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「色調整前の方がリミナルスペースっぽい」――公開2週間の『バックルームズ』、Xで起きている変化

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月20日 更新
「色調整前の方がリミナルスペースっぽい」――公開2週間の『バックルームズ』、Xで起きている変化

「色調整前の方がリミナルスペースっぽい」。
9月18日未明、たった一文の投稿に53,770件のいいねが集まりました。
9月4日に日本公開されたA24のホラー映画『バックルームズ』は、公開から2週間が過ぎたいまも、Xのタイムラインで新しい話題を生み続けています。
SNSの流行を追いかける仕事をしていると、こういう「公開直後の熱狂が去ったはずのタイミング」で何が起きているかにこそ、その作品の体力が表れると感じます。
これから観に行こうか迷っている人にとっても、いま何が起きているかを知っておくと、劇場やX(旧Twitter)で何を探せばいいかが見えてくるはずです。

先に結論をまとめると:

  • 公開2週間が過ぎても、公式アカウントの掲示板オープンや”猫本”の話題など、新しい動きが次々に出ています
  • 21歳の監督ケイン・パーソンズの経歴と、世界的なヒットの数字を一次情報で確認しました
  • 東京では映画の外に出た「リミナルスペース探し」のコンテンツが広がっており、検索需要としても続く見込みです

掲示板オープン、地図ネタも増殖中の『バックルームズ』

『バックルームズ』は、インターネットの都市伝説「The Backrooms」を題材にしたホラー映画です。
無機質な蛍光灯とじめついた黄色い壁紙が続く「現実の裏側」に迷い込んだ人々を描く物語で、9月4日からTOHOシネマズをはじめとする全国の劇場で上映中です。

公開直後の反応はすでに他の記事でも触れられていますが、2週間が経ったいまXで目立つのは、感想そのものよりも「作品をめぐる遊び」の広がりです。
冒頭で紹介した「色調整前の方がリミナルスペースっぽい」という投稿もその一つで、公開されている映像の色味を巡ってファン同士が意見を交わす様子がうかがえます。

一つの投稿がここまで伸びるのは珍しいことではありませんが、それが「感想」ではなく「色調整」という制作寄りの話題だった点は目を引きます。
ここからは、なぜこの作品がここまで話題になり続けているのか、一次情報を確認しながら深掘りしていきます。

調べて分かったこと

なぜ21歳の監督にA24は託したのか

監督を務めたケイン・パーソンズさんは、アメリカ・カリフォルニア州出身の映像作家です。
米メディアDeadline・The Hollywood Reporterの報道によると、14歳の頃に4chan(海外の匿名掲示板)に投稿された「バックルームズ」の元ネタとなる画像を見つけ、16歳だった2022年1月に「The Backrooms (Found Footage)」というYouTube動画を投稿、これが8800万回再生を記録しました(ファミ通.com調べ)。
この動画がA24の目に留まり、17歳で映画化が企画、19歳のときに撮影が行われたといいます。
今回が長編映画の監督デビュー作です。

興行成績はA24最大ヒットと言えるのか

米国公開は2026年5月29日で、初週末の興行収入は同時期に公開されていた『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』を上回り、全米1位を獲得しました。
ファミ通.comの報道では、世界44カ国で初登場1位、初週末だけで世界興収は約188億円に達したとされています。
英語版Wikipediaの同作ページでは全世界累計興行収入を3億9,000万ドル超と記載しており、製作費(報道では約1,000万ドル)に対して桁違いの規模になっている点は複数の報道で一致しています。

このヒットの規模を裏付けるように、Xでは作品そのものよりも「A24というブランド」に注目した投稿も伸びていました。

実際に画像を確認すると、建物の階段の踊り場、コンビニの陳列棚、蕎麦の入った丼、地下通路の出口サインとマスコット人形――一見なんの変哲もない4枚の写真に、白抜きの大きな「A24」ロゴを重ねただけの投稿でした。
投稿者はこれを「どんな適当な画像でもA24のロゴ入れると最悪に忌まわしいシーンですみたいな絵になる」と評しており、6,788件のいいねを集めています。
ホラー映画の配給元というブランドイメージが、作品を離れて一種のミームとして消費されている例といえそうです。

日本ではどこで観られるのか

日本での配給はハピネットファントム・スタジオで、公開日は9月4日、TOHOシネマズ日比谷をはじめ全国の劇場で公開されています(報道によれば全国300館規模とされていますが、この数字は本記事では未確定情報として扱います)。
シネマトゥデイの報道では、初週末3日間で興行収入2.47億円を記録し、満席が続出する大ヒットスタートとなったと伝えられており、劇場からは小中高生や親子連れの来場が目立つとのコメントも紹介されています。
吹替え版の鑑賞が全体の49%を占めているという数字も報じられており、字幕だけでなく吹替えでも受け入れられている作品であることがわかります。

公式アカウントの悪ノリも話題に

配給側のノリの良さが伝わってくる投稿もありました。
A24の日本公式アカウントは、こんな一文とともに一枚の地図画像を投稿しています。

「バックルームの地図が発見されました。
家具店の店主が作成したものと思われます。
『バックルームズ』リピート鑑賞の際はこちらの地図を頭に入れてからご覧ください。
模写やコピーはせず、もししてしまった場合は速やかに破棄してください」という、作品の設定になぞらえたジョーク投稿で、5,169件のいいねを集めました。
単なる宣伝ではなく、作品世界のトーンに合わせた小ネタで反応を取りに行くスタイルが定着しているようです。

掲示板オープンで考察はどこまで広がったか

公開2週間というタイミングでの新しい動きとして目立つのが、公式による考察の受け皿づくりです。

「『バックルームズ』について自由に書き込める掲示板がオープンしました。
ネタバレ・感想・考察など意見交換にお使いください」という告知で、1,211件のいいねがついています。
エンドロール後に用意された映像や、Boards of Canadaが手がけたエンディング曲などが好評だったこともあり、感想や考察を語り合いたい観客の受け皿として機能している様子がうかがえます。
なお、本作の核心的などんでん返しについては、この記事では触れません。

A24は次に何を仕掛けているのか

同じ時期、A24自体の動きとして目についたのがこの投稿です。

「A24から映画に登場する1,000匹以上の猫が収録された書籍が刊行されるとのこと」という内容で、3,546件のいいねを集めています。
ただし調べてみると、これは『バックルームズ』の劇中に登場する猫を集めた本ではなく、A24自身のショップで予約受付中の『The Encyclopedia of Movie Cats(映画に登場する猫の百科事典)』という、映画史全体の猫1,000匹以上を収録した書籍のようです。
『バックルームズ』限定の企画ではなさそうですが、話題の渦中で紹介されたことで、作品と合わせて注目を集める形になりました。

東京でリミナルスペースを探す動きは今後も続くのか

映画の外側にも波及が起きています。
旅行情報メディアTime Out Tokyoは「東京、リミナルスペース9選」という記事を公開し、Xでも紹介されていました。

この記事は「映画『バックルームズ』から飛び出してきたような奇妙な「レベル」を体験」と紹介しており、2,366件のいいねを集めています。
また、池袋・サンシャインシティでは9月11日から20日まで、映画の世界観を体験する脱出ゲーム型イベント「Q LIMINAL」が開催されていました(ファッションプレスの報道による)。
「リミナルスペース」という言葉自体、直近1カ月の検索数は月間平均の1.5倍程度に伸びているとみられ、映画がきっかけで検索する人が増えたあとも、一定の関心が残り続ける可能性がありそうです。

Shiritomo MOVIE編集部の考察

今回の一連の投稿を見て興味深いのは、伸びているのが「感想」ではなく「作品の外側にあるもの」だという点です。
色調整の考察、配給ロゴのミーム化、公式の悪ノリ投稿、猫の書籍、そして池袋の体験型イベント――どれも作品本編の感想ではありませんが、いずれも「バックルームズ的な世界観」というブランドの土台があるからこそ成立しています。
公開直後は本編の感想が伸び、2週間後にはその周辺コンテンツが伸びる、という順番自体が、ヒット作の”賞味期限”を測る一つの目安になりそうです。
SNS運用の視点で見ると、公式アカウントが作品のトーンを崩さずにジョークを挟めるかどうかが、この周辺盛り上がりの持続力を左右しているように見えます。

まとめ

『バックルームズ』は公開2週間を経て、感想の熱狂から一歩進み、掲示板や関連グッズ、リアルイベントへと話題の中心を移しています。
作品そのものだけでなく、その周辺で何が起きているかを追うと、ヒット作がどう息長く消費されていくかが見えてきます。

さらに深掘りしたい方へ

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