リーチ力9位、それでも支出喚起力1位——Snow Manが460億円を動かした”数字に出ない強さ”の中身
「リーチ力は9位。
でも支出喚起力は1位、460億円」。
博報堂グループが2026年9月にまとめた調査結果に、こんな組み合わせの数字が並びました。
主役はSnow Man。
投稿がどれだけ多くの人に届いたかを示す「リーチ力」では上位に届かないのに、ファンの財布を動かす力ではどのコンテンツより強いという結果です。
「とにかくインプレッションを伸ばそう」「フォロワー数を増やそう」という指標でSNS運用を考えている人にとって、見過ごせない数字だと思います。
先に結論をまとめると:
– 博報堂グループの「コンテンツファン消費行動調査2026」で、Snow Manがファンの購買を促す力を示す「支出喚起力」で460億円を記録し首位を獲得しました
– 一方、投稿の表示範囲を示す「リーチ力」は611万人で9位にとどまっています
– Mrs. GREEN APPLEも支出喚起力6位・リーチ力2位を記録し、音楽アーティストとして初めて両ランキングでトップ10入りしました
Xで真っ先に反応したファンたち
このランキングが発表されると、Xでは早速数字そのものを紹介する投稿が広がりました。
【リーチ力・支出喚起力ランキング】
— スノ速@Snow Man最新速報 (@sunosoku_info) 2026年9月8日
SnowManが「支出喚起力ランキング」で1位を獲得!
🥇支出喚起力:460億円
🏅リーチ力:9位/611万人
「支出喚起力」は、ファンの購買によってどれほどの売上規模が見込めるかを示す指標。
Snow…
「支出喚起力」という聞き慣れない言葉に反応する声も多く、ファンの購買力を客観的な数字として突きつけられたことへの驚きが投稿から伝わってきます。
ただ、この数字だけを見ても「なぜリーチでは9位のグループが支出では1位になれるのか」までは分かりません。
そこで調査の中身を確かめてみました。
調べて分かったこと
そもそも「リーチ力」と「支出喚起力」は何を測っているのか?
博報堂グループの調査は、全国15〜69歳の男女1万人を対象に2026年2月26日〜3月9日に実施されたインターネット調査で、音楽・映画・アニメなど全11ジャンルのコンテンツを横断的に扱っています。
「リーチ力」は投稿やコンテンツがどれだけ多くの人に認知されているかの広がりを示す指標で、リーチ力1位は『鬼滅の刃』(1,048万人、6年連続首位)でした。
一方「支出喚起力」は、ファンの購買行動によってどれほどの市場規模が生まれているかを示す指標です。
Snow Manはリーチ力では611万人で9位にとどまりながら、支出喚起力では『鬼滅の刃』のような国民的コンテンツを上回る460億円で首位に立ちました。
広く知られているかどうかと、ファンがどれだけお金を使うかは、別の軸で動く数字だということです。
2位は嵐で340億円、Mrs. GREEN APPLEは255億円で6位につけています。
リーチ力とはそもそも「何人に見られたか」を測る指標であり、テレビ露出やSNSのタイムラインでの表示回数が積み上がるほど順位が上がりやすい性質があります。
対して支出喚起力は「見た人がどれだけ財布を開いたか」を金額で測るため、母数の大きさよりもファン1人あたりの熱量が結果を左右します。
Snow Manの結果は、この2つの指標が本来まったく別の力を測っていることを、数字の乖離という形で証明したとも言えるでしょう。
何がSnow Manのファンの財布を動かしているのか?
調査全体を見ると、コンテンツ支出額は1人当たり年間81,022円で、前年の85,052円からは微減したものの過去2番目の高水準を維持しています。
中でも「映画」ジャンルは前年比+1.9%と好調で、劇場鑑賞を中心としたリアルイベント市場への支出は、コロナ禍だった2021年調査以降で最高額を更新しました。
博報堂グループはこの構造を「デジタルで広げ、リアルで稼ぐ」ハイブリッド型と説明しています。
SNSやテレビで認知を広げ、ライブやグッズ、円盤といったリアルな体験・モノの購入で収益化するという流れです。
Mrs. GREEN APPLEがデビュー10周年の大型ツアーを軸に支出喚起力6位・リーチ力2位へ躍進したのも、同じ構造の一例と言えます。
Shiritomo編集部の考察:追うべきは「見える数字」だけではない
SNS運用の現場では、インプレッションやフォロワー数といった「見えやすい数字」が評価軸になりがちです。
しかし今回の調査が示しているのは、コアファンの熱量は、リーチの大きさとは別に育てて測るべき資産だということです。
具体的には、保存数・コメントの熱量・イベント参加率など、購買や継続的な関与に直結する指標を、リーチとは別に追いかける発想が有効です。
特に単価の高い商品・サービスを扱う運用担当者にとっては、フォロワーを増やす施策と、既存ファンの熱量を深める施策を分けて設計する視点が、今後さらに重要になっていくはずです。
まとめ
Snow Manの「支出喚起力1位・リーチ力9位」という結果は、SNSマーケティングにおいて広がりの大きさと購買を促す力が必ずしも一致しないことを示す好例でした。
追うべき数字は一つではないという当たり前のことを、あらためて突きつけられる調査結果だったと言えるでしょう。