『日傘がレフ板みたいに輝いてる』——称賛から一転、PR表記の甘さが叩かれた投稿の顛末
「この日傘差しててもレフ板当たってるみたいにひめかちゃん照らして顔美白にしてくれてて神wwwなにこれ。」
8月1日、Xに投稿されたこの一文には100万件を超える表示がつきました。
ところが数時間後、話題の中心は「日傘の美肌効果」から「ストーリー右上の小さなPR表記」へと移っていきます。
SNS運用やインフルエンサーマーケティングに関わる人にとって、この一件は「PR表記はどこに、どう書けば十分なのか」を考え直すきっかけになりそうです。
先に結論をまとめると:
– 話題になった日傘はヘアケアブランドBOTANISTなどで知られるI-ne社の新ブランド「XTGR」の商品で、インフルエンサーのひめかさんが着用していました
– 批判の対象は商品そのものではなく、「PR」の文字がストーリー右上に小さく書かれているだけで見落とされやすかった点でした
– Instagramには「タイアップ投稿ラベル」という公式の表示機能があり、手書きのPR表記だけに頼ると誠実さが伝わりにくくなります
ひめかさんの日傘投稿、なぜ盛り上がったのか
発端は、ひめかさんが白い日傘を差したストーリーを見た第三者が「レフ板のように顔を明るく見せてくれる」と褒めたことでした。
この投稿は約100万インプレッション、798件のいいねを集める人気ぶりで、日傘の見た目の効果に驚く声が広がります。

この日傘差しててもレフ板当たってるみたいにひめかちゃん照らして顔美白にしてくれてて神wwwwなにこれ。 https://t.co/tV4LyvE5Gh pic.twitter.com/mwlwnnmVTI
— アルマンドン (@linneaabyrd) 2026年8月1日
ただ、この投稿をきっかけに元のストーリーを見返した人たちの間で、別の点が気になり始めます。
「ストーリー右上に小さくPRって書いてあるよ」という指摘です。
周囲で美容意識の高い人が実際に持っている日傘はサンバリア100か芦屋ロサブランが中心という声もあり、「XTGRという聞き慣れないブランドがなぜ選ばれたのか」という疑問と合わさって、話題は広告表示の妥当性そのものへと移っていきました。
調べて分かったこと
話題の日傘は、実際どんな商品なのか?
日傘の正体は、ヘアケアブランドBOTANISTやSALONIAで知られるI-ne社が2026年6月22日に立ち上げた新ブランド「XTGR」の「サンアンブレラ」でした。
太陽光の約4割を占めるとされる近赤外線を波長レベルでカットしつつ、通気性のある織り生地でUVカットも両立させているのが特徴です。
自動開閉の上位モデル「Ultra」とコンパクトな手動モデル「Core」の2種類が展開されています。
さらに調べると、興味深いズレがありました。
XTGRの公式ミューズ(ブランドの顔)はアーティストの石井蘭さんであり、ひめかさんは公式アンバサダーではありません。
つまり今回話題になったのは、ブランドの看板キャンペーンではなく、個別に依頼されたPR投稿だったことになります。
この「公式起用と個別PRの立ち位置の違い」が伝わりにくかったことも、混乱の一因だったと考えられます。
なぜ「小さなPR表記」では足りないと言われるのか?
Instagramには、企業とインフルエンサーが協業していることを示す「タイアップ投稿ラベル(有料パートナーシップラベル)」という公式機能があります。
投稿時に人型アイコンからブランドパートナーを設定すると、ストーリーの上部に「〇〇との有料パートナーシップ」という表示が自動で出る仕組みです。
これは投稿者が手書きで文字を入れる方法とは違い、見た人が見落としにくい位置に統一フォーマットで表示されます。
今回の投稿はこの公式ラベルを使わず、本文の隅に小さく「PR」と手書きしただけでした。
日本のステマ規制(景品表示法。
2023年10月施行)が求める「広告であることの明示」という最低条件は満たしていたとしても、読者が気づける表示にはなっていなかった可能性があります。
ここに、法律上のクリアと、SNS上での信頼のクリアが必ずしも一致しないという、SNS運用担当者が意識すべきポイントが見えてきます。
ひめかちゃんのストーリー右上に小さくPRって書いてあるよ…周りで美容意識高い人が持ってる日傘はサンバリアかロサブランのみ。 https://t.co/ZeY1etrGLU
— Rinna (@Rinnabiyou417) 2026年8月1日
Xでは表示ルールがどう変わっているのか?
同じ流れはXにも及んでいます。
2026年3月から、Xでは投稿に「パートナーシップラベル」を設定することが求められるようになりました。
ブランドアカウントを紐づけると投稿上部に自動表示される仕組みです。
これとは別に、本文の目立つ位置へ「#PR」「提供」「広告」のいずれかを明記することも、合わせて実務標準になりつつあるようです。
景品表示法とXのルールは別物で、前者は依頼企業、後者は投稿者本人が責任を問われる建て付けになっています。
プラットフォーム側の表示ルールと、法律上の表示義務は別の話として、両方をクリアする必要があるということでしょう。
Shiritomo編集部の考察:PR表記は「守れているか」より「伝わっているか」
今回の一件で興味深いのは、批判が「ステマだ」という強い断定ではなく、「表記が小さくて気づきにくい」という指摘から始まった点です。
SNS運用担当者にとっての示唆は、法律や規約の文言を形式的に満たすことと、フォロワーが実際にPRだと認識できることは別物だという点ではないでしょうか。
InstagramもXも公式のタイアップ表示機能を用意している以上、手書きの小さな文字だけに頼るのはリスクが高いといえます。
案件を依頼する企業側も、インフルエンサーに表記方法を一任するのではなく、公式ラベル機能の使用を条件に含めることが、こうした「意図せぬ炎上」を防ぐ具体策になりそうです。
まとめ
日傘の美肌効果を称賛する投稿から始まった今回の話題は、最終的にPR表記の見せ方という運用上の課題を浮き彫りにしました。
プラットフォームが用意する公式の表示機能を使うかどうかが、ブランドへの信頼を左右する時代になっているようです。
さらに深掘りしたい方へ
XTGRのブランドコンセプトはI-neの公式note記事で詳しく紹介されています。
Instagramのタイアップ投稿ラベルの設定方法はtrami.jpの解説記事、Xのパートナーシップラベルのルールはtatap.jpの解説記事にまとまっています。


