Kiwi Ears Ember「サブベースとキレのイヤホン」、開発者が★5をつけた新作IEM
23,100円の新作イヤホンに、作った本人が星5のレビューをつけました。
身内びいきと言われてもおかしくない行為ですが、投稿にはこう書かれています――「自分で納得して発売したので★5は付けないのが失礼だと思いまして」。
このイヤホンの名前は「Ember」。
国内のイヤホンレビュアー・ふぐみかん氏と中国メーカーKiwi Earsが共同開発したIEM(インイヤーモニター:遮音性の高いカナル型イヤホン)です。
ほぼ同じタイミングで、海外の人気レビュアーZ ReviewsとメーカーZiiGaatが手がけた「Thunder」も登場しました。
どちらも、レビュアー自身の好みを音作りに反映させた、いわば”監修モデル”です。
イヤホン選びで失敗したくない読者にとって、レビュアー監修モデルは「誰かの耳で選んだ答え」を手に入れる近道になります。
この記事では、両モデルの仕様と、開発者本人が明かした狙いを整理します。
先に結論をまとめると:
– Kiwi Ears×ふぐみかん「Ember」は2DD+4BAの6ドライバー構成、医療グレード樹脂シェルで価格23,100円(税込・2026年10月9日発売)
– ZiiGaat×Z Reviews「Thunder」は1DDのベース重視チューニングで、現地価格139ドル(日本円の正式表記は確認できず)
– 開発者のふぐみかん氏は自身のレビューで「サブベースとキレ」を狙った音作りだと説明している
ふぐみかん氏が明かした、Emberの音作りの狙い
Emberの開発者であるふぐみかん氏は、YouTubeでのレビュー動画をXに投稿しています。
投稿では「サブベースとキレのイヤホン、欲しいので作りました」と、開発の出発点そのものを明かしていました。
自分が欲しい音を、自分で形にしたということです。
自分で採点するなら甘くなりそうなところですが、本人は「自分で納得して発売したので★5は付けないのが失礼だと思いまして」と、納得した上での★5だと説明しています。
【★5】 Kiwiears Ember をレビュー!サブベースとキレのイヤホン、欲しいので作りました。【$135】 https://t.co/yGST87FAHX @YouTubeより
— ふぐみかん🐡🍊 (@hommageI9) 2026年9月19日
★5つけるか悩みましたが、自分で納得して発売したので★5は付けないのが失礼だと思いまして。… pic.twitter.com/Icaq5TjbzW
この投稿が出たのは2026年9月19日で、Emberの正式発売(10月9日)より前の時点です。
発売前からレビュアー本人が手応えを語っていたことになりますが、これはあくまで開発者1人の評価であり、購入者側の反応ではありません。
そこで、実際の仕様がどうなっているのかを確認してみました。
Ember「2DD+4BA」とThunder「1DD」、実際のスペックを確認する
Emberの「2DD+4BA」とは何を指すのか
Kiwi Earsの公式サイトによると、Emberはダイナミックドライバー(DD:振動板を直接動かして音を出す方式)2基とバランスドアーマチュア(BA:小型で高域再生に強い方式)4基を組み合わせたハイブリッド構成です。
低域用に10mm、低中域用に6mmのドライバーを搭載し、中域・高域にはカスタムチューニングのBAを2基ずつ割り当て、3ウェイのクロスオーバー回路でつないでいます。
感度は110dB SPL/mW、インピーダンスは19Ωと公式スペックに明記されています。
筐体は医療グレードの樹脂製で、色は半透明のオレンジ(公式表記では「flame-colored」=炎色)。
ケーブルは0.78mmの2pin規格で着脱でき、価格は国内の販売店で23,100円(税込)、発売日は2026年10月9日でした。
Thunderの「ベースヘビー」、1DDでどう低音を出すのか
一方のThunderは、Emberのようなハイブリッド構成ではなく1DD(ダイナミックドライバー1基のみ)というシンプルな構成です。
ZiiGaatとLinsoulの公式ページでは、新開発の10mmダイヤモンド振動板(DLCコーティングを施したPEEKダイアフラム)を採用し、応答速度と耐久性を高めたとしています。
音の方向性については、公式に「16dBのベースシェルフ」という表現があります。
低域だけをまとめて持ち上げるチューニングを指す言葉で、サブベース(重心の低い超低音)を強調しつつ、2.8kHz付近の高域カーブで声や楽器の輪郭をはっきりさせる狙いだと説明されています。
販売元のLinsoul JPは、Xの公式アカウントで「ドライバー構成:1DD ▶$139」と価格・仕様を告知し、販売ページへのリンクを添えていました。
#ZiiGaat x Z Reviews: Thunder
— Linsoul_JP(リンソウル-ジャパン) (@Linsoul_JP) 2026年9月30日
⚡️ドライバー構成:1DD
▶$139
Linsoul:https://t.co/ouEZei05vZ
ZiiGaat:https://t.co/9Fbu2ERx6W pic.twitter.com/Vy8fpCkjqN
この告知は2026年9月30日の投稿で、メーカー公式の発表です。
日本国内の通販サイトでは円建ての価格が見つからず、現時点では現地(米ドル)価格のみが確認できる状態でした。
低音重視のイヤホンを選ぶとき、何を見ればいいのか
Thunderのように「ベースヘビー」をうたうIEMは珍しくありませんが、同じ”低音強め”でも仕組みは一様ではありません。
1DD構成は振動板1枚で広い帯域を鳴らすぶん低域の量感を出しやすい一方、中高域との干渉が起きやすい特性があります。
EmberのようにDDとBAを組み合わせる方式は、低域と中高域を分担させることで干渉を抑えやすくなりますが、クロスオーバー設計の難易度が上がります。
購入前に確認したいのは、公式スペックに「ベースシェルフ」や「サブベース」といった低域を強調する記述があるか、そして振動板の素材・口径が明記されているかどうかです。
感度とインピーダンスの数値も、再生機器との組み合わせで音量や駆動のしやすさに直結するため、購入前に見ておくと失敗が減ります。
Shiritomo GADGET編集部の考察:レビュアー監修モデルという売り方
EmberとThunderに共通するのは、無名のメーカーが「誰かの名前」を借りて音を説明させる売り方です。
ポタ・オデ(ポータブルオーディオ)市場は海外の新興メーカーが次々と参入し、スペック表だけでは差が伝わりにくくなっています。
特定の音の好みを持つレビュアーの名前をモデル名に冠すること自体が、購入者に向けた”音のサンプル”として機能しているように見えます。
この手法は中国系の新興ブランドで先行していますが、国内レビュアーを起用したEmberのような例はまだ少数派です。
発売直後に開発者本人が評価を公開する構図も、従来の「メーカーが発表し、第三者が後から評価する」順序とは違います。
評価の客観性には注意が必要ですが、企画の意図を当事者が直接語る発信の形は、読者が仕様の背景を理解しやすくなるのではないでしょうか。
まとめ
Kiwi Ears×ふぐみかんの「Ember」は2DD+4BAで23,100円、ZiiGaat×Z Reviewsの「Thunder」は1DDで139ドルと、構成も価格帯も異なる新作IEMです。
どちらもレビュアーの好みを反映した”監修モデル”という点は共通しており、スペックと開発者本人の発言を重ねて見ると、それぞれが目指した音の方向性が見えてきます。
この記事で取り上げた製品
Kiwi Ears Ember
ZiiGaat Thunder
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