「結局どこかに誘導して、情報を抜く感じなのかしら」——Xの乗っ取り連鎖と詐欺DMの正体
「9/1 10:00 〜 9/14 11:30 までの間に本アカウントから何かしらの連絡があった場合は、全て無視・破棄するようお願いいたします」。
作曲家Lidlicの公式Xアカウントが出したお知らせの一文です。
9月1日の朝から約2週間ログインできない状態が続いていましたが、9月14日、同アカウントから「無事にアカウントを取り戻せた」との報告がありました。
乗っ取られたのはLidlicだけではありません。
9月に入ってから、Xでは同じような乗っ取りの報告と、乗っ取られたアカウントから届く詐欺DMへの注意喚起を続けて見かけるようになりました。
企業やインフルエンサーのSNS運用担当者はもちろん、個人アカウントを持つ人にとっても他人事ではない話です。
実際に何が起きているのか、自分の身を守るために今すぐできることは何か、調べてみました。
先に結論をまとめると:
– 9月1日以降、Xアカウントの乗っ取りと、そこから届く詐欺DMの報告が複数のアカウントで相次いでいます
– 乗っ取られたアカウントから「Discordサポート」やメール変更の通知を装うDMが送られ、ログイン情報を狙う手口が広がっています
– 無料プランではSMSでの二段階認証が使えないため、認証アプリでの設定が現実的な対策になります
Xで相次ぐ乗っ取り報告
Lidlicの公式アカウントは、9月1日10時ごろに乗っ取られてログイン不可となり、約2週間にわたって復旧できない状態が続いていましたが、9月14日に同アカウントから「無事にアカウントを取り戻せた」との報告がありました。
復旧までの間、サブアカウントからは「本アカウントから連絡があっても反応しないように」という呼びかけが続いていました。
【お知らせ】
— Lidlic(リドリック) (@Lidlic_official) 2026年9月14日
9月1日 10時頃より本アカウントが乗っ取り被害にあい、ログイン不可な状態となっておりました
そのため、9/1 10:00 ~ 9/14 11:30 までの間に本アカウントから何かしらの連絡があった場合は、全て無視・破棄するようお願いいたします…
2週間近くログインを取り戻せない状態が続いたというケースは、決して珍しくないようです。
Xのヘルプセンターでも、身に覚えのないログインに気づいた場合はパスワードの変更と二段階認証の有効化をすすめる記載があります。
ただ、なぜここまで復旧に時間がかかるのか、乗っ取られた後には何が起きるのか。
そのあたりが気になったので、もう少し掘り下げてみました。
乗っ取りの手口と、自分でできる対策
なぜ乗っ取りが連鎖して起きているのか
複数のセキュリティ関連メディアの報道によると、Xでは乗っ取ったアカウントを使ってフォロワーへ「不正利用があった」「アカウントが誤って通報された」といったDMを送り、偽の窓口として「Discordサポート」への参加や外部サイトへの誘導を促す手口が確認されています。
誘導先で入力させられるのは、ログイン情報や二段階認証のコードそのものであることが多いようです。
Lidlicのサブアカウントも、本アカウントが不正利用されている間の対応を続けています。
【定期】
— リドサブ (@lid_sub) 2026年9月13日
9月1日よりLidlicのXのアカウント(@Lidlic_official )が乗っ取られている状態のため、こちらのアカウントから連絡があっても反応しないようお願いいたします
現在復旧のために色々試している最中です…
こうした「乗っ取り→フォロワーへの詐欺DM送信→さらなる乗っ取り」という連鎖が、被害の広がりを速くしている一因と考えられます。
この連鎖が起きているあいだ、本人が投稿できない状態でも、なりすましのDMだけはフォロワーへ届き続けてしまう点が厄介なところです。
乗っ取られたかどうか確認する方法
自分や身近な人のアカウントが乗っ取られているかどうかは、次のポイントで確認できます。
- 心当たりのない投稿・リツイート・DM送信履歴がないか
- 「パスワードを変更しました」「登録メールアドレスを変更しました」という通知メールが、自分の操作でないのに届いていないか
- プロフィールやフォロー・フォロワーが勝手に変更されていないか
- ログインができない場合は、Xのヘルプセンターにある「アカウントが乗っ取られた」旨の申請フォームから連絡する
逆に、フォロワーや知人のアカウントから届いたDMが詐欺かどうかを見分けるポイントもあります。
実際に不審なDMを受け取った人の投稿がこちらです。
垢を乗っ取られた人の詐欺DMが私のところにも来てました。
— アクアマンタロウ (@atruo) 2026年9月12日
結局どこかに誘導して、情報を抜く感じなのかしら。
皆様お気をつけください。
見分けるうえで意識したいのは、急に「重要」「至急」といった言葉で焦らせてくること、公式のDM機能を使わず外部のDiscordサーバーやリンクへ誘導してくること、そしてログイン情報や認証コードの入力を求めてくることです。
Xの公式サポートがDMで個別に連絡し、外部アプリへの入力を求めることは基本的にありません。
乗っ取られてしまったときの対処法
万が一、自分のアカウントが乗っ取られてしまった場合にやるべきことは、大きく分けて3つです。
まず、ログインできる状態であればすぐにパスワードを変更します。
ログインできない場合は、Xのヘルプセンターから「アカウントが乗っ取られた」旨を申請し、登録メールアドレスに届く案内に従います。
Xのアカウント復旧は登録メールアドレスへのアクセスが前提になるため、メール側のパスワードも合わせて見直しておくと安心です。
次に、二段階認証を有効にします。
2023年3月以降、無料プランのユーザーはSMSでの二段階認証が使えなくなっているため、認証アプリ(Google Authenticator等)を使う方法が現実的です。
設定は「設定とプライバシー」→「アカウント」→「セキュリティ」→「2要素認証」から進められます。
最後に、フォロワーへの周知です。
Lidlicのケースのように、サブアカウントや別の連絡手段を普段から用意しておくと、本アカウントが動かせない間もフォロワーに注意を呼びかけられます。
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
今回のLidlicのケースを、8月末に起きたポケモン公式アカウントなどの乗っ取り(パスワードリセット申請を連打する手口)と並べてみると、Xのアカウント乗っ取りは数ヶ月おきに手口を変えながら繰り返し起きていることが分かります。
攻撃の入り口は毎回違っても、突きつけられる課題は同じです。
「不正ログインにどれだけ早く気づけるか」と「本アカウントが使えない間、フォロワーにどう連絡するか」の2点です。
SNS運用を担当している方には、明日からできることが2つあります。
1つは、二段階認証をまだ設定していないアカウントがあれば今すぐ設定すること。
もう1つは、サブアカウントや別の連絡チャネルを、乗っ取りが起きてから作るのではなく、平時のうちに用意しておくことです。
Lidlicの対応が早く見えたのは、サブアカウントという「連絡手段」がすでに存在していたからでもあります。
個人アカウントでも、この2点は同じように効きます。
まとめ
Xでは9月に入ってから、アカウント乗っ取りと、そこから広がる詐欺DMの報告が相次いでいます。
乗っ取り自体を完全に防ぐのは難しくても、二段階認証の設定と、届いたDMを一呼吸置いて見極める習慣は、今日から始められる対策です。
さらに深掘りしたい方へ
二段階認証の具体的な設定手順はXヘルプセンター:2要素認証を使用する方法、アカウントが乗っ取られた際の申請手順はXヘルプセンター:アカウントが不正利用された場合の対処法で確認できます。

