「売れてます」が「売れます」に——AIポップの誤字を気にしないスーパーの言い分
店頭のポップに書かれているのは「売れます」。
本当は「売れてます」と書きたかったはずなのに、微妙に意味が変わってしまっています。
そんなAI生成のポップが、あるスーパーの店頭に並んでいるとXで話題になりました。
誤字が出ても直さず、そのまま貼り出す。
一見雑に見えるこの判断の裏には、コストと品質を天秤にかけた店側の割り切りがありました。
店舗の販促物づくりに関わる人にとっても、「どこまでの粗さなら許容できるか」を考えさせられる事例です。
先に結論をまとめると:
– 首都圏のスーパー「コモディイイダ」のAI生成ポップに「売れてます」が「売れます」になる誤字が見つかった
– 担当者は、値段が違うなどの致命的なミスでなければ気にしないとし、「効率化に繋がって安く売れる方がお客さんに喜んでもらえる」という方針を説明している
– デザインの完成度より価格への還元を優先する姿勢に、賛否が分かれている
Xで見つかった「気にしないポップ」
ライブドアニュースの公式アカウントが9月13日、この話題を投稿しました。
同社はポップ作成にAIを導入しており、デザインに綻びが生じることもあるが気にせず並べているとのこと。
担当者は「効率化に繋がって安く売れる方がお客さんに喜んでもらえる」と方針を説明したといいます。
【販促POP】AI生成で「売れてます」が「売れます」になるも…気にしない コモディイイダの方針
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2026年9月13日
同社はポップ作成にAIを導入しており、デザインに綻びが生じることもあるが気にせず並べているという。担当者は「効率化に繋がって安く売れる方がお客さんに喜んでもらえる」と方針を説明した。
投稿には400件を超える引用が付き、誤字より低価格を優先する姿勢を評価する声と、対応の粗さを問題視する声の両方が見られたとみられます。
ただ、この投稿だけでは「なぜここまで誤字を許容できるのか」という店側の判断基準までは見えてきません。
そこでコモディイイダという会社について調べてみました。
調べて分かったこと
コモディイイダとはどんなスーパーなのか
コモディイイダは東京・埼玉・千葉の一都二県に店舗を展開する食品スーパーマーケットチェーンです。
規模の大きいチェーンではないからこそ、ポップ作成のような細かい業務も含めて、限られた人手でどう回すかが経営課題になりやすい立場にあります。
AI導入の背景には、こうした中堅スーパーならではの事情があったとみられます。
なぜ誤字より価格を優先できるのか
一般的にポップのデザインは、外注するか担当者が時間をかけて作るかのどちらかになりがちです。
どちらもコストがかかり、そのコストは最終的に商品価格に上乗せされます。
AIにポップ作成を任せることで、この工程を大幅に圧縮できる一方、「売れてます」が「売れます」になるような細かい言い回しのミスは避けきれません。
同社の姿勢は、値段の誤りなど致命的なミスでなければ許容範囲と位置づけ、浮いたコストを価格に還元する考え方だと説明されています。
デザイナー的な視点からは「人間なら大騒ぎするレベルの誤字」に見えても、店側にとっては優先順位が違うということです。
「完璧なポップ」より「安い商品」を選ぶという判断は、値上げが相次ぐ今の状況では一定の支持を集めやすい面もありそうです。
見た目の粗さは他の店でも起きている
AI生成のポップやメニュー画像で見た目の違和感が指摘される例は、飲食店でも報告されています。
見た目への違和感を訴える反応が出る一方で、コスト削減の効果を優先する店側の判断は今回のケースと共通しています。
AIが生成物をどこまで人の目でチェックするかは、業種を問わず店舗運営の新しい論点になりつつあるようです。
AIポップの導入は失敗例ばかりではない
一方で、AIを使ったポップづくりが成果につながった例もあります。
福岡のスーパー「西鉄ストア」は、口コミや購買データをAIに解析させて売り文句を自動生成する実証実験を実施し、対象店舗のカレーカテゴリーの売り上げが前年比105.5%になったと報じられています。
こちらは誤字の許容というより、データに基づいた文言づくりに重点を置いた取り組みで、コモディイイダのケースとはAIの使い方の方向性が異なります。
同じ「AIでポップを作る」という取り組みでも、何を優先するかによって受け止められ方が変わってくることがうかがえます。
Shiritomo編集部の考察:「誤字の許容ライン」は業態で変わる
今回の件で興味深いのは、誤字そのものより「どこまでなら許せるか」という線引きが店ごとに違う点です。
スーパーのポップは掲示期間が短く、次々と入れ替わるため、多少の言い回しのミスは実害になりにくい面があります。
一方で、商品説明やアレルギー表示のように誤字が誤解につながる箇所では、同じ許容は通用しません。
SNS運用や販促物を扱う立場から見ると、「見た目の完成度」と「実害の有無」を分けて考えることが、AIをどこまで任せるかの判断基準になりそうです。
コスト重視の姿勢そのものを否定するのではなく、どの工程は人の確認を残すべきかを切り分ける視点が、今後さらに問われていくと考えられます。
まとめ
誤字を気にせず貼り出すという判断は、雑さではなく「価格への還元」を優先した結果でした。
AIが生成した販促物とどう付き合うかは、これからも各店舗の試行錯誤が続きそうです。
さらに深掘りしたい方へ
コモディイイダは首都圏で複数店舗を展開する食品スーパーで、公式サイトでは店舗情報やチラシを随時公開しています。