SNS運用Tips 読了 5 分

「さすがにマニアックすぎるだろ!!!」——地図のゼンリンがトレカを2度完売させた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月9日 更新
「さすがにマニアックすぎるだろ!!!」——地図のゼンリンがトレカを2度完売させた理由

「一般国道トレカを9/11に新発売いたします、さすがにマニアックすぎるだろ!!!」。
地図会社ゼンリンの公式アカウントが自らこう書き添えた投稿に、1万2000件を超えるいいねが集まりました。
投稿しているのは国道の路線図が描かれた化粧箱の写真だけで、割引もキャンペーン色も一切ありません。

それでもXでは「ちょっとほしい」の声とともに800件を超える引用が飛び交いました。
SNS運用者にとって気になるのは、なぜ地図会社が「トレカ」を作り、しかも自ら「マニアックすぎる」と釘を刺す発信で伸びたのかという点です。
調べてみると、これが初めてのヒットではありませんでした。

先に結論をまとめると:
地図会社ならではの差別化で後発のトレカ市場に参入し、前作「有人離島」は発売直後に2度完売
自虐トーンの投稿を公式アカウント自らが発信し、共感と拡散を同時に獲得
ファンの声を商品化する仕組み(人気国道の投票→限定ステッカー化)がリピーターを生んでいる

Xでの盛り上がりと、投稿の中身

話題になっているのは、ゼンリン公式アカウント(@ZENRIN_official)が9月8日に投稿した新商品告知です。
写真に写るのは「Map Design GALLERY CARD/一般国道」と書かれた2つの化粧箱。
①は全76種、②は全77種の「COMPLETE BOX」で、国道標識をモチーフにした無骨なデザインが目を引きます。

この投稿はいいね1万2698件・引用804件・リツイート4727件、インプレッションは100万を超えました
宣伝文句を並べるのではなく「さすがにマニアックすぎるだろ!!!」と自分たちの商品を突き放すような言い方をしたことが、かえって目を引いたようです。
引用した投稿の中には「ちょっとほしい」と短く反応したものもあります。

ただ、この数字だけを見ていても「なぜ地図会社がトレカを?」という疑問は残ります。
そこで公式発表と過去の取材記事を確認しました。

調べて分かったこと

なぜ地図会社がトレカ市場に参入したのか?

ゼンリンがトレーディングカード事業に参入したのは2025年7月のことです。
第1弾のテーマは「有人離島」。
離島振興法をはじめとした法律の対象となる306島のうち、立ち入り制限のある2島を除いた304島の中から70島を厳選し、人口の桁数でレアリティを3段階に分けるという、地図データを持つ会社にしかできない切り口でした(@DIME)。

後発だったからこそ、既存のトレカ商品と同じ土俵で勝負せず「ゼンリンにしかできないこと」を軸に据えたといいます。
結果は発売直後に2度の完売、YouTubeでも取り上げられ取材が相次ぎました。
想定していたのは地図好きの男性層で、実際の反響を見ても、狙い通りその層にしっかり届いたといいます。

今回の「一般国道」シリーズは何が違うのか?

今回のテーマは全国459路線ある一般国道のうち153路線です。
シリーズ①(76路線)・②(77路線)に分かれ、カード表面には路線の地図と道路標識、総延長距離を掲載。
レアリティ(カードの希少度)は総延長距離で3段階に分け、社員が選んだ「ネタ国道」を特別仕様のSRカード(Super Rare=最上位の希少カード)としてランダムに封入しています。

価格は7枚入りパックが550円、シリーズごとのコンプリートBOXが5500円。
オンライン限定の初回セット(両シリーズBOX付き、1万2100円)には、福井県敦賀市の実在する交差点標識をかたどった「4連おにぎり」アクリルキーホルダーが付属します。
国道の標識が交差点に4つ並ぶ、道路愛好家の間では知られた光景だそうです(INTERNET Watch)。

デザインとマーケティングにどんな工夫があるのか?

カードのデザインを手がけたのはゼンリンの長縄樹里さん。
都道府県名などの注記(地図上の文字)を一切入れず、それぞれの国道の路線がどこをどのように走っているかをシンプルに俯瞰できる見た目に仕上げています。

パッケージには収録される国道番号をあらかじめ明記し、「どの号にどの路線が入っているか」という問い合わせ自体を減らす工夫もしています。
さらに公式Xでは事前に「好きな国道」「思い出の国道」を募集し、反響の多かった上位6路線を期間限定の購入特典ステッカーにしました。
ファンの声を可視化したうえで、そのまま商品に落とし込む導線ができています。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

この事例から運用担当者が持ち帰れることは2つあります。
ひとつは、万人受けを狙わず「刺さる層にだけ刺さればいい」と割り切った発信が、かえって共感と拡散を呼ぶという点です。
「マニアックすぎる」と自ら言い切ったことで、ニッチな商品でも恥ずかしがらずに届けていいという空気が生まれました。
もうひとつは、ファンの投稿やリプライを一過性の反応で終わらせず、投票企画や限定特典という形で商品に還元する仕組みです。
有人離島シリーズでは購入者が離島訪問の写真を自発的に投稿する動きも見られたといい、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が次の話題を生む循環になっています。

まとめ

自虐とも取れる一言から始まった投稿が、地図会社の新規事業を後押しする拡散力を持ちました。
ニッチな強みを隠さず打ち出す姿勢と、ファンの声を商品化に直結させる仕組みが、次の完売にもつながりそうです。

さらに深掘りしたい方へ