「友人」10.9%、「恋人」2.8%——総務省の白書が映した日本人とAIの新しい距離感
生成AIを「友人」だと感じる人が10.9%、「恋人」だと感じる人が2.8%。
総務省が7月24日に公表した「令和8年版情報通信白書」に、そんな数字が並びました。
日本人の生成AI利用経験率は58.8%まで伸び、前年度の26.7%から2倍以上に急増しています。
SNSやチャットで日常的にAIとやり取りしている人にとって、この結果は決して他人事ではないはずです。
今回は、白書の中身と、そこから見える日本と海外のAIとの「距離感」の違いを掘り下げます。
先に結論をまとめると:
– 日本の生成AI利用経験率は58.8%(前年26.7%)まで急伸し、企業利用も86.4%に広がっています
– 一方で「組織的な取組はない」と答えた企業が27.0%(米国1.4%)と、活用の広がりと体制整備のギャップが際立っています
– 日本人がAIを「友人」「精神的な支え」と感じる割合は米国・中国より低く、依然として「機械・道具」と見なす人が最多です

何が起きたのか
総務省は7月24日、公式Xで「本日、令和8年版情報通信白書を公表いたしました」と告知し、特集として「AI発展の多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜」を取り上げたと発信しました。
本日、令和8年版情報通信白書を公表いたしました。
— 総務省 (@MIC_JAPAN) 2026年7月24日
今回は、特集として「AIの進展がもたらす多面的影響~人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて~」を取り上げています。
総務省ホームページで内容を公開しておりますので、ぜひご覧ください👇https://t.co/qiPA7RIoRs pic.twitter.com/UzhAaFkrcd
この白書は、日本・米国・ドイツ・中国の4カ国で2026年1月から2月にかけて実施した調査をベースにしています。
テキスト生成AIの利用率は24.0%(2024年度)から55.0%(2025年度)へと大きく伸び、日本人の生成AI体験そのものが「使ったことがある人の方が多数派」という段階に入ったことを示しています。
ただ、この急伸の数字だけでは「日本人がAIをどう受け止めているか」までは分かりません。
そこで白書のもう一つの調査項目、AIへの心理的な距離感に注目してみました。
調べて分かったこと
なぜ「友人」「恋人」という項目まで調査したのか
白書は「生成AIはどのような存在か」という設問を4カ国で共通して尋ねています。
日本の回答は「機械・道具」38.3%、「辞書・百科事典」28.9%が上位を占め、「友人」10.9%、「恋人」2.8%という結果でした。
同じ設問で米国は「機械・道具」46.0%に次いで「友人」25.3%、中国では「秘書・アシスタント」44.7%を抑えて「友人」が39.9%にのぼっています。
「精神的な支えとして感じる」という回答も、日本31.4%に対し中国62.8%、米国45.2%と、日本は明確に低い水準でした。
国際比較の枠組みをあえて用意したのは、AIの実用性だけでなく、人とAIの心理的な関係性の変化を各国の政策立案に反映させたいという総務省の狙いがうかがえます。
企業利用86.4%なのに「組織的な取組なし」27%という矛盾
もう一つ興味深いのが、企業側の数字です。
生成AIを業務で利用している企業は86.4%に達した一方、「組織的な取組はない」と答えた企業が日本では27.0%にのぼりました。
米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と比べると際立って高く、中小企業に絞ると45.6%まで跳ね上がります。
つまり、現場の従業員が個人の判断でAIを使い始めている一方、会社としてのルール整備が追いついていないという状態です。
読売新聞オンラインもこの白書について「生成AIは『友人』10・9%、『恋人』2・8%」という見出しで速報し、AIとの心理的距離という切り口に注目が集まっていることがうかがえます。
生成AIは「友人」10・9%、「恋人」2・8%…総務省の情報通信白書で明らかに : 読売新聞 https://t.co/DxD4cZaMwB
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) 2026年7月24日
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
この白書が示しているのは、「日本人はAIに冷めている」という単純な話ではありません。
利用率は急伸しているのに、心理的な距離を縮める人は他国より少ない——これは、SNS上でAI関連の情報発信をする側にとって重要な示唆です。
ひとつは、日本の読者に向けては「便利な道具」としての実用性を軸にした発信の方が刺さりやすいという傾向を踏まえること。
海外事例をそのまま翻訳して紹介しても、AIへの向き合い方の温度差でズレが生じる可能性があります。
もうひとつは、企業アカウントの運用担当者であれば、社内のAI活用ルールが「個人任せ」になっていないかを確認しておくことです。
27%という組織的な取組の空白は、情報漏洩や炎上リスクという形でいずれSNS上の話題にもなりかねません。
まとめ
令和8年版情報通信白書は、日本人の生成AI利用が急速に広がる一方で、AIへの心理的な距離や企業の体制整備は他国に比べてまだ発展途上であることを浮き彫りにしました。
数字の伸びだけでなく、その中身を見ることが大切だと感じさせる結果です。
さらに深掘りしたい方へ
生成AIと社会の関係についてさらに知りたい方は、以下も参考にしてください。
