モバイルバッテリー事故、4年で4倍に急増 経産省が「自己検査」をやめさせる本当の理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月1日 更新
モバイルバッテリー事故、4年で4倍に急増 経産省が「自己検査」をやめさせる本当の理由

51件から192件へ。
モバイルバッテリーの発火事故として経済産業省に報告された件数は、2021年から2025年のわずか4年で約4倍に膨らみました。
電車内や商業施設で突然煙が上がる、といった場面が相次いで報じられており、持ち歩く機器としては見過ごせない数字です。

この急増を受けて経産省が打ち出したのが、モバイルバッテリーの検査の仕組みそのものを変える規制強化案です。
日常的にモバイルバッテリーを使っている人にとっては、「今持っているものは大丈夫なのか」「これから何が変わるのか」が気になるところでしょう。
今回はこの規制強化の中身を調べました。

先に結論をまとめると:
– モバイルバッテリーの発火事故は2021年の51件から2025年の192件へ、約4倍に急増しています(経産省への報告ベース)
– 経産省はメーカーの自己検査に頼ってきた仕組みを、政府登録の第三者機関による検査必須の仕組みに切り替える方針です
– 2027年2月までに関連法令を公布し、2027年3月の施行を目指しています。
施行後は1年間の経過措置が設けられる見通しです

モバイルバッテリー発火事故、なぜここまで増えたのか

経産省によると、モバイルバッテリーの発火事故として報告された件数は、2021年の51件から2025年には192件まで増加しました。
約4倍という伸び方です。
電車の車内や商業施設でモバイルバッテリーから煙や火が出る事故は、ここ数年たびたびニュースになってきました。

背景として指摘されているのが、ネット通販の普及です。
誰でも手軽に安価なモバイルバッテリーを買えるようになった一方で、その中に安全基準を満たさない粗悪品が紛れ込みやすくなっている、という構図があります。
加えて、製造段階でのミスも事故の一因とされています。

経産省はこの状況を放置できないと判断し、検査の仕組みそのものを見直す方針を固めました。
ただ、「検査を厳しくする」と言われても、具体的に何がどう変わるのかはピンときにくいところです。
そこで、規制の根拠になる電気用品安全法(電気製品の安全基準を定める法律で、PSEマークの根拠になっている)の改正内容を詳しく調べてみました。

調べて分かったこと

今の検査と何が違うのか?

現在、モバイルバッテリーを含む多くの電気製品には「○PSE」という表示が付いています。
これは電気用品安全法にもとづき、メーカー自身が基準への適合を確認する「自己確認」の仕組みです。
検査の主体はメーカー自身であり、第三者による確認は必須ではありません。

経産省が示した方針案では、モバイルバッテリーのようにリスクの高い製品を対象に、表示を「◇PSE」に切り替えます。
◇PSEは、政府に登録された第三者機関が適合性検査を行うことが条件になる表示で、工場の検査体制まで確認対象に含まれるとされています。
自己申告だった検査を、外部機関が確認する仕組みに変えるというのが、今回の改正の骨格です。

なぜ発火事故は起きるのか?

技術基準そのものも見直されます。
充放電を制御する仕組みやバッテリーセルの安全性を高める基準が強化されるほか、製造工程での異物混入を防ぐための品質管理措置も義務付けられる見通しです。

実際に起きている事故の原因としては、バッテリーセル内部の電極の「巻きズレ」(電極がずれて重なり、内部でショートを起こしやすくなる不具合)や、製造工程での異物混入が指摘されています。
いずれも、完成品を外から見ただけでは分からない不具合です。
だからこそ、販売前の検査を誰がどう行うかが重要になってくる、というわけですね。

施行はいつから?

改正のスケジュールについても確認しました。
経産省は2027年2月までに電気用品安全法の政省令を公布し、2027年3月の施行を目指しています。
急に切り替わるわけではなく、施行後も1年間の経過措置が設けられる予定です。
この間はメーカー側が新しい検査体制に対応するための猶予期間になるとみられます。

つまり、店頭やネット通販の棚に並ぶモバイルバッテリーが新基準品に一斉に入れ替わるのは、早くても2028年前後になりそうです。
それまでの間は、今の基準の中で自分の身を守る意識が必要になります。

新ルールが始まるまで、今のモバイルバッテリーの選び方は?

新しい検査の仕組みが動き出すのは2027年度以降ですから、それまでは今の基準の中で選ぶしかありません。
基本になるのはやはりPSEマークの有無です。
パッケージや本体に「PSE」の表示があるか、購入前に確認する習慣をつけておくと安心でしょう。
極端に安いノーブランド品や、販売元の情報がはっきりしないネット通販の出品には注意したほうがよさそうです。

すでに手元にあるモバイルバッテリーについても、外装が膨らんでいないか、充電中に異常な熱を持っていないかを時々チェックしておくと、事故を未然に防ぐ手がかりになります。

Shiritomo GADGET編集部の考察:単発の発火事故より、この規制のほうが検索に残る

これまで当媒体でも、Anker「Soundcore 3」の回収や中津駅での発火など、個別のモバイルバッテリー事故を取り上げてきました。
ただ、個別事故のニュースは「その製品を持っている人・その場に居合わせた人」に強く刺さる一方、発生直後の反響が過ぎればアクセスは急速に落ち着く傾向があります。

今回の経産省の規制強化は、性質が異なります。
検索キーワードを調べたところ、「モバイルバッテリー選び方」は月1,300回前後の検索があり、急増と急減を繰り返す一過性の言葉ではなく、毎月一定の需要がある言葉でした。
つまりこの規制の話は、これから新しいモバイルバッテリーを選ぼうとする人に、単発の事故報道よりも長く見つけられ続ける可能性を持った題材です。
個別の事故記事は速報性で読まれ、制度変更の記事は「これから買う人」の検索に応え続ける——同じモバイルバッテリーというテーマでも、記事ごとの役割は分けて考えたほうがよさそうです。

まとめ

モバイルバッテリーの発火事故は、2021年の51件から2025年には192件へと、4年で約4倍に増えました。
経産省はこれを受け、メーカーの自己検査に頼ってきた仕組みを、政府登録の第三者機関による検査必須の仕組みに切り替える方針を示しています。
2027年3月の施行を目指し、1年間の経過措置を経て段階的に移行する見通しです。
新しい制度が動き出すまでの間は、PSEマークの確認や信頼できる販売元からの購入といった基本的な備えが、引き続き身を守る手段になりそうです。

さらに深掘りしたい方へ

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