「さらばMate」——32年の法人PCブランドが消え、999gのAI PCに変わった理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月24日 更新
「さらばMate」——32年の法人PCブランドが消え、999gのAI PCに変わった理由

1993年、NECが「98MATE」を世に送り出しました。
それから32年あまり。
企業のオフィスで当たり前のように使われてきた「Mate」と「VersaPro」というブランド名が、2026年7月23日を境に新製品から姿を消すことになりました。

代わりに看板を背負うのは、これまで個人向けだった「LAVIE」です。
法人PCというと無骨で地味なイメージを持つ人も多いはずですが、その常識が今回どう変わるのか。
IT担当者はもちろん、会社支給のPCを毎日使っているビジネスパーソンにも関係のある話なので、何が起きたのかを調べてみました。

先に結論をまとめると:
– NEC PCはデスクトップ「Mate」・ノート「VersaPro」を廃止し、法人向けも個人向けと同じ「LAVIE」ブランドに統合すると2026年7月23日に発表しました
– 統合第1弾として新製品7機種を7月末から順次発売し、フラッグシップの「LAVIE BM94C」は最軽量約999gでCopilot+ PC対応、価格は58万4100円からです
– AIチャットでPC操作を質問できる「AI Plus Biz」など、AI活用を前提にした法人向け新機能が複数追加されています

「Mate」「VersaPro」がなくなる、その日のXでの反応

X(旧Twitter)上のニュース速報には、長年のブランド消滅を惜しむ声が並びました。
「寂しい」「さらばMate」といった懐古の投稿が目立つ一方で、AI時代への適応として前向きに受け止める反応もありました。
SNSでの反応が二分されたのは、それだけ「Mate」「VersaPro」というブランド名が長く現場に浸透していた証だと言えます。

ただ、ブランド名が変わるというニュースだけでは、実際に何がどう変わるのかは見えてきません。
そこで公式発表や専門メディアの報道をもとに、統合の中身を確かめてみました。

調べて分かったこと

なぜ今、ブランドを統合するのか?

NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は、デスクトップPC向けの「Mate」とノートPC・タブレット向けの「VersaPro」という2つの法人ブランドを廃止し、個人向けと同じ「LAVIE」に一本化すると発表しました。
「Mate」の源流をたどると、1993年に登場した「98MATE」に行き着きます。
NECの黎明期からPC-9800シリーズの一角を担い、Windows時代に移ってからも法人向けの主力として使われ続けてきたブランドです。

統合の背景には、AI機能への対応をブランドをまたいで一気に進めたいという狙いがあるとみられます。
個人向けの「LAVIE」はこれまでもAI PCとしての機能強化を進めてきており、法人向けも同じ土台に乗せることで、開発リソースを一本化しやすくなるという事情も透けて見えます。

具体的に何が変わるのか?

統合第1弾として発表されたのは、7月末から9月下旬にかけて順次発売される新製品7機種です。
14型モバイルノートの「BM94C」「BM74C」「BM54C」、16型ノートの「BN76C」「BN56C」「BN56R」、タブレット型の「BT53C」がラインアップします。

フラッグシップの「LAVIE BM94C」は、最軽量構成で約999g。
Intel Core Ultraシリーズ3を搭載し、Windows 11のCopilot+ PC(AIを前提に設計されたPCの規格:AIチップを内蔵し高度なAI処理をPC単体でこなせる)に対応します。
バッテリーは動画再生時で約30.5時間駆動と、丸1日以上の外出でも充電を気にせず使える計算です。
価格は58万4100円からで、7月末に発売予定です。

もう一つの主力「LAVIE BM74C」は最軽量約914gとさらに軽く、ユーザー自身でバッテリー交換ができる設計を採用しました。
Wi-Fi 7や5G/LTEオプションにも対応し、価格は55万6600円からです。
16型モデルの「BN76C」「BN56C」「BN56R」はバッテリー・SSD・メモリをそれぞれ交換可能にしており、長期利用を前提とした法人向けらしい仕様といえます。

サポート面では、最長7年の引き取り修理保証が用意されているのも特徴です。
一般的な個人向けPCの保証期間よりも長く、複数年でPCを計画的に使い回す企業のニーズに合わせた設計です。

AI機能はどこまで進化したのか?

新ブランドの目玉として打ち出されているのが、チャット形式でPCの操作方法を質問できる「AI Plus Biz」です。
「あいまいな質問にも選択肢を提示してくれる」設計で、情シス担当者への問い合わせを減らす狙いがあります。
このほか、内蔵・Bluetooth・USB接続のマイクいずれでもノイズを抑制する「ヤマハミーティング機能」や、ローカル環境でデータの冗長性を確保する「LAVIEスマートバックアップ」も追加されました。

いずれもクラウドではなく端末側でAI処理を完結させる設計になっている点は、情報漏えいを警戒する企業にとって選定の決め手になりそうです。

なお、防塵・防水性能やMIL規格(米軍調達基準に準拠した堅牢性の目安)への対応については、現時点で公式に明言された情報は確認できませんでした。
堅牢性を重視して選ぶ場合は、発売時の正式な製品ページで個別に確認することをおすすめします。

Shiritomo GADGET編集部の考察:ブランド統合が意味するもの

今回の統合で興味深いのは、「Mate」「VersaPro」という名前を捨ててまで「LAVIE」に一本化した判断です。
法人向けブランドは信頼性や堅牢性を訴求するために、あえて個人向けと切り離して展開されることが業界的には一般的でした。
それをあえて崩したのは、AI PCという新しい価値軸では「法人向け・個人向け」という従来の線引きよりも、「AIをどう使いこなせるか」という軸のほうが購入者に響くと判断したからだと考えられます。

これは他社の動きとも符合します。
AI処理をローカルで完結させるCopilot+ PCという規格自体が、法人・個人を問わず横断的に広がっているからです。
ブランドを分けて開発リソースを分散させるより、一本化して機能開発を集中させたほうが競争力を保ちやすい、という判断でしょう。
PC選びをする側から見ても、今後は「法人モデルだから機能が古い」という思い込みは通用しなくなりそうです。
買い替えを検討する際は、ブランド名よりも搭載AI機能とバッテリー仕様を比較軸にするのが賢い選び方になるでしょう。

まとめ

32年続いた「Mate」「VersaPro」というブランド名は幕を閉じますが、その中身はAI機能とバッテリー性能を大幅に強化した形で「LAVIE」に受け継がれました。
次に会社のPCが新しくなるとき、その画面に映る名前は「LAVIE」になっているかもしれません。

さらに深掘りしたい方へ

今回の発表の詳細なスペックや発表会の様子は、以下の記事で詳しく確認できます。