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役所の仕事が変わる——政府AI「源内」が39機関・18万人への大規模実証を開始

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月7日 更新
役所の仕事が変わる——政府AI「源内」が39機関・18万人への大規模実証を開始

「政府のAI活用」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「なんとなく進まなそう」「書類が増えるだけでは?」——そんな冷ややかな見方をしていた方に、一度立ち止まって聞いてほしいニュースがあります。

2026年5月、デジタル庁が開発した政府AI「源内(げんない)」の大規模実証が正式に始まりました。
対象は外局等を含む全39機関の国家公務員、約18万人です。

源内とは何か——政府版「業務AIアシスタント」

源内は、デジタル庁が開発した政府共通の生成AI利用環境です。
名前は江戸時代の発明家・平賀源内にちなんでいます。

機能は国会答弁の作成補助から文書生成、要約・翻訳まで30種類以上。
政府内の機密情報を扱うため、外部クラウドではなく政府専用の環境で動いています。

試験運用の実績は印象的です。
デジタル庁内での運用では、約8割の職員が「業務に寄与している」と評価しました。
1人あたり月平均70回以上の利用があり、主な用途は会議のテキスト要約・文書草案作成・外国語翻訳です。

この実証規模——39機関、約18万人——は、国内でも最大クラスのAI導入事例になります。

デジタル庁のXからも発表が

デジタル庁の公式アカウントがこの実証開始を告知しています。

「本年5月より、ガバメントAI「源内」の大規模実証事業を開始します。
全府省庁・約18万人の政府職員を対象に、生成AIの利用環境を試験的に導入します」という公式コメントです。
政府みずからAIを積極活用することで、「信頼できるAI」の実証の場にするという意図も示されています。

注目は「国産AIモデル7種の試用」

今回の大規模実証で特に注目すべきは、国内開発AIモデルを政府が評価・育てる仕組みが同時に動く点です。

選定された7モデルはこちらです。

企業 モデル名
NTTデータ tsuzumi 2
KDDI + ELYZA Llama-3.1-ELYZA-JP-70B
ソフトバンク Sarashina2 mini
日本電気(NEC) cotomi v3
富士通 Takane 32B
Preferred Networks PLaMo 2.0 Prime
カスタマークラウド CC Gov-LLM

2026年8月から各モデルの試用が始まり、2027年1月に評価を公表。
4月以降に優れたモデルを政府調達するという流れです。
政府の18万人が「AI採点官」として国産LLMを選別する——そんな構図になっています。

松本デジタル相も「自ら使う」と表明

実証に先立ち、松本デジタル大臣みずから「答弁作成に源内を活用する」と表明しました。
高市首相も「源内を使い、創造的に業務を」と職員に呼びかけています。

トップが率先して使う姿勢を示すことで、現場の「使わない理由」を減らすねらいもあるのでしょう。

一方、課題も明確です。
正確性の確保——AIが生成した文書が誤った内容を含む場合に、誰がどう確認するか——という問題は、民間企業でも答えが出ていないテーマです。
特に国会答弁のような高い正確性が求められる場面では、AIと人間の役割分担の設計が重要になります。

「源内」はオープンソースでも公開済み

デジタル庁は今年4月24日、源内のコア部分をオープンソース(Apache 2.0ライセンス)として公開しました。
民間企業や自治体でも源内の構造を参考にしたり、自分たちの環境で再現したりできます。

人事・組織開発の領域からも注目されており、「ガバメントAI「源内」をOSS公開」というニュースとして広く共有されています。
政府製のAIツールがOSS公開される例はまだ珍しく、この判断自体も注目を集めているのです。

デジタル庁が政府AI「源内」のソースコードを公開
デジタル庁が政府AI「源内」のソースコードを公開——お役所AIの中身が丸見えになった
「お役所のAIが、ソースコードをすべて公開する」——そんなニュースを見かけて、思わず二度見してしまいました。

さらに深掘りしたい方へ

まとめ

政府AI「源内」の18万人実証は、行政のAI活用として国内最大規模の取り組みです。
国産LLMの選定・育成というユニークな側面も持ち、日本のAI産業にとっても意義ある実験といえます。
「役所のAI活用は遅い」という常識が、静かに変わろうとしています。