『えっ、AIWAのラジカセ?』と驚かれた黄色い新型、”今のAIWA”の正体を調べてみた
Costcoの棚に、黄色いボディの箱型スピーカーが積まれている。
丸い大きなスピーカーがふたつ、中央には青く光る液晶画面と、昔ながらの針が揺れるVUメーター。
パッケージには大きく「Backtrack Retro Boombox」の文字と、見覚えのあるロゴ。
この写真がXに投稿されると、「えっ!AIWAのラジカセ???」という短い一文に3,300件を超える「いいね」が集まりました。
ガジェット好きなら、AIWAという名前に一度は触れたことがあるはずです。
1980〜90年代にラジカセやウォークマンで一時代を築いたブランドが、なぜ今また新製品を出しているのか。
しかも見た目は当時そのままの黄色いボディです。
懐かしさだけで終わらせず、スペックと「今のAIWA」の正体を実際に調べてみました。
先に結論をまとめると:
– 話題の製品は「Backtrack Retro Boombox」という実在の新製品で、Bluetooth・CD・カセット録音・AM/FMラジオを1台に詰め込んでいます
– 現在この名前を北米で展開しているのは、かつてソニー傘下だったオリジナルのAIWAとは別会社で、日本の「アイワ」もまた別の運営会社によるものです
– 日本国内での販売は確認できず、Costco・Amazon・Targetなどアメリカのチャネルでのみ入手できる状態です
何が起きたのか(Xでの盛り上がり)
投稿を見た人の反応は、懐かしさ一色でした。
「昔使ってたAIWAを返して」といった思い出話や、当時の音の良さを懐かしむコメントが相次いだといいます。
投稿に添付された写真には、陳列棚に置かれた黄色い実機と、カセットデッキのふたを開けて中を見せているカットが写っていました。
天面には「Bluetooth」のロゴと「BASS」の表示、STOPやPROGといった操作ボタンが並んでいますが、投稿本文には型番への言及はありません。
えっ!AIWAのラジカセ??? pic.twitter.com/tcj7I11UcF
— にゃん太郎だよ‼️ (@aigatarinaiyone) 2026年9月6日
ただ、これだけでは「本当に今のAIWA製品なのか」「昔のAIWAと同じ会社なのか」まではわかりません。
ブランド名だけが独り歩きしている可能性もあるため、一次情報を確かめてみました。
調べて分かったこと
スペックは本当なのか?
まず製品自体は実在します。
メーカー公式サイトと小売各社の商品ページを確認したところ、型番は「AI7012」で、ブラック、シルバー、そして話題になった黄色の3色展開でした。
スペックは以下の通りです。
- スピーカー: 5インチウーファー×2、1インチツイーター×2、合計40W出力
- 再生・録音: CD/CD-R/CD-RW再生、カセットデッキ(録音機能あり)、AM/FMラジオ
- 接続: Bluetooth 5.0、USB、microSDカード、AUX入力、マイク入力2系統(エコー機能付き)
- 電源: AC電源のほか、D形電池でも駆動(本数は情報源により6本・8本と表記が割れています)
- 価格: Costcoでは179.99ドル(約2万7000円)。
メーカー直販サイトでは299.99ドルの表示もありました(在庫切れ表示)
なお元の話題では「Bluetooth 5.3」とありましたが、公式サイト・小売各社の表記はいずれも「Bluetooth 5.0」でした。
確認できた数字の方を採用しています。
今の「AIWA」は何者なのか?
ここが一番気になった点です。
オリジナルのAIWAは1951年創業、1969年にソニーが出資を始め、2002年に完全子会社化されました。
しかしソニーは2008年にAIWAブランドの終了を発表しており、当時のAIWAはすでに存在しません。
その後、AIWAという名前は地域ごとに別の企業へ引き継がれています。
北米では、破産手続きを経た運営会社の資産を「Aiwa Acquisitions LLC」という企業が2021年に買い取り、Sakar InternationalやInfinity Lifestyle Brandsと結びついた形で「aiwa」ブランドの家電を展開中です。
今回話題のBacktrack Retro Boomboxも、このアメリカの会社が販売しているものでした。
一方、日本国内で「アイワ」を名乗る家電を出しているのは、2017年にブランドを取得した秋田県のTowada Audio傘下のアイワ株式会社です。
独自にレトロ調のラジオ(aiwa audio -Gシリーズなど)を展開していますが、Backtrack Retro Boomboxとは別ラインです。
つまり「AIWA」を名乗る会社は北米と日本でそれぞれ別に存在しており、今回話題の製品は北米の会社によるものということになります。
ブランド名そのものが資産として売買される点は、家電業界ではめずらしくありません。
日本で買えるのか?
読者にとって一番気になるのはここかもしれません。
Amazon.co.jpやCostco日本、家電量販店のオンラインストアなどを確認しましたが、Backtrack Retro Boomboxの取り扱いは見つかりませんでした。
現時点で確認できた販売チャネルは、アメリカのCostco・Amazon・Target・HSN、そしてメーカー直販サイト(aiwa.co)のみです。
日本での発売や輸入代理店に関する公式な発表も見当たらず、現状は日本未発売の製品と考えられます。
個人輸入以外の入手手段は今のところなさそうです。
今どきカセットテープはどこで買えるのか?
この製品はカセット録音に対応していますが、そもそも今カセットテープ自体が手に入るのか気になった人もいるでしょう。
調べたところ、国内で新品テープを量産しているメーカーはマクセルがほぼ唯一とされ、ヨドバシカメラやビックカメラといった家電量販店のオーディオコーナー、ダイソーなどの100円ショップ、カインズなどのホームセンターで扱われているケースがあるようです。
在庫は店舗によって差があるため、確実に欲しい場合は通販を使うのが無難でしょう。
Shiritomo GADGET編集部の考察
Backtrack Retro Boomboxが示しているのは、「懐かしさ」を軸にした家電の再生モデルです。
ボディの形とロゴだけを継承し、中身はBluetoothやUSB録音といった現行技術に総取り替えする手法は、Polaroidやノキアのブランド復活とも共通します。
ブランド名を持つ会社と、実際に製品を企画・製造する会社が別々になる「ライセンスビジネス」は、開発コストをかけずに認知度の高い名前を使える点で参入障壁が低く、今後もこの手のレトロ家電は増えていくと見られます。
ただし今回のように運営元が地域ごとに分裂していると、消費者からは「本家かどうか」が見えにくくなるのも事実です。
SNSで盛り上がるバズ商品ほど、企業の実態まで踏み込んで確認する価値があると感じました。
まとめ
黄色いレトロラジカセに寄せられた懐かしさの声の裏には、オリジナルのAIWAとは別の企業がブランド名を引き継いで展開しているという事情がありました。
日本ではまだ買えない製品ですが、レトロデザインと現行技術を組み合わせる手法自体は、今後も他のブランドで見かけることになりそうです。