「ソーセー寺の変、開戦。」――日本ハム社内の”焼くか茹でるか”論争、全国投票に委ねる
「⚔️ ソーセー寺の変、開戦。
⚔️」。
日本ハムの公式X(旧Twitter)アカウント「【公式】シャウエッセン」が11月2日の夕方に投げかけた一文です。
テーマはソーセージを焼くか、茹でるか。
社内で勃発したというこの論争を描いた1本の投稿は、600万回近く表示され、6,700件を超える「いいね」を集めました。
SNSでの情報発信やブランドのキャンペーン設計に関心がある人にとっては、「社内の雑談レベルの話を、どうやってここまで伸ばしたのか」が気になる案件のはずです。
先に結論をまとめると:
– 日本ハムは「焼くか茹でるか」論争を、11月2日〜30日の全国投票キャンペーン「ソーセー寺の変」として展開中です(結果発表は12月1日)
– 投票前の事前調査では、九州が「焼きが好き」全国最多(83.9%)、北海道・東北が「茹でが好き」全国最多(28.7%)という地域差が出ています
– このお祭り企画の裏には、10月に主力商品の内容量を減らした”実質値上げ”リニューアルがあり、キャンペーンはその後の話題づくりという位置づけにも見えます
何が起きたのか
「ソーセー寺の変」は、特設サイトで都道府県を選んでから「焼き派」か「茹で派」かに1日1回投票できる企画です。
投票は11月2日に始まり、11月30日まで続き、結果は12月1日に発表されます。
取材時点の中間集計では、焼き派が80%、茹で派が20%と、焼き派が大きく先行していました。
事前に行われたアンケート調査では、全国的に焼き派が優勢という結果が出ており、その中でも「焼きが好き」という回答が九州で83.9%と全国最高を記録しています。
一方で、「茹でが好き」という回答がもっとも多かったのは北海道・東北で28.7%。
ここがいわば”最後の抵抗勢力”というわけです。
発表元によれば、ここまでの流れを汲む投稿として公開されたのが先ほどのツイートでした。
⚔️ ソーセー寺の変、開戦。⚔️
— 【公式】シャウエッセン (@schauessen_nh) 2026年11月2日
ソーセージは、焼くか。茹でるか。
日本ハム社内で勃発した食べ方論争が、
ついに全国を巻き込む戦へ。
焼き派か。茹で派か。
あなたは、どっち?
あなたの一票で、天下が決まる。
▼投票はこちらから
ただ、この”焼くか茹でるか”という問いかけ自体は、実はシャウエッセンにとって初めての話ではありません。
公式が長年推してきた調理法は「黄金の3分間ボイル」、つまり茹でる派だったはずです。
それが今回、わざわざ社内論争として掘り起こされたのには、もう少し手前の事情がありそうです。
調べて分かったこと
なぜ今、この論争なのか?
日本ハムは2026年10月、シャウエッセンをリニューアルしました。
公式発表によると、主力商品の内容量は117g×2パックから107g×2パックへ減り、参考小売価格は702円(税込)のまま据え置かれています。
重さが減って値段は変わらないという、いわゆる実質値上げです。
会社側はこれを「時代に負けてたまるか。」というキャッチコピーで発表し、「1本あたりの重量を増やし、さらに食べ応えのあるおいしさに」と説明しています。
実際に行った調査では、リニューアル後の商品について「張り」を感じた人が72%、「パリッ‼と感」を感じた人が65%、「満足感」を感じた人が61%と、いずれも従来品を上回ったとしています。
つまり、総重量は減らしたが1本あたりの肉感は増やした、という説明です。
この手の”量は減ったが質は上げた”という発表は、消費者側からすると素直には受け取りにくいものです。
その直後に飛び込んできたのが、今回の「焼くか茹でるか」論争でした。
シリアスな値上げ説明の後に、あえて柔らかいお祭り企画を持ってくる組み合わせは、企業SNSの話題転換としてよくできているように見えます。
地域差は、どこまで本当なのか?
事前調査の「九州83.9%・北海道・東北28.7%」という数字自体は、日本ハムが公開した調査結果です。
ただ、47都道府県や6地域すべての詳細な内訳までは、現時点で一般向けの記事には出ていません。
発表元は「焼き派が全国6地域すべてで優勢」としており、北海道・東北の28.7%は”茹で派が一番強い地域”という意味で、その地域でも焼き派が多数派であることに変わりはないようです。
継続する疑問:結局、どっちで焼くのが正解?
Google広告のキーワードプランナーによると、「シャウエッセン焼き方」は2026年9月時点で月間2,400件検索されており、12ヶ月平均も2,900件とほぼ安定しています。
一方「シャウエッセン茹で方」は月間170件どまり。
検索の数だけで見ると、すでに焼き派に興味を持つ人の方が多いことになります。
公式の答えが出るのは12月1日ですが、気になる人はキャンペーンサイトで両派の主張を読み比べてから投票してみるのも良さそうです。
Shiritomo編集部の考察:企業の”炎上リスク”を遊びに変える設計
実質値上げの発表は、どれだけ丁寧に説明しても反発を招きやすいテーマです。
今回のキャンペーンがうまいのは、値上げの話そのものには触れず、「焼くか茹でるか」という誰もが気軽に参加できる論争に話を逸らしている点です。
都道府県を選んで投票させる設計も見逃せません。
1日1票という制限は連続投票を防ぐ目的でしょうが、結果として地域別のデータが自然に集まる仕組みにもなっています。
これは次の商品展開やエリア限定施策の判断材料として、社内でそのまま使えそうです。
短期的な盛り上がりだけでなく、お祭り企画の裏で実需データを拾っている点が、SNSキャンペーンとしての設計の巧みさだと感じます。
まとめ
「ソーセー寺の変」は、1本の社内論争をお祭りに変えて全国を巻き込んだ投票キャンペーンです。
結果発表は12月1日、気になる人はそれまで投票サイトをのぞいてみてください。
