「SNOWでやってみた」——その一言に隠れた対価、消費者庁が下した措置命令

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月7日 更新
「SNOWでやってみた」——その一言に隠れた対価、消費者庁が下した措置命令

「今流行ってるAI生成画像、SNOWでやってみた」「ChatGPT重いけど、SNOWでやってみたらすぐにできたよ」。
そんな何気ない一言に、実は運営会社からの依頼と対価が絡んでいたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか。

8月6日、消費者庁は写真加工アプリ「SNOW」を運営するSnow CorporationとSNOW Japanに対し、景品表示法違反(ステルスマーケティング規制)で措置命令を出しました。
SNSでインフルエンサーマーケティングを企画・運用する立場の人にとって、この一件は「何をすると法令違反になるのか」を具体的に示す事例です。
今日から自社の施策を見直すきっかけとして、詳しく見ていきます。

先に結論をまとめると:
– SNOW Japanは対価を渡す条件で、第三者に「広告と明示しない」投稿を依頼していたことが問題視されました
– 対象は70件超のX投稿で、2025年4月から一部は2026年6月まで表示され続けていました
– 「投稿の文面まで会社側が指示していた」点が、単なる商品提供・感想依頼との違いを分けるポイントです

何が起きたのか、Xでの受け止め方

事の発端は、消費者庁が8月6日に発表した報道発表資料です。
写真加工アプリ「SNOW」を運営する韓国のSnow Corporationと、日本法人であるSNOW Japan(東京都品川区)に対して、景品表示法に基づく措置命令が出されました。

速報を伝えたニュースアカウントの投稿には、1,700件を超えるいいねが付きました。

多くの人が「知らないうちに広告を見せられていた」ことへの驚きを口にしており、消費者庁の公式アカウントが発信した告知にも7,000件超のいいねが集まっています。
「#ステマ」というハッシュタグとともに拡散されたこの投稿は、消費者庁がSNOW上のPRサービスの表示について、景品表示法における「ステルスマーケティング告示」に違反すると認定したことを伝えるものでした。

ただ、「ステマ規制」という言葉自体は近年たびたびニュースになっており、「今回は何がこれまでと違うのか」を知らないと、単なる一過性の話題で終わってしまいます。
そこで、措置命令の中身をもう少し詳しく確認してみました。

調べて分かったこと

具体的に何が「アウト」だったのか?

消費者庁が問題視したのは、SNOW Japanが第三者(インフルエンサーなど)に対して、対価の提供を条件に投稿を依頼していた行為そのものです。
ITmediaの報道によれば、対象となった投稿は70件を超え、2025年4月頃から続いており、一部は2026年6月まで表示されていたとされています。

さらに注目すべきは、依頼の中身が「感想を書いてください」という抽象的なものではなかった点です。
消費者庁が示した例では、「今流行ってるAI生成画像SNOWでやってみた」「ChatGPT重いけど、SNOWでやってみたらすぐに出来たよ」といった、投稿の文言そのものが会社側から指定されていました。
一般利用者が自発的に感じたことのように見せかけながら、実際には企業が用意した”台本”に沿って投稿されていたというのが、ステルスマーケティングと認定された核心部分です。

なぜ「広告」だと気づけなかったのか?

景品表示法上の「ステルスマーケティング告示」(2023年10月施行)は、事業者が自ら行う表示であるにもかかわらず、第三者の自発的な意見であるかのように見せかける表示を禁止しています。
消費者庁は今回、「企業が依頼したものであることを明らかにしておらず、消費者が広告と判別するのは困難だった」と指摘しました。

つまり判断のポイントは、投稿者に対価が支払われていたかどうかだけでなく、「PR」「広告」といった明示がないまま、あたかも純粋な口コミであるかのように見える形で投稿されていたかどうかにあります。
ここは、SNS運用担当者が案件投稿を依頼する際に、最も見落としやすい部分ではないでしょうか。
消費者庁の公式アカウントも、今回の認定内容をあらためて解説する形で発信しています。

措置命令とはそもそも何をされる処分なのか?

措置命令は、景品表示法違反が認められた事業者に対して消費者庁が出す行政処分です。
違反行為の差し止め、再発防止策の実施、そして一般消費者への周知が義務付けられます。
罰金のような直接的な金銭処分ではありませんが、社名を挙げて公表されること自体が、企業の信頼に長期的な影響を与えると言われています。

過去にも、化粧品や健康食品などの分野でインフルエンサーマーケティングを巡る措置命令が出されており、こうした事例は繰り返し起きています。
共通しているのは、「PR」「広告」の明示を怠り、投稿内容にまで企業が関与していたケースが摘発されやすいという傾向です。

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

SNS担当者が明日から実践できることは大きく2つあります。
1つ目は、インフルエンサーに投稿を依頼する際、文面のテンプレートをそのまま渡す運用を避けることです。
今回のように「この言い回しで投稿してください」という形は、たとえ悪意がなくても第三者の自発的な意見に見えなくなるリスクを高めます。
2つ目は、対価の形態を問わず(現金・商品提供・割引など)、依頼した投稿には必ず「PR」「広告」の明示を徹底することです。

エンゲージメント設計の観点からも興味深い点があります。
ステマは短期的には「自然な口コミ」に見えるため拡散されやすい一方、発覚した際は炎上・行政処分という形でブランドへのダメージを後から支払うことになります
「バレなければいい」という発想がいかに割に合わないかを、今回の事例は数字(70件超・1年以上表示)という形で可視化したとも言えるでしょう。

まとめ

SNOWへの措置命令は、インフルエンサー投稿の文言まで企業が関与していたことがステルスマーケティングと認定された事例でした。
SNS運用に携わる人ほど、「広告の明示」を運用フローに組み込む必要性を改めて確認しておきたいところです。

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