CM公開の一言に2.7万いいね——SABONが田中樹起用で仕掛けた「香りの店内放送」という長期戦
「本日より新CM公開🎉」。
SABON公式の投稿はそれだけの見出しでしたが、いいねは27,062件に達しました。
芸能人起用のCM告知として決して珍しい形式ではないのに、ここまで数字が伸びたのはなぜでしょうか。
8月5日、SixTONESの田中樹さんがナチュラルコスメブランドSABONの新アンバサダーに就任し、初の単独CMが公開されました。
単発の話題で終わらせず、12月25日まで続く店舗施策まで組み込まれているこの起用は、ブランドアンバサダー施策の設計として学べる点が多くあります。
SNSでファンダムを抱える人物を起用する際に何を仕込んでおくべきか、実例から見ていきます。
先に結論をまとめると:
– CM公開・メイキング公開という2段構えの投稿が、それぞれ1.7万〜2.7万いいねを獲得しました
– ファンは「香りの謎解き」に反応し、店舗での接客体験そのものを拡散するに至りました
– 8月から12月まで続く店内ラジオ企画が、話題を一過性で終わらせない設計になっています
何が起きたのか、Xでの盛り上がり
8月5日、都内で開かれた発表会でSABONは田中樹さんの新アンバサダー就任を発表しました。
CMは「SABONでOff」篇と「香りでON」篇の2本立てで、それぞれ異なる香りのボディスクラブが使われています。
SABON公式が投稿した告知はシンプルな一文でしたが、反響は小さくありませんでした。

【本日より新CM公開🎉】#田中樹 さん出演!
— サボン / SABON 公式 (@SABON_Japan) 2026年8月6日
「SABONでOff」篇
澄んだジャスミンの香りで日々の疲れをとりOffモードに🛀#田中樹とSABONしよ#SABON pic.twitter.com/2fO2Kxq9vA
同じ日に公開されたもう一方の投稿も、1.8万件超のいいねを集めました。
これだけならよくある「CM公開告知がバズった」という話で終わりそうですが、ファンの反応を追っていくと、単純な告知の拡散にとどまらない動きが見えてきます。
調べて分かったこと
なぜCM告知だけでここまで伸びたのか?
WWDJAPANの報道によると、田中樹さんの起用理由についてサボン ジャパンの社長は「多くの人に愛されながら、常に挑戦を続け、自分らしさを貫いている」ことを挙げています。
ブランドが掲げる「日常の中に喜びや感動を届ける」という価値観と、田中さんの人柄が重なる点を起用の軸に据えたということです。
もう一方のCMも、公開直後から反響を集めていました。
【本日より新CM公開🎉】#田中樹 さん出演!
— サボン / SABON 公式 (@SABON_Japan) 2026年8月6日
「香りでON」篇
ジェントルマンのシトラスウッディの香りが自信をONして前向きな1日を過ごせるかも⭐️#田中樹とSABONしよ#SABON pic.twitter.com/RyLyfxWw4I
加えて見逃せないのが、田中さん自身が発表会で「本当にSABONの製品を使わせていただいていて、SABONファン」「新製品のメールも届くほど」と語っていた点です。
起用されたタレントが「もともとのファン」であることが公式に強調されているため、ファンにとっては「推しが好きなブランドを担当することになった」という、単なる企業案件以上の受け止め方につながりやすい構造になっています。
ファンはCMの何に反応していたのか?
実際の投稿を見ると、CMの内容そのものよりも「香りの謎解き」に食いついている様子がうかがえます。
じゅりくんの好みの匂いは
— eMi (@hemi_iLYs) 2026年8月6日
こちららしい。
でもファンの為に普段から
使える匂いを提案したって
SABON店員さんが
教えてくれた💙 pic.twitter.com/LJvWUiYzIb
この投稿では、CMで使われた香り(デリケート・ジャスミン)と、田中さん本人が普段愛用しているとされる香りが異なる可能性に言及しており、店舗スタッフから聞いた情報として「ファンのために普段使いしやすい香りを提案した」という裏話まで共有されています。
CMのビジュアルだけでなく、「なぜこの香りが選ばれたのか」という制作側の意図まで話題にする動きは、単純な広告接触では起きにくい反応です。
なぜ「単発CM」で終わらせない設計になっているのか?
WWDJAPANによれば、8月6日から12月25日まで、全国のサボン直営店舗で田中さんがラジオ形式でブランドの魅力を紹介する店内放送が実施されます。
9月以降は毎月1日に新しいトークが追加され、特設サイトにアーカイブされる予定です。
この設計のポイントは、CM公開という「点」の話題を、5カ月近く続く店舗体験という「線」に変えていることです。
ファンが実際に店舗へ足を運び、店員から裏話を聞き、それをSNSに投稿するという一連の流れが、ブランド側の設計として組み込まれています。
実際、店舗を訪れたファンの投稿には、通常の商品購入報告とは違う熱量が見られました。
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
ブランドアンバサダー施策を担当するSNS運用者が持ち帰れる示唆は2つあります。
1つ目は、起用するタレント本人の「ファンとしての文脈」を隠さずに発信材料へ組み込むことです。
今回のように「元々の愛用者だった」という事実は、フォロワーにとって案件広告特有の距離感を薄める効果を持ちます。
2つ目は、CM公開という単発の話題を、店舗体験やコンテンツ更新という継続的な接点に接続する設計です。
今回の店内ラジオのように「毎月更新される」仕掛けがあることで、ファンが繰り返しブランドとの接点を持つ理由が生まれます。
エンゲージメントの構造という観点でも興味深い点があります。
今回の投稿群を見ると、公式の告知投稿そのものよりも、ファンが店舗で得た一次情報を共有した投稿の方が熱量の高い反応を集めていました。
企業がすべてを説明し尽くすのではなく、ファンが「知りたい」と思う余白(なぜこの香りなのか、なぜこの表現なのか)を残しておくことが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を生む設計につながっているのではないでしょうか。
まとめ
SABONの田中樹起用は、CM公開という一過性の話題を、店舗体験と継続的なコンテンツ更新に接続することで、ファンの自発的な発信を引き出す設計になっていました。
単発の話題作りで終わらせないアンバサダー施策の一例として参考になります。


