「これ普通に景品表示法違反だと思うんだ」──SUUMOのAI加工写真、7万いいねが突きつけた境界線

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月16日 更新
「これ普通に景品表示法違反だと思うんだ」──SUUMOのAI加工写真、7万いいねが突きつけた境界線

「これ普通に景品表示法違反だと思うんだ」。

そう言い切った投稿に、71,020件のいいねと693万回を超えるインプレッションが集まりました。
不動産ポータルサイトに載っている物件写真——家具の比率がどこかおかしく、部屋は実際より広く見える。
そんな違和感に気づいた人たちが、SNS上で次々と声を上げています。

SNSでの発信や広告制作に携わる人にとっても、他人事ではありません。
AIで写真を美しく加工すること自体はもう珍しくない今、この記事では「どこまでなら許されるのか」という線引きを、実際のガイドラインをもとに確認していきます。

先に結論をまとめると:
– SUUMOやLIFULL HOME’Sなどの物件写真で、AIによる過剰な加工が景品表示法違反ではという指摘が拡散した
– 「電柱・隣接建物の消去」「眺望の合成」「壁の瑕疵の隠蔽」は、注記があってもなくても不当表示にあたる
– 「搬入可能な家具の配置」など、はっきりわかる注記付きの加工は認められている

「景品表示法違反では」という指摘が拡散した理由

きっかけは、Xユーザーが「不動産サイトの物件写真をAIでよく見せる加工、法律で禁止すべきでは」という趣旨の疑問を投げかけたことでした。
これに対する返信の一つが、爆発的に拡散します。

家具の配置比率が不自然だったり、広角レンズを使ったかのように実際より広く見えたり——内見時の印象とのギャップに戸惑った経験がある人は少なくないようです。
引用や返信では「これ、加工前の写真も見てみたい」「内見して落胆したことがある」といった共感の声が相次ぎました。

ただ、この投稿だけでは「具体的に何が違反にあたるのか」まではわかりません。
そこで、不動産業界の公正競争規約を確認してみました。

調べて分かったこと

具体的に何が「違反」にあたるのか?

不動産公正取引協議会連合会が定める公正競争規約と景品表示法にもとづくと、「電柱や隣接建物の消去」「存在しない眺望の合成」「壁の傷やカビの隠蔽」は、注記があってもなくても不当表示にあたるとされています。
実際と異なる日当たりに見せる加工や、部屋を実際より広く見せる加工も同様です。

一方で、AI加工がすべて禁止されているわけではありません。
「実際に搬入・設置できるサイズの家具を配置する」といった、暮らしのイメージを伝えるための加工は、消費者がはっきり認識できる大きさで注記をつければ認められています。
居住中の物件を空室のように見せる加工も、「空室時のイメージです」という注記があれば問題にならないとされています。

つまり線引きの基準は、「加工しているかどうか」ではなく「消費者が正しく判断できる材料が示されているか」にあるようです。

なぜ今、この話題が広がったのか?

背景にあるのは、生成AIによる画像加工が誰でも手軽にできるようになったという事情でしょう。
以前は専門的な画像編集の技術が必要だった加工が、今はテキストで指示するだけで数秒で完成します。
手軽になった分、「注記をつける」という一手間が省かれやすくなっているのかもしれません。

不動産ポータル側の対応も進んでいるようです。
大手ポータルの中には、AIで生成されたとみられる画像を自動検知し、適切な注記がなければ非掲載にする運用を始めているところもあるようです。

見つかったら、どうなるのか?

景品表示法に違反した場合、消費者庁による措置命令に加えて、売上の3%にあたる課徴金が科される可能性があります。
2024年の法改正以降は、100万円以下の罰金という直罰規定も設けられました。
事業者にとっては、法的な処分よりも「ポータルサイトから掲載を止められること」の方が実務上の打撃が大きいとも言われているようです。
それだけ、写真の見せ方ひとつが売上に直結する業界だということでしょう。

Shiritomo編集部の考察:SNS担当者が今日から確認すべきこと

この一件が示すのは、AI加工そのものの是非ではなく、「注記なしで公開する前に、誰かに見せて説明できるか」というシンプルな基準の大切さです。
SNS上での物件写真の拡散力は強く、一度「盛りすぎ」という印象がつくと、内見時のギャップとしてそのままクチコミ化してしまいます。
不動産業に限らず、商品写真をAIで加工して発信する企業アカウントは、公開前に加工前後を並べて「消費者が誤解しないか」を確認する習慣を持つとよさそうです。
過度な加工は短期的にはクリックを稼げても、長期的にはブランドへの不信につながりかねません。

まとめ

AIによる写真加工は便利な一方、業界のルールを超えれば法的リスクに直結します。
SUUMOやLIFULL HOME’Sの物件写真をめぐる今回の指摘は、SNSでの拡散力が「加工のやりすぎ」を可視化した一例だと言えるでしょう。

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