Steamのリリース審査に新ルール、開発者自身の「5分プレイ」が無言で必須条件に
Steamでゲームを公開しようとする開発者は、自分の作品を一度も起動せずに審査へ出すことができなくなりました。
公式のアナウンスは一切ないまま、Steamworksのリリース用チェックリストに「開発者自身が最低5分間プレイしていること」という条件がいつの間にか追加されていたのです。
Valveからの正式な発表はなく、気づいたのは海外の開発者コミュニティでした。
先に結論をまとめると:
– Steamworksのリリースチェックリストに「開発者が自分のゲームを5分以上プレイすること」という新条件が追加された
– プレイは直近7日以内、またはデフォルトブランチへビルドをアップロードした後であることが必要で、未検証のビルドをそのまま審査に出せなくなった
– Valveの公式発表はなく、Redditの開発者コミュニティ「r/gamedev」での指摘から発覚した
何が起きたのか
Steamのゲーム公開プロセスでは、開発者が自分のデベロッパーアカウントでSteamworksの管理画面から各種チェックリストを確認しながら審査申請を進めます。
このチェックリストの一項目として、新たに「申請するビルドを開発者アカウントでSteam上から起動し、少なくとも5分間プレイしていること」という条件が加わりました。
この変更に気づいたのは、Valveの告知ではなく、海外の開発者が集まるRedditの「r/gamedev」コミュニティでした。
10月26日ごろの投稿への複数の返信が「以前はこの条件はなかった」と指摘したことをきっかけに、ゲームメディアのAUTOMATONなど複数の媒体が後追いで報じる形となりました。
プレイ時間の条件には細かい指定もあります。
単に「過去にプレイした実績がある」だけでは条件を満たせず、審査対象のビルドをデフォルトブランチにアップロードした後、または直近7日以内に5分以上プレイしていることが必要とされています。
つまり、開発者は審査に出す直前のビルドを自分で実際に触って動作確認した記録を残す必要がある、という設計です。
調べて分かったこと
なぜ今このルールが追加されたのか
Valveは今回の変更について公式な説明を出していません。
ただ、ゲームメディア各社の報道では、生成AIを用いて粗製濫造された低品質なゲームがSteamに増加している状況が背景にあるのではないか、という見方が共有されています。
開発者自身に最低限のプレイを義務付けることで、起動すらできない、あるいはまともに遊べない状態のゲームがそのまま審査に出されることを防ぐ狙いがあるとみられます。
ただし、この「AI生成ゲーム対策」はあくまで推測の域を出ません。
Valveが具体的に何を問題視したのか、どの程度の件数の低品質ゲームが審査に出されていたのかといった裏付けとなる数字は、現時点で公開されていません。
Valveが沈黙を保つ理由
もう一つ注目すべき点は、Valveがこの変更について何の告知もしていないことです。
通常、Steamのポリシー変更はSteamworksのニュースやパートナー向けの発表を通じて周知されることが多いですが、今回はチェックリストの文言が静かに書き換えられただけでした。
これは任天堂が「スーパーマリオメーカー」シリーズなどで、投稿者に自作コースのクリア実績を求める仕組みを導入してきた前例と似た発想とも指摘されています。
プラットフォーム側が明文化したルール変更を大々的に告知せず、審査プロセスの内部で静かに運用を変えるというやり方は、Steamでも今後繰り返される可能性があります。
Shiritomo GAME編集部の考察:「5分」という線引きの難しさ
今回の変更が示すのは、個人・小規模開発者が主戦場であるSteamのストアに、生成AIを使った量産型ゲームの流入という新しい課題が生まれているという現実です。
開発者自身に5分間のプレイを義務付けるという対策は、少なくとも「全く動作しない」「操作すら受け付けない」ような極端な低品質タイトルを入り口でふるい落とす効果は期待できるでしょう。
一方で、5分間という時間設定が適切かどうかは議論の余地があります。
ゲームの導入部だけを5分再生すれば条件を満たせてしまう以上、本質的な品質チェックにはならないという限界も指摘できます。
それでも、Valveが明確な告知をせずに静かにルールを追加したという事実そのものが、プラットフォーム側が試行錯誤しながら対策を探っている段階であることを物語っています。
今後、プレイ時間の条件が強化されたり、別の確認手段が追加されたりする可能性も考えられます。
まとめ
Steamworksのリリースチェックリストにひそかに追加された「開発者自身の5分プレイ」義務化は、公式発表のないまま海外の開発者コミュニティの指摘で発覚しました。
生成AIによる低品質ゲームの増加が背景にあるとみられますが、Valveからの説明はなく、実効性についても今後の運用を見ていく必要がありそうです。