Xの「20周年イヤー」がこっそり後押しする#MyXAnniversary、その仕組みを覗いてみた
「Xを始めて、今日でマル10年となりましたッ‼️」
7月26日、そんな投稿に171件の「いいね」が集まっていました。
3年目、7年目、9年目、11年目——タイムラインには色とりどりの登録年数カードが並び、それぞれのユーザーが自分だけの「誕生日」を披露しています。
きっかけは、Xが個人ごとに送る「Xに登録した日を覚えていますか?」という通知です。
ハッシュタグ #MyXAnniversary とともに専用の投稿テンプレートも用意されており、通知を受け取った人が次々とタイムラインに登録年数を投稿する——この現象、実はShiritomoでもすでに4回取り上げてきた定番ネタです。
SNS運用の担当者なら「またか」と思うかもしれません。
ただ今回は少し違う角度から見てみます。
実はこの記事を書いている2026年7月は、Twitter(現X)が一般公開されてからちょうど20年という節目の月に当たります。
個人の登録年数を祝うだけのこの施策が、なぜこのタイミングで何度も繰り返し盛り上がるのか。
周年施策の設計や、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を促す仕組みづくりを考えるヒントが詰まっています。
先に結論をまとめると:
– Xの登録記念日通知はユーザー個人の登録日に紐づく自動生成の仕組みで、今回も新規から古参まで幅広い年数の投稿が広がっている
– 2026年7月はTwitterが一般公開されてから20年の節目にあたり、プラットフォーム全体の”周年”と個人の”周年”が偶然重なる時期になっている
– 企業アカウントもこの通知に便乗しており、UGC施策としての本質は「拡散」よりも「継続利用への感謝喚起」に近い

通知から始まる「登録年数自慢」
改めて今回の投稿を追うと、年数も背景もバラバラです。
10年前にアカウントを作った人は感謝の言葉を添え、パンデミック下でよく分からないまま投稿を始めたという古参ユーザーは11年目を振り返っています。
冒頭で紹介した「マル10年」の投稿はこちらです。
皆様、いつも私のポスト(ツイート)をご覧くださり、本当にありがとうございます‼️🙇♂️
— 滝れーき 新刊🔞コミック『純情堕悦ほりっく♥』発売中ッ!! (@xs1100T) 2026年7月26日
Twitterを始めて、今日でマル10年となりましたッ‼️😆✨
これからも何卒よろしくお願いいたしますッ🙏✨🙇♂️
#MyXAnniversary pic.twitter.com/dYO6TaOfam
3年目、4年目といった比較的新しいアカウントの投稿も目立ちます。
共通しているのは、感謝や「これからもよろしくお願いします」といった前向きなトーンで、批判的・炎上的な文脈がほぼ見当たらないことです。
通知の設計自体が「祝う」方向にしか働かないためと考えられます。
ただ、この温かいムードだけを見ていても、なぜ毎年・毎月のように同じ現象が繰り返されるのかは分かりません。
そこで通知の仕組みと、Xというプラットフォーム自体の節目を調べてみました。
調べて分かったこと
なぜこの時期に通知が集中するのか?
MyXAnniversaryの通知は、全ユーザーに一斉に届くキャンペーンではありません。
各アカウントが作られた月日にひもづいて、個人ごとにその日が来ると自動的に発火する仕組みです。
つまり「今週たまたま多くの人の記念日が重なった」のではなく、Twitter(現X)が急速にユーザーを増やした2010年代前半〜中盤にアカウントを作った層が、ちょうど今10年前後の節目を迎えているという単純な理由が大きいと考えられます。
実際、今回集まった投稿でも10年・11年・9年といった数字が上位に並んでいました。
Xの「20周年」とこの施策はどう繋がっているのか?
ここが今回の切り口です。
Twitterは2006年3月にサービスの土台が作られ、共同創業者のジャック・ドーシー氏が「just setting up my twttr」と投稿したのもこの時期でした。
そして一般公開されたのは同年7月15日。
つまり、2026年7月は、Twitter(現X)が一般公開されてからちょうど20年という節目の月にあたります(Yahoo Entertainment・AOLなど複数の海外メディアが2026年に「20年前の今日」として報じています)。
X本社(X Corp.)が「20周年」を掲げた大規模な公式キャンペーンを打ち出しているという事実は今回の調査では確認できませんでした。
その意味で、断定はできません。
ただ、プラットフォームそのものが20年という大台に乗るタイミングで、個人ごとの登録記念日通知という「小さな周年施策」が例年以上に目立って見えるのは偶然とは言い切れない面があります。
実際に11年目を迎えたユーザーの投稿では、コロナ禍で手探りに投稿を始めた頃を振り返る言葉が印象的でした。
Xに登録した日を覚えていますか? #MyXAnniversary
— 伊藤誠良 (@itonobuyoshi) 2026年7月26日
【11周年】
(旧Twitter)X
11年目に突入致しました
アカウントを作った数年間は
ほぼほぼ放置状態でした
世界中が流行病で
大騒ぎになっていた頃
使い方もよく分からず
手探りで投稿をはじめて
何とかここまで来れました… pic.twitter.com/Pr7y4i9aN6
個人だけでなく企業アカウントも乗っかっている?
今回の投稿群には、鉄工所を営む企業アカウントが「Xを始めて4年」と感謝を伝える投稿も含まれていました。
フォロワーへの御礼という文脈で、業種を問わず使われている点が興味深いところです。
八瀬鉄工所としてXを始めて4年が経ちました😳🙌
— 八瀬鉄工所@採用中【クランクシャフト】@採用中 (@crankshaft_yase) 2026年7月27日
いつもたくさんのいいねをありがとうございます💚
今後とも末永くよろしくお願いしますm(__)m
#MyXAnniversary pic.twitter.com/PmSfcM4K5k
企業アカウントにとって#MyXAnniversaryは、宣伝色を出さずに「いつもありがとうございます」を伝えられる数少ない口実でもあります。
通知が来たタイミングで投稿するだけなので、コンテンツ制作の負荷もほぼゼロです。
Shiritomo編集部の考察:会員記念日施策に転用できる3つの要素
この仕組みを自社のSNS運用やCRM施策に応用するなら、注目すべきは「拡散力」ではなく「継続の可視化」です。
MyXAnniversaryはバズって新規流入を生むタイプの施策ではなく、既存ユーザーに”自分ごと化された数字”を見せることで、離脱しかけた層にも小さな感情の揺さぶりを起こす仕組みだと言えます。
会員登録から○年、購入から○回目といった個人単位の節目を自動生成してSNSやメールで通知する施策は、Xのように大規模でなくても再現可能です。
ポイントは、①通知を全員一斉ではなく個人の登録日に紐づける、②投稿・共有までの手間をテンプレートでゼロに近づける、③トーンを一貫して「祝う」方向に固定する、の3つです。
企業アカウントが便乗しやすかったのも、この設計のシンプルさゆえだと考えられます。
まとめ
MyXAnniversaryは一見するとありふれた恒例行事に見えますが、今年はTwitterの一般公開から20年という節目の月に重なっているという背景を知ると、少し違って見えてきます。
プラットフォームの大きな周年と、個人の小さな周年が同じ時期に並走している——そんな見方もできそうです。
さらに深掘りしたい方へ
Twitterの創業と一般公開の経緯はYahoo Entertainmentの特集記事、プラットフォームとしての歴史全体はWikipedia「X (social network)」で確認できます。


