NTTデータ、AIだけで商用システムを半年で開発 社員1行も書かず
「コードを1行も人間が書かない」——そんな見出しを見かけて、思わず読み返してしまいました。
SIer(システムインテグレーター、企業からITシステム開発を請け負う会社)最大手のNTTデータで、エンジニア3人が生成AIを全面活用し、クライアント向けの商用システムをわずか半年で完成させたといいます。
設計からテストまで、社員が担ったのはプロンプト(AIへの指示文)の修正とレビューだけでした。
2025年10月から2026年3月にかけて実際に行われたプロジェクトの話で、SFでも誇張でもないようです。
X(旧Twitter)での反響
このニュースがXで拡散されると、エンジニアコミュニティを中心に大きな反響が広がりました。
「ついにここまで来たか」「SIerの仕事が根本から変わる」と驚く声が相次いでいます。
一方、懐疑的な意見も少なくありません。
「テストはちゃんとできているのか」「バグが抜けていたら誰が責任を取るのか」——品質管理や責任体制への疑問が多く寄せられました。
育成面では意見が割れていて、「若手はコードを書かずにスキルが身につくのか」という懸念と、「むしろAIに任せた方が若手が本質的な設計思想を学べる」という肯定的な見方が混在しています。
さらに、NTTデータが次のフェーズとして100万行規模のAI開発を目指すとの情報も拡散されており、「本当にできるなら業界のゲームチェンジャーだ」という期待の声も高まっているようです。
「AIネイティブ開発」の実態を深掘りしてみました
一次情報を確認してみると、NTTデータはこの取り組みを「AIネイティブ開発」と位置づけており、2026年度中の本格導入を目指していることがわかりました。
使用されたツールはGitHub CopilotやClaude Sonnet 4.5などの生成AIで、開発対象はNTTデータ自社のアーキテクチャ(システムの設計構造)フレームワーク「Terasoluna」をベースにしたAWSシステムです。
設計書・ソースコード・テストケースのすべてをAIに生成させ、エンジニアはレビューとプロンプトの調整に徹する体制をとっています。
ノウハウの属人化(特定の人しか知らない状態になること)を防ぐため、73個のプロンプトファイルを整備してチーム全体で共有したといいます。
日本経済新聞の報道によれば、実証段階では製造工程で約7割の合理化を達成し、工期短縮と生産性約3倍向上という成果が得られたとのことです。
若手社員がAIとの対話を通じてアーキテクチャの考え方を吸収できる効果も確認されたといいます。
ただし、テスト工程ではバグのすり抜けや、AIが生成したテストケースの網羅性不足といった課題も明らかになっているようです。
NTTデータグループはAWSやMicrosoft、OpenAIなど主要テクノロジーパートナーとの協業も積極的に進めており、生成AI関連ビジネスはグローバルで2,000件を超える受注に達しているとのことです。
AIネイティブ開発は、その中核を担う戦略として位置づけられています。
さらに深掘りしたい方へ
- 生成AIがシステム丸ごと開発 NTTデータ、IT人材不足に抜本策(日本経済新聞)
- 生成AI(Generative AI) | NTTデータ 公式サービスページ
- NTTデータ「AIネイティブ開発」考察|2026年度導入で変わるシステム開発の未来(はとはとブログ)
- 2025年のトレンドとは?生成AIを活用したソフトウェア開発の現在地(NTTデータ DATA INSIGHT)
- GitHubとのビジネス連携によりシステム開発への生成AI適用を推進(NTTデータグループ プレスリリース)
おわりに
「人間がコードを書く」という従来の前提を、NTTデータのこの取り組みは根本から問い直しています。
品質保証や責任体制など、まだ解決すべき課題は残っているでしょう。
それでも、AIネイティブ開発が産業としてのSIerのあり方を大きく塗り替えようとしていることは、もはや否定できないのではないでしょうか。