SNS運用Tips 読了 7 分

「ヤクザな商売にしか見えない」――元FC2社長のAI新サービス「nen2」、無断で店のHPを自動生成し賛否両論

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月25日 更新
「ヤクザな商売にしか見えない」――元FC2社長のAI新サービス「nen2」、無断で店のHPを自動生成し賛否両論

自分の店の名前で検索したら、見覚えのないホームページが先に出てくる。
頼んでもいないのに、です。
元FC2社長の高橋理洋氏が手がける無料サービス「nen2(ネンツー)」は、こうした状況をすでに8,950店舗分つくり出しています。
店側が作る前にAIが作ってしまう、という順番の逆転が起きているわけです。

SNSで店舗やブランドの情報発信を担当している人にとって、これは他人事ではありません。
自分の管理していない場所に、自分の店の「公式っぽい」ページが先に存在してしまう時代が、もう来ているからです。

先に結論をまとめると:
– nen2は、ネット上の公開情報をAIが読み取って店舗のHPを先に作り、オーナーが後から見つけて承認する「逆転モデル」のサービスです
– 承認前のページにも店名や©表記が入っていたことなどから「ヤクザな商売」という批判が広がりました
– 開発者本人がX上で批判を認め、注意書きの追加や誤掲載ページの点検・非公開化をすでに実施しています

何が起きたのか

nen2は「AIで簡単に無料でホームページを作るサービス」として運営されており、公式サイトを確認したところ、2026年10月25日時点で8,950店舗分のページが公開中でした。
グルメ(5,865店)や美容・サロン(1,678店)など10業種に対応し、店名やジャンルで検索できる仕組みになっています。

仕組みの特徴は、作る順番が通常のHP制作と逆である点です。
マーケティング系の情報を発信しているアカウント「すごいサービス研究所」は、この構造を次のように整理しています。

ネット上の公開情報からAIがHPを自動作成し、オーナーが自分の店名を検索すると自分の店のページが出てくる。
そして承認すれば、管理・編集ができる状態で正式に受け取れる——という流れです。
「HPを作りませんか?」と営業するのではなく、「あなたのお店のHP、もう作ってありますよ」と声をかける発想は、たしかに従来のHP制作の常識とは逆を向いています。
ただ、この「先に作ってしまう」という順番こそが、次に見るような批判の火種にもなりました。

調べて分かったこと

なぜ「ヤクザな商売」と言われてしまうのか

批判の核心は、オーナーの同意を得る前の段階で、店名や店舗情報がすでにネット上に公開されていたという点です。
あるアカウントは、この仕組みを次のように評しています。

「勝手にホームページ作って視聴者を吸収、嫌なら金払えって話だからヤクザな商売にしか見えないしダメじゃろコレは」という投稿で、10月24日に見られたものです。
無料で使えるとはいえ、本人の了承なしに自分の店の情報が独り歩きしている状態そのものに、違和感を覚える向きがあったことがうかがえます。
背景には、閉店済みの店や改名後の店の情報が誤って掲載されていたケースもあったようで、情報の正確性への不安も批判の一因になったと見られます。

開発者はどう応えたのか

ここで注意したいのは、批判の声と、サービスを作った本人の発言は別物だということです。
高橋理洋氏本人のアカウントは、10月25日未明に次のような投稿をしています。

「nen2無料HPで結構批判きてるけど、めっちゃありがたいね。
批判されるより無関心が一番きつい」と前置きしたうえで、具体的な改善策を列挙していました。
確認できた内容は次のとおりです。

  • 店主様が受け取る前のページに「公開情報をもとに nen2 が作成した紹介ページで、店舗の公式サイトではありません」と明記
  • 受け取り前のページから「©店名」の表記を削除
  • 店名や写真を別の店(改名・後継店など)と取り違えていたページを全件点検し、該当ページを非公開に
  • 写真は、掲載元のページと店名が一致したものだけを使うよう仕組みを変更

批判を「ありがたい」と受け止め、コメント欄の指摘からすぐに仕組みを直したという対応は、賛否が分かれるサービスの中でも目を引く点です。
ただ、これはあくまで開発者本人の説明であり、実際にすべてのページで反映されているかどうかまでは、今回の調査では確認できていません。

自分の店が無断でページ化されていないか、確認するには

店舗を経営している人、あるいはSNS担当として店舗の情報発信を任されている人であれば、自分の店名がすでにnen2に載っていないか気になるところではないでしょうか。
公式サイトには店名検索の機能があり、載っていた場合は問い合わせ窓口から掲載内容の確認や削除依頼ができるとされています。
aiホームページを名乗るサービスは他にも増えており、今後は自社名での定期的な検索チェックが、ブランド管理の新しい習慣になっていくかもしれません。

Shiritomo編集部の考察:マーケターが見るべきは「顧客獲得の入口」の作り方

nen2の設計は、批判の多さとは裏腹に、顧客接点の作り方としてはよくできています。
先に無料のページを用意し、オーナーとの接点を作ってから、独自ドメインや追加機能などの有料提案につなげる――という流れは、グルメサイトや口コミプラットフォームが長年使ってきた「先に情報を集めて後から事業者を招く」手法と同じ構造です。
違いは、それをAIによって無人・無断で大量実行できるようになった点にあります。

SNS運用者にとっての教訓は、「自社の情報は自社がコントロールできている」という前提が、AIの普及で崩れ始めているということです。
今回のケースは店舗HPでしたが、SNSアカウントの紹介文やレビューまとめなど、同じ手法が他の領域に広がる可能性は十分にあります。
批判が出た後に迅速に対応したnen2の例は、サービス提供側の危機対応としても参考になる一方、情報発信を担う側は「気づいたときにはもう公開されていた」というリスクを前提に動く必要がありそうです。

まとめ

nen2は、ネット上の公開情報からAIが店舗HPを先につくり、オーナーが後から承認するという逆転の発想で約9,000店舗規模まで広がりました。
同意前の公開や情報の正確性をめぐる批判が出たものの、開発者本人はそれを認めて改善を進めています。
便利さと同意のバランスをどう取るかは、今後も議論が続きそうです。

さらに深掘りしたい方へ

川崎フロンターレがAI改変・無断使用に警告。
SNS運用者が今すぐ確認すべきブランド侵害の現実川崎フロンターレがAI改変・無断使用に警告。 SNS運用者が今すぐ確認すべきブランド侵害の現実自社の画像・ロゴが無断で使われるリスクをクラブが公式に警告した事例。 ブランド管理の観点で今回のnen2とも通じる話です。