「誹謗中傷をHIGH・MEDIUM・LOWで自動仕分け」——松浦勝人氏のAI構想が示すSNS運用者への宿題

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月13日 更新
「誹謗中傷をHIGH・MEDIUM・LOWで自動仕分け」——松浦勝人氏のAI構想が示すSNS運用者への宿題

毎朝届く1通のレポートに、前日の投稿がHIGH・MEDIUM・LOWの3段階で並ぶ。
罪名の整理まで済んでいて、あとは弁護士に渡すだけ——。
そんな仕組みを自作したという投稿が、Xで注目を集めています。

投稿の主は、エイベックス会長の松浦勝人氏です。
要約によると、松浦氏はSNSの投稿を巡回・分析するAIシステムを開発し、誹謗中傷の深刻度を自動で振り分ける機能や、証拠保存・通報文書の作成機能を実装したうえで、周囲に「使いたい人はいるか」と利用需要を尋ねたとされています。
溝口勇児氏や加藤公一レオ氏、ふっきー先生といった名前が「欲しい」と反応した一方、正当な批判との線引きや、ツール自体が新たなトラブルの火種になりかねないという懸念の声も上がったと伝えられています。

自社のSNSアカウントを運用している人、あるいは経営者としてレピュテーション(社会的評価)管理を担う人にとって、これは他人事ではありません。
誹謗中傷への向き合い方を、個人の忍耐力ではなく「仕組み」で解決しようとする動きが、著名人の周辺から生まれ始めているからです。
この記事では、松浦氏の発言の背景と、SNS運用の現場で実際に何が起きているかを合わせて確認していきます。

先に結論をまとめると:
– 松浦勝人氏が、誹謗中傷をHIGH・MEDIUM・LOWで自動分類するAIを個人的に開発し、需要を探ったとX上で話題になっています
– 同種の「AIによる誹謗中傷検出」は、日本プロ野球選手会が2025年秋にすでに実運用しており、個人発の取り組みが後追いする形になっています
– 「正当な意見との線引き」「AIの誤判定リスク」への懸念は根強く、導入する場合は人の目によるダブルチェック体制が前提になります

松浦勝人氏が明かした「誹謗中傷仕分けAI」の中身

要約されている内容を整理すると、このAIは大きく4つの機能を持つとされています。
1つ目はSNS投稿の巡回とHIGH・MEDIUM・LOWでの深刻度分類、2つ目は該当しうる罪名の整理、3つ目は投稿日時やURLといった証拠の保存、4つ目は毎朝の報告書作成です。
さらに弁護士と連携すれば、開示請求(投稿者の身元情報を開示するようプラットフォームや通信事業者に求める法的手続き)までの一部自動化も視野に入れているといいます。

松浦氏は過去にも、匿名アカウントによる誹謗中傷に対して強い姿勢を取ってきた人物です。
2025年10月には自身のXで「証拠は全部保存した。
これから順次、情報開示請求で白日の下に晒していく」と投稿し、段階を踏んで法的対応に移る意向を明らかにしています(参考)。
今回伝えられているAI構想は、この「証拠保全→通報→開示請求」という一連の対応フローを、人力ではなくシステムに任せようとする延長線上にあると見ることができます。

ただし、今回のAI開発そのものについては、松浦氏本人の投稿を一次情報として直接確認することができませんでした。
誰が「欲しい」と反応したか、どういう文脈でのやり取りだったかは、機能の詳細や反応の内容も含め、あくまで伝聞ベースとして受け止める必要があります。
そのうえで、なぜこのタイミングでこうした話が支持を集めるのか、背景を調べてみました。

調べて分かったこと

なぜ今、誹謗中傷対策AIが注目されているのか?

個人の思いつきに見えるかもしれませんが、実は「AIによる誹謗中傷検出」は既に実装段階に入っている領域です。
日本プロ野球選手会は2025年のクライマックスシリーズ・日本シリーズにあわせて、選手へのSNS上の誹謗中傷を検出するAIを導入したと報じられています(参考)。
弁護士ドットコムも、投稿前に攻撃性や差別性をチェックする「AI炎上チェッカー」を公開済みです(参考)。
団体や企業がすでに同様のAIを実運用している以上、著名人個人が自分専用の検知システムを持とうとするのは、時代の流れとしては自然な延長といえるでしょう。

「昨年6950万件」という数字は本当か?

要約には「日本では昨年1年でSNS誹謗中傷の報告件数が6950万件に上る」という記述がありますが、この出典・算出根拠は今回のリサーチでは確認できませんでした。
参考までに、総務省が委託する「違法・有害情報相談センター」に寄せられた誹謗中傷関連の相談は、2022年度で5745件、8年連続で5000件を超える水準で推移しています(参考)。
桁が4桁ほど違うため、集計対象がまったく別のもの(プラットフォーム側の自動検知件数や海外含む数字など)を指している可能性が高く、6950万件という数字はそのまま鵜呑みにせず、一次情報が確認できるまでは参考値として扱うのが安全です。

「誰が誹謗中傷か」を誰が決めるのか?

このタイプのツールで最も難しいのは、技術的な検出精度ではなく「線引き」です。
批判と誹謗中傷の境界線は、投稿の言葉遣いだけでなく文脈や事実関係の有無によって変わります。
AIが機械的にHIGH・MEDIUM・LOWと振り分けても、その判定を鵜呑みにして開示請求まで進めれば、正当な批判をしていた人まで法的措置の対象にしてしまうリスクが残ります。
要約でも「正当意見の線引き」を懸念する声が紹介されており、これは技術以前の運用設計の問題だと考えられます。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

SNS担当者・経営者が持ち帰るべき示唆は2つあります。
1つ目は、誹謗中傷対応を「気づいたら都度対応する」から「巡回・記録・エスカレーションの仕組みを先に作る」へ切り替える発想です。
NPBの事例のように、シーズンやキャンペーンなど炎上リスクが高まる期間だけでも自動巡回を導入する選択肢は現実的になっています。
2つ目は、AIの判定を最終判断に使わないことです。
HIGH判定が出た投稿こそ、開示請求という強い法的手続きに直結しうるため、人(できれば弁護士)による確認を挟む二段階の運用が欠かせません。
自動化はスピードを上げる道具であって、判断そのものを代替する道具ではない、という線引きを社内ルールとして先に決めておくことが重要です。

まとめ

松浦勝人氏が誹謗中傷を自動仕分けするAIを開発したという話は、投稿の一次確認こそできなかったものの、AIによるSNS監視がすでに個人・団体の双方で現実の選択肢になりつつあることを映し出しています。
数字や発言の細部は鵜呑みにせず、仕組み化の発想だけを冷静に持ち帰るのが良さそうです。

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