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「秘書官が2人いらなくなるかも」——高市首相、AIで物価高対策アプリを1分で自作

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月29日 更新
「秘書官が2人いらなくなるかも」——高市首相、AIで物価高対策アプリを1分で自作

「これ関西弁でもいけます?」。
首相官邸の一室で、高市早苗首相がAI講師役の安野貴博氏にそう尋ねる場面がありました。
安野氏が「いけます」と答えると、首相は「いま必死で標準語でしゃべりましたけど」と返したそうです。
8月28日、この官邸でチームみらいの安野党首らを迎えて行われたのが「AI家庭教師」というイベントでした。

政治家がAIをどう使い始めているかは、AIを日常的に使う人にとっても他人事ではありません。
政府のトップが何を作り、何に驚き、何が難しかったのか。
その中身を追ってみました。

先に結論をまとめると:
– 高市首相はChatGPTに音声で指示し、約1分で「物価高対策シミュレーター」というアプリを自作しました
– 家庭ごとの状況を入力すると政府の物価高対策の金額効果が試算できる仕組みで、首相は「こういう数字が欲しかった」と評価しました
– 5月の党首討論での約束が実現した一方、同日の石川・富山の豪雨対応をめぐってSNS上では優先順位を疑問視する声も一部で上がりました

官邸で何が起きたのか

このイベントの発端は、5月20日の党首討論にさかのぼります。
チームみらいの安野貴博党首がAI活用の重要性を訴え、「家庭教師役」を申し出たところ、高市首相が「ぜひお願いします」と応じたのがきっかけでした。
それから3カ月余りが経った8月28日、その約束が官邸で実現しました。

当日は安野党首のほか、チームみらいの峰島侑也氏、小林修平氏も同席し、木原稔官房長官も同じ場に立ち会っています。
高市首相自身もこの日、自身のX(旧Twitter)アカウントで報告しています。

投稿に添付された写真には、大型モニターに「高市総理へのAI家庭教師」と表示され、安野党首が身振りを交えて説明する様子が写っていました。
手元にはノートパソコンが置かれ、実際にツールを操作しながらのレクチャーだったことがうかがえます。
ただ、SNSでの報告だけでは「実際に何を作ったのか」までは伝わってきません。
ここから先は、報道を一次情報として確認しました。

調べて分かったこと

高市首相は実際に何を作ったのか

安野党首自身の投稿によると、首相が体験したのは「バイブコーディング(vibe coding:人間が細かいコードを書かず、AIに自然な言葉で指示してアプリやプログラムを作らせる手法)」でした。

Impress Watchの報道によれば、高市首相はChatGPTに向かって「政府が2026年に実施した物価高対策について、家庭ごとの個別の状況を入力してどれくらいの金額効果があるかを試算できるようなツールを作ってください」と音声で指示し、わずか1分ほどで「物価高対策シミュレーター」が完成したといいます。
使用したのはChatGPTの上位モデルで、思考量の設定は「標準」だったと報じられています(このモデル名は一次情報の要約経由の確認にとどまるため、断定は避けます)。

首相の投稿にある写真を確認すると、モニターには家族構成(納税者数・対象の子ども数)や電気・都市ガスの使用量を入力する項目が並び、下部に「ChatGPTに質問」という入力欄が表示されていました。
試算結果の画面には「重点支援地方交付金の家計効果」という見出しとともに金額の目安が表示されており、条件を変えるたびに数字が動く様子を確認していたようです。
首相は「こういう数字が欲しかった」と評価する一方、地方自治体による重点支援地方交付金の効果がツールに反映されていなかった点を指摘し、その場で機能の追加を依頼したと報じられています。

「秘書官がいらなくなるかも」発言の真意は

シミュレーターの完成度に驚いた高市首相は、ある一言を口にしています。

「総理秘書官が2人くらい必要なくなるかも」。
政府公式SNSアカウントが伝えたこの発言について、毎日新聞の報道では周囲に「引きつった笑い」が広がったとも伝えられています。
首相自身も発言の直後に「冗談です」と付け加えており、実際に秘書官の削減を意図した発言ではなく、AIによる業務効率化のスピード感に対する率直な驚きを言葉にしたものと見るのが自然でしょう。
木原官房長官もこの場に同席し、シミュレーターの動きを間近で確認していたと報じられています。

なぜ「今日である必要があったのか」という声が出ているのか

同じ8月27日から28日にかけて、石川県・富山県では線状降水帯による記録的な豪雨が発生し、大雨特別警報や緊急安全確保が出される事態となっていました。
この豪雨対応をめぐっては、首相がX投稿のみで情報発信し記者会見を開かなかったことに「短時間でもぶら下がり取材に応じるべきだった」との専門家の指摘も報じられています。

こうした状況を踏まえ、AI家庭教師のニュースが流れたタイミングについて、Xでは疑問を投げかける声も見られました。

この投稿は「今日である必要はあったの?」と問いかける内容で、1,400件以上の「いいね」が付いています。
ただし、AI家庭教師イベント自体は5月の党首討論から予定されていた企画であり、豪雨発生後に急きょ設定されたものではありません。
イベントの日程調整と豪雨対応の優先順位が実際にどう関係していたのかまでは、現時点の報道からは確認できていません。
あくまで一部のXユーザーからそうした声が上がっている、という段階の話として受け止めるのが妥当でしょう。

ChatGPTの音声入力だけでアプリは作れるのか

首相が体験したのは特別な開発環境ではなく、ChatGPTに話しかけるだけという手軽さが特徴でした。
実はこの「音声で指示するだけでアプリを作る」という体験は、一般のChatGPTユーザーでも近い形で試すことができます。

安野党首の投稿にもあった通り、バイブコーディングの肝は「作りたいものを言葉で説明する」ことにあります。
プログラミングの知識がなくても、ChatGPTに「〇〇を入力すると△△が計算できるツールを作って」と自然な言葉で頼めば、簡単な集計・試算ツール程度であれば下書きが返ってくることは珍しくありません。
もちろん今回のように公的なデータに基づく試算を正確に作り込むには、専門家によるチェックが欠かせないはずです。
ただ、「まず言葉で頼んでみる」という体験のハードルは、私たちが思っているより低くなっていることは間違いなさそうです。

Shiritomo編集部の考察

今回の一件で興味深いのは、AIが「政策の説明ツール」ではなく「政策の検証ツール」として使われた点です。
従来、政府の対策効果を説明する際は官僚が作成した資料やグラフが使われてきましたが、今回はその場で条件を変えながら試算し直せる仕組みが披露されました。
SNS運用の現場でも、キャンペーン効果の「もし条件を変えたら」というシミュレーションはAIに任せやすい領域です。
テキストで結果を伝えるより、条件を動かして体感してもらう見せ方の方が納得感を得やすいのは、政治の場でも施策の効果検証でも同じかもしれません。
一方で、SNS上の反応が二極化した今回のケースは、話題性のある取り組みほど「タイミング」への視線が厳しくなることも示しています。
発信の中身がどれだけ良くても、出すタイミング次第で受け取られ方が変わる——これはSNS運用担当者にとっても他人事ではない教訓ではないでしょうか。

まとめ

高市首相が音声だけで物価高対策アプリを自作したこの出来事は、行政の現場にAIが実際に入り始めていることを示す象徴的な場面でした。
ツールの完成度そのものよりも、政治のトップ自らが「作る側」を体験したという事実に、今後の行政AI活用の方向性が透けて見えるようです。

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