DeepSeek「V4 Pro」正式版、価格据え置きでTerminal Bench 2.1が72.1から87.9に

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月13日 更新
DeepSeek「V4 Pro」正式版、価格据え置きでTerminal Bench 2.1が72.1から87.9に

入力100万トークンあたり0.435ドル、出力は0.87ドル。
この価格は、DeepSeekが2026年4月に公開したプレビュー版「V4 Pro」からほとんど変わっていません。

それなのに2026年8月12日、DeepSeekはAPIとチャットの両方で正式版「DeepSeek-V4-Pro-0813」を公開し、コーディングやエージェントタスク(AIが複数の作業を自律的にこなすタスク)のベンチマークスコアを軒並み押し上げてきました。
AIをコーディング支援や業務自動化に使っている読者にとっては、モデルを乗り換えるかどうかの判断材料が一つ増えたことになります。
何がどう変わったのか、実際に確認していきます。

先に結論をまとめると:
– DeepSeekの正式版「V4-Pro-0813」がAPIとChat向けに公開され、価格はプレビュー版からほぼ据え置き(入力0.435ドル・出力0.87ドル、いずれも100万トークンあたり)
– エージェント系タスクのベンチマークが軒並み向上し、Terminal Bench 2.1は72.1から87.9、DeepSWEは12.8から62.7へ と大きく伸びた
– コーディング支援ツール「OpenCode Go」でも利用可能になり、開発者が選べる選択肢が広がった

「価格は変えずに性能だけ上げる」というDeepSeekの発表

DeepSeekはこれまで、V4 Proをプレビュー版として提供してきました。
今回の発表は、そのプレビュー期間を終えて正式版に切り替える、いわば「本番リリース」にあたります。
モデル名は「DeepSeek-V4-Pro-0813」で、末尾の数字はリリース日(8月12日)を表しているとみられます。

AI開発の周辺ツールを提供するOpenRouter(複数のAIモデルをまとめて使えるサービス)は、この正式版がプラットフォーム上で稼働を始めたことをXで報告しました。
投稿では、DeepSeek自身が公表した数値として、DeepSWEが62.7(プレビュー比+49.9)、CyberGymが83.3(同+30.6)、Terminal Bench 2.1が87.9(同+15.8)まで伸びたことが紹介されています。

ただ、伸び幅だけを見ても「なぜそこまで上がったのか」「価格は本当に変わっていないのか」は分かりません。
ここから一次情報を確認しながら深掘りしていきます。

調べて分かったこと

ベンチマークはどこまで伸びたのか?

今回の発表で特に注目されているのが、コーディングやエージェント関連のベンチマーク(AIの性能を数値で比較するための試験)の伸びです。
DeepSeekが公表した数値を整理すると、Terminal Bench 2.1(AIがどれだけ実務的なターミナル操作・コーディング作業をこなせるかを測る試験)はプレビュー版の72.1から87.9へ、DeepSWE(ソフトウェア開発タスクの実行力を測る指標)は12.8から62.7へと、いずれも大幅に向上しています。

この数値はDeepSeek自身が公表したものであり、複数の技術系ニュースサイトやX上の開発者が同じ内容を報告しています。
ただし、第三者機関による独立した検証結果はまだ確認できていません。
自社発表の数字である点は念頭に置いておく必要がありそうです。

参考までに、Meta Superintelligence Labsが8月に公開したコーディングエージェント「Muse Code」のTerminal Bench 2.1スコアは82.9%でした。
単純比較はできませんが、V4 Pro 0813の87.9はこの水準を上回る数字になります。

本当に価格は変わっていないのか?

DeepSeekの発表によると、V4-Pro-0813のAPI価格は、入力トークンがキャッシュミス時(過去に処理していない新規の内容を処理する場合)で100万トークンあたり0.435ドル、キャッシュヒット時(過去に処理済みの内容を再利用できる場合)は0.003625ドルと大幅に安く、出力は0.87ドルです。
コンテキスト長(一度に処理できる文章量)は100万トークンを維持しています。

これはプレビュー版とほぼ同水準の価格設定です。
性能を大きく引き上げながら価格を据え置いたという点が、今回の発表がユーザーの間で好意的に受け止められている理由の一つのようです。
一方で、DeepSeekは近い将来に「大幅な値上げ」を計画していることも併せて示しており、この価格がいつまで続くかは不透明です。

なお、モデルの構造はMoE(Mixture of Experts:複数の専門AIを状況に応じて使い分ける設計)方式で、総パラメータ数1.6兆・実際に使われるパラメータ数は1トークンあたり49億とされています。
パラメータ数が多いほど単純にモデルが賢くなるわけではありませんが、実行時に使う部分を絞り込むことで、大規模なモデルでも運用コストを抑えられる仕組みです。

なぜOpenCode Goでの対応が話題になっているのか?

もう一つの動きが、AIコーディングツール「OpenCode」のサブスクリプションプラン「OpenCode Go」での対応です。
OpenCode公式アカウントは、直前まで話題になっていた軽量版「DeepSeek Flash」に続けて、最新のV4 ProがOpenCode Goで使えるようになったことをXで発表しました。

DeepSeek Flashが話題になった1週間だったので、ちょうどいいタイミングで最新のV4 ProがOpenCode Goで使えるようになったことを発表できる、という趣旨の投稿です。

開発者が普段使っているツールの中でそのまま高性能モデルに切り替えられることは、実際に試すハードルを下げる要素になります。
ベンチマークの数字だけでなく、こうした「使える場所が増える」という広がり方も、今回の話題性を支えている部分だと考えられます。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

今回の発表で編集部が注目したのは、DeepSeekが一貫して「価格対性能」を武器にしている点です。
他社のトップモデルが数十ドル単位の出力価格を付ける中、1ドルを切る水準でエージェントタスクの性能を引き上げてきたことは、開発者や企業がAIツールを選ぶ基準そのものを変えつつあります。

SNSやコンテンツ制作の現場でAIを使う読者にとって、直接的な影響は小さく見えるかもしれません。
ですが、コーディング支援AIの価格競争が進むほど、周辺ツール(自動投稿ツール・分析ダッシュボードなど)の開発・改修コストが下がり、結果的に使えるツールの選択肢が広がる可能性があります。
明日からできることとしては、①自社で使っているAI関連ツールがどのモデルを裏側で使っているか確認してみること、②将来の値上げ予告が出ている以上、無料枠や低価格枠を今のうちに試しておくこと、の2点をおすすめします。

まとめ

DeepSeekは正式版「V4-Pro-0813」を価格ほぼ据え置きで公開し、Terminal Bench 2.1やDeepSWEといったエージェント系ベンチマークを大きく伸ばしました。
OpenCode Goのような開発ツールでの対応も進んでおり、価格と性能の両面で存在感を強めている状況が見えてきます。

さらに深掘りしたい方へ

DeepSeekの新モデル「V4-Flash」、破格の値段は本当に実力に見合っているのかDeepSeekの新モデル「V4-Flash」、破格の値段は本当に実力に見合っているのか100万トークン入力しても請求はわずか0.14ドル。 上位モデルの3分の1という値付けの軽量版を検証した記事です。
Metaが初のAIコーディングエージェント「Muse Code」ベータ版を公開Metaが初のAIコーディングエージェント「Muse Code」ベータ版を公開同じTerminal-Bench 2.1で82.9%を記録したMetaのコーディングエージェントを取り上げた記事です。

価格やベンチマークの一次情報は、DeepSeek API公式ドキュメントや、複数のAIモデルを横断比較できるOpenRouterのDeepSeek V4 Proページでも確認できます。
エージェントタスクの性能をより詳しく知りたい方は、あわせてチェックしてみてください。