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「中国の原発の方が多い」——5つのAIに同じ質問をぶつけたら、1つだけ違う答えを返した

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月9日 更新
「中国の原発の方が多い」——5つのAIに同じ質問をぶつけたら、1つだけ違う答えを返した

「福島の処理水放出について、どう思う?」。
同じ質問を、DeepSeek、Claude、ChatGPT、Gemini、Grokの5つに投げてみる——そんな検証投稿が、7月7日のXで28,000件以上のいいねを集めました。
結果は、4対1にはっきり分かれています。

投稿主のJapanTank氏(@JapanTank)は、中国のユーザーから「日本は核汚染水を出すな」と言われるたびに「中国の原発の方がトリチウム(水素の放射性同位体で、原発の排水に微量含まれる物質)の排出は多い」と反論してきたものの、なかなか理解されなかったといいます。
その理由を確かめようと、5つのAIに直接聞いてみたのが今回の検証の発端でした。

Xでの盛り上がり

投稿によると、Claude・ChatGPT・Gemini・Grokの4モデルは、いずれも中国の原発(秦山第三原発など)が福島の計画放出量を上回るトリチウムを放出してきた事実を淡々と提示したそうです。
一方でDeepSeekだけは「日本の方が多い、中国は安全」という趣旨の回答を返し、途中で応答が中国語に切り替わる場面もあったと報告されています。
この投稿はインプレッション216万回、引用377件、リプライ756件を記録し、AIの回答の違いそのものが議論の的になりました。

調べてみると、数字の差はかなり大きかった

一次情報を確認すると、これは単なる印象論ではありませんでした。
福島第一原発の処理水放出は、年間のトリチウム放出上限が22兆ベクレルと定められています。
これに対し、中国・浙江省の秦山第三原発は2022年だけで約202兆ベクレルのトリチウムを放出したとする報道があります。
同じく中国の陽江原発が約112兆ベクレル、寧徳原発が約102兆ベクレル、紅沿河原発が約90兆ベクレルと、いずれも福島の年間上限を大きく超える数字が並びます

国際原子力機関(IAEA)は2023年7月、福島の処理水放出について「国際的な安全基準に合致している」とする報告書を日本政府に提出済みです。
さらに、放出される処理水はトリチウム濃度が1リットルあたり1500ベクレル未満まで希釈されており、世界保健機関(WHO)が定める飲料水基準の7分の1以下という水準です。

こうした背景を踏まえると、DeepSeekの回答が事実と食い違っていた可能性は低くありません。
DeepSeekは中国企業が開発したAIで、天安門事件のような政治的にセンシティブな話題でも、中国政府の公式見解に近い回答を返す傾向がこれまでも指摘されてきました。
今回の福島処理水を巡る回答も、その延長線上にあると見られています。

さらに深掘りしたい方へ

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トリチウム放出量の詳細な報道はNikkei Asiaの記事で確認できます。

SocialReport編集部の考察

今回の一件が示しているのは、「AIに聞けば中立的な答えが返ってくる」という前提そのものが崩れつつあるということです。
SNS上でAIの回答をスクリーンショットで共有する行為は、いまや立派な情報発信の一形態になっています。
もしその回答に開発元の国籍や政治的立場に基づくバイアスが含まれていれば、拡散のスピードに比例して誤情報も広がりかねません。
企業のSNS担当者や情報発信者にとっては、AIの生成した数字や主張を鵜呑みにせず、IAEAのような第三者機関の一次情報と突き合わせる習慣が、今後ますます重要になりそうです。
特に政治的にセンシティブなテーマを扱う際は、複数のAIモデルで回答を比較検証するという今回のJapanTank氏のアプローチ自体が、実践的なファクトチェック手法として参考になります。

まとめ

同じ質問に対する5つのAIの回答の違いは、単なる性能差ではなく、開発元の立場が反映された結果である可能性が浮かび上がりました。
AIの回答を情報源として扱う際は、一次データとの照合が欠かせません。