「roast me and don’t hold back」——深夜のGACKTが投げた一文にXが乗った理由
「Based on everything you know about me, roast me and don’t hold back.日本語で答えろ」。
2026年8月26日朝、GACKTさんがXに投稿したのは、この一文だけでした。
ChatGPTに自分の欠点を遠慮なく突っ込ませる指示文——投稿は数時間で1万3千件を超える「いいね」と1,800件超のリツイートを集めています。
SNSを日常的に使っている人なら、一度は「AIに自分のことを分析させたらどうなるんだろう」と考えたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、GACKTさんの投稿をきっかけに広がった今回の動きと、実はこの遊び自体が今に始まったものではないという背景を確かめていきます。
先に結論をまとめると:
– GACKTさんの投稿は「roast me」という一文をChatGPTに送るだけの簡単な指示文で、AIが会話の記憶をもとに辛口の分析を返します
– 「roast me」文化はもともと2025年半ばに欧米のSNSで広がった手法で、今回はGACKTさんの投稿が日本のXで再び火をつけた形です
– AIの辛口コメントが刺さるのは、褒め言葉よりも「図星」を突く指摘のほうが人に見せたくなるというSNSの性質と関係していそうです
GACKTさんが投げた一文と、その後の反応
GACKTさんの投稿はこちらです。
みんなはチャットGPTを使ってるか?
— GACKT (@GACKT) 2026年8月25日
ボクは色んなAIをかなりフル活用している。
もし、
チャッピーをかなり使っているなら、
このコマンドを入れてみてくれ。
【Based on everything you know about me,
roast me and don't hold back.日本語で答えろ】
これは、…
「みんなはチャットGPTを使ってるか? ボクは色んなAIをかなりフル活用している。
もし、チャッピー(ChatGPTの愛称)をかなり使っているなら、このコマンドを入れてみてくれ」という前置きに続けて、例のプロンプトが貼られています。
投稿にはGACKTさん自身がこのプロンプトを試した結果も添えられており、本人も自覚していたであろう癖をAIに指摘された様子がうかがえる内容でした。
この投稿を見て、実際に同じコマンドを試すユーザーが相次ぎました。
ChatGPTは会話履歴を記憶している場合、それをもとに「あなたはこういう人ですね」という分析を返してきます。
的外れな回答が出ることもあれば、本人が薄々気づいていた性格の癖をずばり言い当てることも——後者に当たったときの「図星感」が、投稿を見せ合う楽しさにつながっているようです。
ただ、この投稿だけを見ていると「一発ネタ」のように映るかもしれません。
そこで、このプロンプト自体がどこから来たものなのか、一次情報を確認してみました。
実は”逆輸入”だった——「roast me」プロンプトの正体
調べてみると、「AIに自分をroastさせる」という遊び方は、GACKTさんの投稿よりずっと前から欧米のSNSで広がっていたものでした。
海外メディアの報道によれば、この手のプロンプトが本格的に広まったのは2025年半ば。
きっかけは、InstagramのライフスタイルアカウントがXユーザー向けに用意した「フィードのスクリーンショットをChatGPTに読み込ませ、辛口な講評をさせる」というテンプレートだったといいます。
この遊びはわずか数週間で30万人以上がTikTokやInstagram上で試したと報じられており、著名人では、ポップスターのデミ・ロヴァートさんが2025年3月ごろに同様の「roast me」プロンプトを試し、AIの講評を受けて笑いながらファンに共有していたと伝えられています。
GACKTさんが今回使ったプロンプト「roast me and don’t hold back」も、この系譜にある定型文のひとつです。
つまり日本のXで起きていたのは、海外で1年ほど前に定着していた遊び方が、著名人の投稿をきっかけに改めて広がったという構図でした。
目新しい技術ではなく、「AIに自分をいじらせる」という体験そのものが持つ普遍的な面白さが、時間差で日本のタイムラインに再上陸したと見るのが実情に近いでしょう。
なぜ「辛口」がここまで刺さるのか
AIが返す言葉自体は、褒め言葉でも辛口でもプログラム的には同じ「文章生成」にすぎません。
それでも辛口のほうが拡散されやすいのは、SNSの拡散構造と無関係ではなさそうです。
褒め言葉は当たり障りがなく、見た人の反応も「そうだね」で終わりやすいものです。
一方で「図星を突かれた」という体験は、本人にとって驚きがあり、かつ他人から見ても「その人らしさ」が伝わりやすいネタになります。
加えて、AIという第三者的な存在に指摘させることで、自虐でも他人からのいじりでもない、独特の距離感のユーモアが生まれます。
これが「自分もやってみたい」という模倣行動を引き起こしやすい構造だと考えられそうです。
Shiritomo編集部の考察:ブランドアカウントが真似る前に考えたいこと
この手のプロンプト遊びは、個人が楽しむ分には気軽なエンタメで終わります。
ただ、SNS運用の観点では一つ注意したい点があります。
企業・ブランドの公式アカウントが同じノリで「AIに自社を辛口評価させてみました」といった投稿をする場合、AIの回答は学習データやその時々の文脈に左右されるため、意図せず事実と異なる指摘や、取引先・競合に対する不用意な言及を含んでしまうリスクがあります。
個人の自虐ネタと、企業の対外的な発信では「外れたときのコスト」がまったく異なります。
また、今回のGACKTさんのケースが示すように、こうした遊びが伸びるのは「本人が結果を笑って受け止めている」ことが前提になっている点も見逃せません。
AIの指摘に本気で気分を害した様子を見せてしまうと、笑いのネタは一転して「ネガティブな話題」に転じかねないでしょう。
真似るなら、まず自分自身で試してから発信するくらいの慎重さがあってよさそうです。
まとめ
GACKTさんの一投稿がきっかけで日本のXに広がった「roast me」プロンプトは、実は欧米で1年ほど前から定着していた遊び方の再上陸でした。
AIの辛口コメントが刺さる理由は技術の目新しさではなく、「図星を突かれる」体験が持つ拡散力にあります。
試す側は楽しめても、企業アカウントがそのまま真似るには一段の慎重さが必要かもしれません。