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「もはや写真と識別することは難しく」——ChatGPT新画像モデルが公認会計士を身構えさせた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月9日 更新
「もはや写真と識別することは難しく」——ChatGPT新画像モデルが公認会計士を身構えさせた理由

セブンイレブンのレシート1枚。
合計479円、日付は2025年9月27日、支払いはクレジットカード——ですが、これは写真ではありません。
ChatGPTに「セブンイレブンのレシートの画像作って。
写真のクオリティで」と打ち込むだけで生成された、架空の1枚です。

2026年9月8日、OpenAIは新しい画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」を公開しました。
生成が速くなり、質感が自然になった、という発表自体はよくあるアップデートの一つに見えます。
ただ、その”自然さ”の副産物として、ある公認会計士の投稿がXで注目を集めています。

AIで画像を作る機会がある人はもちろん、SNSに流れてくる写真をなんとなく信じている人にとっても、他人事ではない話です。
何が変わり、何が心配され始めているのか、一次情報を確認しながら整理しました。

先に結論をまとめると:
– OpenAIは9月8日、生成の待ち時間を最大50%短縮した新モデル「ChatGPT Images 2.5」を公開。
手描きから画像を作る新機能「Sketch」も加わりました
– 精度が上がった結果、公認会計士がXに投稿した「AI生成レシート」が本物と見分けがつかないと話題になっています
– 海外の実測調査でも、人間がAI生成レシートを本物と見分ける正解率はコイン投げ同然という結果が出ており、経費精算の現場ではすでに実害が出始めています

OpenAIが公開した「ChatGPT Images 2.5」、変わったのは速さだけではない

OpenAIは2026年9月8日、ChatGPTの画像生成の中核をなすモデルを「Images 2.5」へ更新したと発表しました。
公式アカウントは新モデルの立ち上げをこう告知しています。

より速く、より鋭く、より賢く。
思い描いたものを何でも作るための、より良いツールとともに——そんな趣旨の投稿です。

公式発表によれば、Images 2.0と比べて生成にかかる待ち時間(レイテンシ)は最大50%短くなり、光の当たり方や素材の質感がより自然になったといいます。
さらに、一度作った画像を何度も部分的に直しても、顔や小物のディテールが崩れにくくなったとのことです。
展開先はChatGPT・ChatGPT Work・Codexの各ユーザーで、デスクトップ・モバイル・ウェブの全プラットフォームが対象です。

ただ、この発表だけを見ると、よくある性能向上のお知らせで終わる話です。
実際に何が変わったのか、そしてなぜレシートの話が出てくるのか、もう少し掘り下げてみます。

調べてわかった、レシートが「本物にしか見えない」理由

具体的に何が新しくなったのか?

今回のアップデートで新しく加わったのが「Sketch」という機能です。
ChatGPT内で「@ Sketch」と入力すると、手描きの下絵をそのまま画像生成のガイドとして使えるようになりました。
文章で説明しにくいイメージも、描いてしまえば伝わる、という発想です。
OpenAI公式アカウントも次のように紹介しています。

アイデアの中には、説明するより描いたほうが早いものがあります。
ChatGPT内でそのままスケッチを描いて、思い描いているものを見せてください——ChatGPTで「@ Sketch」と入力するだけです、という趣旨の投稿です。

コメントを付けて画像の一部だけを直す「コメントベースの部分編集」も新たに加わりました。
細かい修正を繰り返しても全体の一貫性が崩れにくくなった、という説明とあわせて考えると、確かに実用面での改善は大きそうです。

性能はどれくらい上がったのか?

あわせてAPI(外部の開発者がOpenAIの機能を自分のアプリに組み込むための窓口)にも、新しいモデルが2つ追加されました。
速度を優先した「GPT-Image-2.5 Flare」と、精密さを優先した「GPT-Image-2.5 Sunburst」です。
画像生成AIの性能を横並びで比較するベンチマーク「Arena」の公式アカウントは、次のように結果を伝えています。

OpenAIからさらにうれしいニュースです。
GPT-Image-2.5-SunburstがText-to-Image Arena・Image Edit Arena・Multi-Image Edit Arenaのすべてで1位、FlareはSunburstに次ぐ2位を獲得しました、という趣旨の投稿です。

Flareは「GPT-Image-2よりも高品質な画像を最大50%低いレイテンシで生成できる」用途向け、Sunburstは「より精密な編集制御が必要なワークフロー」向けと位置づけられています。
ベンチマークの数字だけを見れば、素直に喜べる性能向上です。
ところが、この”自然さ”の高まりが、思わぬ形で注目を集めることになりました。

なぜ公認会計士は「怖い」と投稿したのか?

Xに投稿したのは、公認会計士を名乗る「兎耳山ルカ」さんです。
投稿には、ChatGPTに「セブンイレブンのレシートの画像作って。
写真のクオリティで」と依頼した会話画面と、実際に生成された画像が添えられていました。

その画像を確認すると、木目調のテーブルの上に置かれたレシートを正面から撮ったような1枚です。
「セブンイレブン渋谷桜丘町店」の店名・住所・電話番号、レジ番号、「2025年9月27日(土)18:42」という日時、「おにぎり 鮭わかめ」「7プレミアム 緑茶600ML」「からあげ棒」という品目、小計・消費税・合計479円、クレジット支払いの表示、そして下部のバーコードまで、実物の領収書と同じ構成で再現されていました。

投稿者は「もはや写真と識別することは難しく、会計人としてはけっこう怖い」とコメントしています。

いいね6,000件超、表示回数145万回超まで伸びたのは、日常的にレシートを扱う経理・会計の仕事に携わる人たちにとって、「これが仕事の現場に来たらどうなるか」がすぐに想像できたからでしょう。
実際、この懸念は的外れではありませんでした。

本物のレシートとAI生成画像、実際に見分けられるのか?

経費精算の不正を検知するAppZen社の集計では、同社が摘発した不正レシートのうちAI生成によるものの比率は、2025年3月時点の0%から2026年5月時点で70.8%まで上昇したと報告されています。
集計期間中には、174社・745人の従業員から、AI生成と見られる偽レシート1,471件、金額にして計14万8,143ドル分の経費申請が見つかったとされ、あるフォーチュン10企業では22カ国・142人の従業員が340件・3万4,953ドル分を申請していたそうです。

そもそも人間の目でAI生成レシートを見分けられるのか、という点についても実測があります。
合成メディアの検知技術を扱うScam.aiが2026年4月に公表した調査では、ChatGPT Images 2.0(1世代前のモデル)で生成した偽造書類3,066点を使い、120人に本物との判別をテストしたところ、正解率は50.1%——コインを投げて当てるのとほぼ変わらない結果だったといいます。
さらに、ChatGPT自身に自分が生成した偽画像を鑑定させたところ、84.7%を「本物」と誤って判定したとも報告されています。
人間だけでなく、作った本人であるAIも見分けられなくなっている、というのが実態のようです

では、見分ける手立てが全くないのかというと、そうではないようです。
AppZenが挙げる不正検知の手口には、レシートの生成に使われた特定サイトの”痕跡”を認識する方法や、加盟店の実在性・所在地・取扱商品を照合する方法、税額や合計額の計算が正しいかを検証する方法などが組み合わされています。
実際に摘発された偽レシートの中には、その店では扱っていないはずのメニューが書かれていたり、複数の申請書に同じレジ担当者の名前が繰り返し登場したりといった、単純だが見落としやすい矛盾があったとのことです。

個人が日常でぱっと見分けるのは簡単ではなさそうですが、「店が実際に扱っていない商品名が入っていないか」「合計金額の計算が合っているか」といった基本的な突き合わせは、AI時代でも有効なチェックポイントとして残っているようです。
写真の質感やロゴだけを見て真偽を判断するのは、すでに難しくなりつつあるといえるでしょう。

Shiritomo編集部の考察:明日から見直すべきは「レシート」だけではない

今回の件で見落とせないのは、公認会計士が指摘したのが「経費精算」という、企業にとって地味だが実害に直結する業務だったという点です。
SNS運用やマーケティングの現場でも、キャンペーンの応募条件として「購入レシートの提出」を求める企画は珍しくありません。
ChatGPT Images 2.5のような高精細な画像生成モデルが誰でも無料で使える状況では、同じ手口がキャンペーン不正にも転用されうると考えておくべきでしょう。
「写真で本人確認」「レシートで購入証明」という、これまで運用側が信頼してきた仕組みそのものが、静かに前提から崩れ始めています
海外の不正検知会社が数値を出しているように、対策の重心はすでに「見た目で判断する」ことから「メタデータや数値の整合性を機械的にチェックする」方向へ移りつつあります。
国内でレシート提出型の企画を運用している担当者は、応募規約の見直しや、レシート以外の証明手段(購入履歴のスクリーンショットと注文番号の併用など)を検討し始めるタイミングかもしれません。

まとめ

ChatGPT Images 2.5は、速度と自然さを底上げしただけのアップデートに見えて、その”自然さ”が思わぬところで信頼の前提を揺さぶり始めています。
写真とレシートが見分けにくくなった時代に、何を証拠として扱うのか——その線引きは、これからも更新され続けそうです。

さらに深掘りしたい方へ

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