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片山金融相、高度AIサイバー脅威に警鐘 官民作業部会設置で対策合意

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年4月25日 更新
片山金融相、高度AIサイバー脅威に警鐘 官民作業部会設置で対策合意

「今そこにある危機だ」という言葉が、金融の世界でこれほど重く響いたことはなかったかもしれません。

2026年4月24日、片山さつき金融担当大臣が金融庁で緊急会合を開きました。

きっかけは一つのAIモデルの存在です。

そのモデルが持つ能力の話を聞いて、金融システムとサイバーセキュリティの関係について気になって深掘りしてみました。

SNSで広がっている懸念

この会合の背景にあるのが、米アンソロピック社の新型AIモデル「Claude Mythos(クロード・ミトス)」です。

一般公開は見送られており、アップルやグーグルなど提携大手に限定提供されているモデルですが、開発元でさえ把握していない脆弱性(システムの欠陥・弱点)を数千件のオーダーで瞬時に発見できる能力を持つとされています。

その性能への驚きと懸念が、SNS上でも広がっています。

国民民主党代表の玉木雄一郎氏は、日本の金融庁・日本銀行も米国と同様に金融機関の脆弱性チェックを速やかに行うべきだと訴えています。

米国当局がClaude Mythosの性能を見て、AIによる金融システム攻撃リスクの深刻化をすでに認識しているという指摘は、多くの注目を集めました。

また別のアカウントでは、Claude MythosがOpus 4.6(アンソロピック社の既存モデル)と比べてコーディング・学術的推論・サイバーセキュリティで大幅な性能向上を達成したという情報も拡散しています。

フロンティアAI(最前線の高性能AI)の能力が段階的に変化していることを示すモデルだ、という見方も広がっているようです。

官民連携で動き始めた日本の対応

日本経済新聞やDG Lab Hausの報道によると、片山金融相は4月24日、「AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティ対策強化に関する官民連携会議」を金融庁で開催しました。

日本銀行の植田和男総裁、三菱UFJ・みずほ・三井住友の3メガバンク首脳、日本取引所グループの関係者が参集しています。

会議では官民作業部会の設置と「日本版プロジェクトグラスウィング」の立ち上げが確認されたとのことです。

「プロジェクトグラスウィング」とは、Claude Mythosを防衛目的に限定利用するための企業連合の枠組みで、米国ではすでに主要テクノロジー企業が参加しています。

日本版の立ち上げは、この仕組みを金融セクターに応用し、攻撃側ではなく防御側にAIを活用しようとする取り組みといえるでしょう。

片山大臣は「弱点が短期間でわかれば、それを悪用する人がいる」と語っています。

金融システムは攻撃が直ちに市場の混乱や信用不安へ波及しやすい構造を持っているため、防御体制の構築を急ぐ必要があるという考えです。

英国のAIセキュリティ機関(AISI)によるClaude Mythosの評価では、このモデルがサイバー演習レンジをエンドツーエンドで完了した初めてのAIであることが確認されています。

その能力の突出ぶりが改めて浮き彫りになっているわけですが、一方で研究者のゲイリー・マーカス氏はX上で「現時点ではそれほど恐ろしい存在ではない」とやや慎重な見方を示しており、リスク評価には冷静な分析も必要だという声もあります。

なお、スタンフォード大学AIラボと共同研究を行う東京大学の松尾豊教授は「核兵器並みのインパクト」と警告し、日本は防御AI開発を急ぐべきだと訴えたとも伝えられています。

ただし、この発言の一次情報は現時点では確認できていません。

もっと詳しく知りたい方へ

まとめ

高度なサイバー能力を持つAI「Claude Mythos」の登場をきっかけに、日本の金融当局は官民横断の作業部会を立ち上げ、防御体制の構築へ本格的に動き出しています。

AI時代の金融セキュリティをどう守るか——その答えが、まさに今問われているのではないでしょうか。