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「AI出力したものを使うのでもういいです」——ラフを2回描き直した末に届いた、取引中止の一言

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月29日 更新
「AI出力したものを使うのでもういいです」——ラフを2回描き直した末に届いた、取引中止の一言

広告イラストの依頼を受け、ラフ画を2回描き直した先に届いたのは、感謝でも修正指示でもありませんでした。
「AI出力したものを使うのでもういいです」。
イラストレーターの坂之下しまさん(@nosita0909)が2026年7月27日にXへ投稿した体験談が、多くのクリエイターの間で共有されています。
SNSで仕事を発信している人にとっても、他人事とは言い切れない話です。
取引先とのやり取りをどこまで書面に残しているか、この記事を読みながら一度振り返ってみてください。

先に結論をまとめると:
– ラフスケッチを無断でAIに読み込ませられ、その出力物を理由に契約を打ち切られた事例がXで拡散した
– 生成AIの学習自体は著作権法上グレーゾーンだが、値引き交渉と一方的なキャンセルは2024年11月施行の「フリーランス新法」に抵触する可能性がある
– ラフの段階から契約条件・修正回数・キャンセル時の扱いを明文化しておくことが、クリエイター側の実質的な防衛策になる

何が起きたのか

坂之下さんの投稿によると、依頼主は過去にも取引実績のあるクライアントでした。
広告イラストの制作を依頼され、ラフを提出。
2回の修正を経たところで、クライアントから届いたのは「AI出力したものを使うのでもういいです」という一方的な連絡でした。
しかも送られてきたのは、坂之下さんのラフをもとに生成AIで作られたとみられる画像だったといいます。

さらに詳しく読むと、金銭面のやり取りも穏やかではありませんでした。
当初の見積もりから半額、さらに8割引きまで値下げを迫られ、ラフ代の支払い自体も遅れていたとのこと。
最終的に代金は受け取れたものの、坂之下さんは「絶望と怒りに震えながら」経緯を詳細に明かしています。
この投稿には同業のイラストレーターから共感の声が相次ぎ、似たような被害を受けたという証言も複数上がりました。
ただ、ここで気になるのは「無断でAIに学習させる」という行為が、実際どこまで法律に触れるのかという点です。

調べて分かったこと

ラフをAIに学習させる行為は違法なのか?

結論から言うと、AI学習そのものが直ちに著作権侵害になるとは限りません
日本の著作権法には、AIの学習目的であれば著作物を利用してよいとする例外規定があり、多くのケースで「学習させる行為」単体は適法とされています。
問題になりやすいのは、その学習の結果として生成された画像が、元のラフと「似すぎている」場合です。
既存の作品と類似性・依拠性が認められれば、生成物の利用自体が著作権侵害にあたる可能性が出てきます。
坂之下さんのケースでは、まさに自分のラフを土台にした画像が送り返されてきたとのことで、この類似性の判断が今後の焦点になりそうです。

なぜ「フリーランス新法」が関係するのか?

今回の件でより直接的に関わってくるのが、2024年11月に施行された「フリーランス新法」です。
この法律は、発注する事業者に対して、書面での発注内容の明示や、報酬の一方的な減額・取引の一方的な打ち切りを禁じるルールを定めています。
ラフの提出という制作途中の成果物であっても、対価の支払いや修正回数の取り決めがあいまいなままだと、フリーランス側が不利な条件を飲まされやすくなります。
Xでは今回の投稿を受けて、同業者から「文化庁や公正取引委員会の相談窓口を使うべき」との声も上がっていました。

実際、専門家の解説でも「ラフをAIに学習させないでほしい」と契約時に一言添えるだけで、後々のトラブルを未然に防げると指摘されています。
加えて、修正過程のスクリーンショットや制作履歴を残しておくことも、後から「これは自分が考えて描いたものだ」と証明する材料になります。
口約束のまま進めてしまうことが、今回のようなすれ違いを生む最大の要因だと言えそうです。

坂之下さん自身も、今後は契約内容をより細かく取り決めると決意を語っています。
修正回数、キャンセル時のラフ代の扱い、AI利用の可否——こうした条件を最初から書面に残しておくかどうかで、トラブル時の立場は大きく変わってきそうです。

Shiritomo編集部の考察:発注側にも「AI利用の説明責任」が生まれつつある

この一件が示しているのは、AIの是非そのものよりも「事前の合意形成の欠如」がトラブルの火種になっているという構造です。
SNS発信やクリエイティブ業務を発注する側にとっても、「AIに置き換える可能性がある」ことを事前に伝えていたかどうかは、今後の取引で問われるポイントになっていくはずです。
発注時にAI利用の範囲を明示するテンプレートを用意しておくだけで、双方の認識のズレによる炎上リスクはかなり減らせます。
逆にクリエイター側も、ラフの段階から「これは仮の成果物であり対価が発生する」ことを契約に明記しておけば、今回のような一方的な打ち切りへの抑止力になるでしょう。

まとめ

ラフ画を無断でAIに学習させられ、一方的に取引を打ち切られた坂之下さんの体験は、AIの是非を超えて「発注のルールが曖昧なままでは、どちらの立場も守られない」という現実を浮き彫りにしました。
フリーランス新法という後ろ盾ができた今こそ、契約の書面化を見直すタイミングと言えそうです。

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