・キングコング西野亮廣さんが語ったこの一言が、放送直後からSNS上で共有されています。
自身が手がける映画「えんとつ町のプペル」シリーズの宣伝で、広告費を前作の倍投じても手応えが薄かったという実体験をもとにした発言でした。
SNSの運用や広告出稿に関わる人にとっては、数字も具体的で聞き流せない話です。
この記事では、西野さんの発言内容を一次情報で確認したうえで、SNS広告のリーチがなぜ縮小しているのか、そして今の運用者が何を見直すべきかを整理します。
先に結論をまとめると:
– 西野さんは「以前は100人に届いた広告が、今は2人に50回届くだけ」と自身の実感を語り、プラットフォームのアルゴリズムがリーチを狭めていると指摘した
– 番組内では、オンライン広告よりも駅貼りポスターのような「地上戦(アナログ広告)」の方が効果的だったという趣旨の話も伝えられている
– 屋外広告(OOH)市場は実際に回復傾向にあり、SNS一辺倒だった広告設計を見直す動きは業界全体でも進んでいる
何が起きたのか
「日曜日の初耳学」は、著名人が知られざる分野の知識を「授業」形式で語る番組です。
8月2日は90分スペシャルとして放送され、西野さんは「リーダーとしての思考法」の講義に加え、SNS広告についても持論を展開しました。

内容の核は、SNS広告の到達効率が落ちているという指摘です。
西野さんによれば、以前は100の広告を出せば100人に届いていたのに対し、今は同じ100の広告を出しても、届くのはわずか2人で、その2人に50回ずつ表示されるだけだといいます。
プラットフォーム側がユーザーを長く滞在させたい思惑を持ち、似た属性の少数のユーザーに繰り返し広告を配信するアルゴリズムになっている、という趣旨の説明でした。
放送を見ていたユーザーもこの話に強く反応しています。
初耳学。西野亮廣さんの話、面白いなぁ…スマホのアルゴリズムの話が分かりやすかった。100広告を出したら100人に届いていたものが、この1年で100広告出したら2人に50回届くようになったと。スマホの宣伝はもう死んでいて、これからの広告はアナログな地上戦(駅貼りのポスターのような)のほうが強い。
— ミチュルル©︎(たかはしみさお) (@mityururu) 2026年8月2日
「スマホの宣伝はもう死んでいて」という表現からも分かる通り、単なる感想ではなく、自分の実感と重ね合わせて受け止めている投稿が目立ちました。
番組ではさらに、石田純一さんが前回の講義に感銘を受けてスタジオにサプライズで姿を見せ、西野さんの話を熱心にノートへメモを取っていたことも話題を後押ししたようです。
ただ、テレビの中の一エピソードとして消費するにはもったいない内容です。
「本当にSNS広告の効率はそこまで落ちているのか」「代わりにアナログ広告が有効というのは本当か」を、次の章で一次情報を確認しながら見ていきます。
調べて分かったこと
「100人届いたのが2人に50回」は本当に西野さんの発言なのか
この数字は番組を報じたスポーツ紙の記事でも確認できました。
西野さんは映画「えんとつ町のプペル」シリーズの広告費を前作の倍投じたにもかかわらず、思うような反響が得られなかった経験を踏まえ、「今はほとんどオンラインで情報投げても届いていない」と述べています。
プラットフォーム企業について「彼らはユーザーを基本沼らせたい。
長時間いさせたい」という発言もあったと報じられており、視聴データをもとに配信対象を絞り込む仕組みが背景にあるようです。
一方、「地上戦」「駅のポスター」という具体的な言葉遣いは、番組を報じた記事では確認できませんでした。
放送を見ていた複数の視聴者が独立に「地上戦(ポスター広告)が大事だと話してた」「これからの広告はアナログな地上戦(駅貼りのポスターのような)のほうが強い」と投稿しています。
複数の証言が一致しており、番組内でそうした趣旨の発言があった可能性は高いといえます。
ただし裏取りはできていないため、この部分は「そう語ったと伝えられている」程度の受け止めにとどめておくのが適切です。
SNS広告のリーチは本当に縮小傾向にあるのか
「アルゴリズムのせいで少数のユーザーに情報が偏る」という指摘は、SNS運用に携わる人ほど共感しやすいはずです。
実際、各プラットフォームはサードパーティCookie(Webサイトをまたいでユーザーの行動を追跡する仕組み)の廃止やプライバシー規制の強化に直面しています。
その結果、個人の行動を追いかけるターゲティングから、投稿内容に合わせたコンテキスト(文脈)ターゲティングへと軸足を移しつつあります。
あわせて、興味関心が近いユーザーをまとめたコホート(属性の近いユーザー集団)単位の配信も広がっています。
精密に個人を狙い撃つ配信が難しくなった以上、「同じ人に繰り返し表示される」という西野さんの実感は、業界の構造変化と整合します。
アナログ広告(OOH)への回帰は実際に起きているのか
もう一つ気になるのは、「駅のポスターなどの地上戦のほうが効果が高い」という主張です。
屋外広告・交通広告(OOH:Out of Home、駅や街頭の看板・ポスターなど屋外で接触する広告全般を指す)の市場は回復が進んでいます。
直近は交通広告の出稿量が前年比108.6%まで伸び、コロナ禍からの落ち込みを取り戻しつつあると報告されています。
エリアを絞った反復接触による認知形成は、デジタル広告では代替しにくい屋外広告の強みとされています。
OOHで認知を作ってからスマホ広告で購買を後押しする「クロスメディア」設計を採る事例も増えているようです。
SNS上だけで完結させない発想は、西野さん個人の思いつきではなく業界的な流れだといえそうです。
初耳学 西野亮廣先生の話が大変興味深かった
— eriT (@ek88640185) 2026年8月2日
SNS上の宣伝効果について(意訳)
100広告出したら
前:100人に届く
今:2人に50回届く
→オンラインで偶然の出会いはない
→オフラインで出会う
→宣伝費をポスターに全ベット
→老若男女街は歩く
→めちゃ客きた
私:ほぇ~!フライヤーとQRぷっちょ配ろ
「オンラインで偶然の出会いはない」という表現は、似た興味関心のユーザーばかりに情報が偏り、フォロワー以外との偶発的な接触が減っている実感をよく言い当てています。
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
西野さんの話が刺さったのは、抽象的な「アルゴリズムが厳しくなった」という話ではなく、「100人届いていたのが2人に50回」という具体的な数字で語られたからでしょう。
SNS運用の現場でも同じことが起きています。
フォロワー数が増えても、インプレッション(投稿が表示された延べ回数)が伸び悩むアカウントは珍しくありません。
これは既存フォロワーへの偏った配信が原因であることが多く、新規リーチを増やすには「保存」や「シェア」など拡散を後押しする行動を誘発する投稿設計が欠かせません。
もう一つの示唆は、SNS単体で完結させないという視点です。
SNS運用者が明日からできることは二つです。
ひとつは、投稿の目的を「フォロワーへの浸透」と「新規層へのリーチ」に分けて設計すること。
もうひとつは、SNS外の接触点(イベント、店頭、紙媒体など)とSNSでの発信を連動させ、オンラインだけに依存しない設計を検討することです。
まとめ
西野亮廣さんの「100人に届いていたのが2人に50回」という発言は、実体験に基づく主張であることが一次情報でも確認できました。
SNS広告のリーチ縮小は業界構造の変化とも整合しており、「オンライン一辺倒」の設計を見直すきっかけにしてよいトピックだといえます。