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新人は書けないのに、AIは書けるようになった――COBOL移行の正解率が86.6%に

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月22日 更新
新人は書けないのに、AIは書けるようになった――COBOL移行の正解率が86.6%に

COBOLがATM取引の95%、オンライン銀行システムの4割以上を今も支えている——IBMの調査ではそう言われています。
60年以上前に生まれたこの言語を扱える技術者は年々減っていて、新人がCOBOLを学ぶ機会はほとんどありません。
そんな中、OpenAIが日本時間10月20日朝、COBOLやFortranといった古い言語のコード生成・移行能力を大きく引き上げたと発表しました。
AIでコードを書いたり、基幹システムの保守に関わったりしている人には、放置されてきた言語の扱いが変わるかもしれない話です。

先に結論をまとめると:
– OpenAIが、COBOL・Fortran・Visual Basicなど学習データの少ない「低リソース言語」のコード生成・移行能力を強化したと発表
– COBOLを別言語に移行するテストの正解率は、低い推論設定で5.4%→86.6%に上昇。
推論を強めると97.9%まで伸びる
– 20言語を対象にした新ベンチマーク「MultiLangBench」でも全体の正解率は87.4%に。
ただし評価はOpenAI自身によるもの

COBOL移行の正解率、1年で5.4%から86.6%に

OpenAIが公式X(旧Twitter)で明らかにしたのは、最新モデルの性能向上についてです。
COBOL・Fortran・Visual Basicのような「低リソース言語」(low-resource languages:学習に使えるコードサンプルが少ない言語)が対象です。
コードの生成・移行精度を伸ばしたといいます。

OpenAIは投稿で「COBOL、Fortran、Visual Basicのような低リソース言語でソフトウェアを構築・移行する能力が強化された。
これらの言語は銀行や政府、企業が依存するソフトウェアを支えている」と説明しています。

具体的な数字を見てみます。
COBOLのコードを別言語(C++・Java・Kotlin・Python・Rust)へ書き換える評価があります。
そこでの旧モデル「GPT-5.6 Sol」の正解率は、わずか5.4%でした。
これに対し新モデル「GPT-6.1 Sol」は、低い推論設定でも86.6%まで正解率を伸ばしました。
推論を強めた設定(より多くの計算時間をかけて考えさせる設定)では、97.9%まで達しています。
しかも低い推論設定では、APIの利用コストが旧モデルより約39%低く済むといいます。

ただ、この数字だけでは「本当にそこまで進んだのか」は分かりません。
そこで、発表を伝えた報道と、もう一つのベンチマークの内容を確かめてみました。

調べて分かったこと

なぜここまで正解率が伸びたのか?

OpenAIはもう一つ、20言語を対象にした新しいベンチマーク「MultiLangBench」も発表しました。
各言語でSQLite互換のデータベースエンジンをゼロから書かせ、テストに通過させる内容です。
最大の推論努力を使った場合、新モデル「GPT-6 Astra」は平均87.4%のテスト通過率を記録しました。
前世代の「GPT-5.6 Sol」は26.8%だったといい、1年足らずで正解率が3倍以上に伸びたことになります。

日本語でこのニュースを伝えたテクノエッジは、見出しで「正解率5%から最大98%」と表現しています。

ここで気をつけたいのは、公開されている数字はいずれもOpenAI自身が実施した評価だという点です。
第三者機関による検証結果はまだ出ていません。
移行作業をまるごとAIに任せられるわけではなく、現時点では専門家によるレビューとテストが欠かせない、という位置づけのようです。

COBOL技術者の不足は、この発表でどう変わるのか?

COBOLをめぐる最大の課題は、精度よりも人材不足そのものです。
COBOLを保守できる技術者は年間およそ3,000人のペースで減っているとの推計もあり、2027年前後には保守できる人材が現在の半分以下になり、障害対応にかかる時間も2〜3倍に延びるとの見立てもあります。
こうした動きは「2027年問題」と呼ばれることもあります。

新人エンジニアがCOBOLを学ぶ機会はほとんどなく、ベテランの定年退職だけが先に進んでいきます。
今回のような移行支援AIの精度向上は、この「教える人がいない」という根本の問題を直接解決するものではありません。
ただ、既存コードを読み解いて新しい言語へ書き換える作業の土台にはなりえそうです。

Shiritomo編集部の考察:競争軸は「汎用」から「困りごと」へ

今回の発表で目を引くのは、OpenAIが派手な新機能ではなく「古い言語の読み書き」という、地味だけれど多くの企業が困っている課題に正面から取り組んだ点です。
生成AIの競争はこれまで、対話の滑らかさやベンチマークの総合点で語られることが多かったものです。
ただ企業システムの現場では、「COBOLを読める人がいない」という切実な悩みのほうが重くのしかかっています。
COBOLの正解率はまだ97.9%(高推論時)止まりで、100%には届いていません。
それも含めて考えると、今後の競争軸は「何でもできる汎用AI」から「特定の困りごとをどこまで肩代わりできるAI」へ移っていくのではないでしょうか。
基幹システムの刷新を検討している企業ほど、この手の実務寄りの性能改善を注視する価値がありそうです。

まとめ

OpenAIは古い言語COBOL・Fortran・Visual Basicのコード生成・移行能力を強化しました。
COBOL移行評価の正解率は5.4%から86.6%、高推論では97.9%まで伸びています。
評価はOpenAI自身によるものですが、COBOL技術者不足が深刻化するなかで、今後の実務での使われ方が注目されます。

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