Akamai創業以来最大の契約、Anthropicが払う116億ドルの行き先はGPUではなくCPUだった
116億ドル。
日本円で約1兆8000億円というこの金額は、Akamaiがこれまで結んできたどの契約よりも大きいといいます。
契約した相手はAI企業のAnthropicで、支払う先はAkamaiのクラウドインフラです。
ただし使い道が、AI業界でよく聞く「GPU」ではなく「CPU」だという点に、目を引かれました。
AIの学習や推論といえばGPU(画像処理用の半導体で、大量の計算を並列でこなすのが得意)を大量に並べる話になりがちですが、この契約はAnthropicのCPUワークロード(CPUに処理させる業務量)をAkamaiの分散型インフラで支える内容です。
AIサービスを仕事で使っている人にとっても、その裏側でどんなお金と資源が動いているのかを知っておくのは、無関係な話ではないはずです。
先に結論をまとめると:
– Akamaiは24日(米国時間)、Anthropicと7年間・116億ドルのクラウド契約を発表。
創業以来最大の契約
– 追加オプションを合わせると最大200億ドル規模に拡大可能で、Anthropicには株式取得につながる新株予約権も付与された
– 発表を受けてAkamaiの株価は時間外取引で最大20%近く急伸した
Xでも「創業以来、最大規模の契約」の発表として拡散
日本時間25日の夜、Akamaiの公式アカウントがこの契約を日本語で発表すると、1,600件を超える「いいね」が付きました。
このたび、Akamai Technologies はAnthropic社と7年間で116億ドル(約1.8兆円)に及ぶ契約を締結しました。Akamaiの創業以来、最大規模の契約となります。
— アカマイ・テクノロジーズ (@akamai_jp) 2026年9月25日
📰プレスリリース(英文)https://t.co/Tz0Fb4clJm
投稿では「Akamaiの創業以来、最大規模の契約となります」と明記されており、単なる大型契約という以上に、この会社にとって特別な位置づけであることがうかがえます。
ただ、金額の大きさだけを見ても、なぜAnthropicがAkamaiを選んだのか、なぜ今なのかまでは見えてきません。
実際に発表資料を確認してみました。
なぜGPUではなくCPUなのか?
AkamaiとAnthropicが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、この契約はAnthropicの「CPUワークロード」をAkamaiの分散型インフラで支えるものだと明記されています。
生成AIの学習や推論はGPUだけで完結するわけではなく、データの前処理やAPIへの応答処理など、CPUが担う仕事も大量に発生します。
AIブームの主役はGPUメーカーのNVIDIAだと思われがちですが、その裏でCPU・メモリのキャパシティ不足も同時に起きているというわけです。
Akamaiはもともと世界中にサーバーを分散配置し、動画配信やセキュリティサービスを支えてきた企業です。
この「分散型」という強みが、特定のデータセンターに一極集中させにくいCPUワークロードの受け皿として評価されたとみられます。
株価はなぜ20%近くも跳ねたのか?
発表を受け、Akamaiの株価は時間外取引で一時20%近く上昇しました。
背景には、Anthropicに付与された新株予約権があります。
これはAkamaiの発行済み株式の最大5%相当にあたり、契約した金額に応じて段階的に権利が確定していく仕組みです。
Anthropic側からすれば、支払う契約金の一部が将来的にAkamai株という形で戻ってくる可能性がある取引になります。
一方でAkamaiは、この契約に対応するため2028年までに約55億ドルの設備投資を計画しています。
2026年中にもメモリなど部材の確保だけで約17億ドルを追加投資する予定だといい、収益が本格的に立ち上がるのは2027年後半からで、2028年末には年間17億ドルペースの規模になる見通しです。
つまり今回の株価急伸は、実際の収益が伴う前の「期待」による部分が大きいとも言えそうです。
Shiritomo編集部の考察:AIインフラ投資の恩恵は使う側にも届くか
この契約が象徴しているのは、AI業界の投資対象がGPUの奪い合いから、CPU・メモリ・電力といった地味だが不可欠な資源の確保へと広がっている流れです。
SNSやマーケティングの現場でAIツールを使う私たちにとって直接関係があるのは、こうしたインフラ投資が積み重なることで、生成AIサービスの応答速度や安定性、ひいては利用料金にどう跳ね返ってくるかという点でしょう。
過去にも大手クラウド事業者とAI企業の大型契約が発表されるたびに、対象企業の株価が短期的に急伸する場面が繰り返されてきました。
ただし収益化までに数年単位の時間差があるのも共通しています。
今回のAkamaiの契約も、実際の効果が数字に表れ始めるのは2027年以降であり、しばらくは「発表された規模」と「実際の収益」を分けて見ていく必要がありそうです。
まとめ
Akamaiが発表した116億ドルの契約は、AI業界の主戦場がGPUだけでなくCPU・メモリにも広がっていることを示す象徴的な出来事でした。
株価は急伸しましたが、収益が本格化するのは2027年後半からで、これからの推移を見守る必要がありそうです。