GoogleとClaudeのプライバシー設定、Xで広がる注意喚起
7月30日。
この一つの日付を境に、Googleで検索した画像や声が、静かにAIの教材へと変わります。
同じ週、Anthropic(Claudeを開発するAI企業)の共有チャット機能でも別の問題が発覚しました。
ユーザーが「知り合いにだけ見せたつもり」だったやり取りが、Google検索経由で誰でも見られる状態になっていたのです。
Googleは検索利用履歴の設定を、Anthropicは共有機能の作り込みを、それぞれ理由は違えど同じ「初期設定のまま使い続けた人」を巻き込む形になった格好です。
検索エンジンもAIチャットも毎日触るという人ほど、他人事ではない話です。
先に結論をまとめると:
– Googleは7月30日の規約更新で「検索サービスの履歴」の扱いを拡張し、画像・音声などがAI学習に使われる可能性がある設定がデフォルトでオンになっている
– Claudeの共有チャット機能はページに「noindex(検索エンジンに登録させない)」タグが抜けていたため、公開リンクがGoogle検索に登録され、APIキーや個人情報が閲覧できる状態になっていた
– Anthropicは7月27日までにGoogle側の登録を解除する対応を終えたが、Bing など他の検索エンジンには残っている可能性があり、共有履歴の確認が推奨される
何が起きたのか——Xで同時に広がった二つの警告
きっかけは、Googleの利用規約が7月30日に大幅改定されるという情報でした。
検索や音声入力で使ったデータが保存され、AIモデルの学習に使われるようになるという趣旨の投稿がXで急速に広まりました。
「初期設定ではすでにオンになっている」という一文が、多くの人に自分のアカウント設定を確認させるきっかけになったようです。

Googleの利用規約変更で、保存した内容がAI学習に使われてしまうらしいと見かけて、急いで設定変更した。
— アザカ/azaka (@a_z_a_k_a) 2026年7月24日
規約なんていっつも読まずに削除しちゃってるからいけないなあ…
この投稿が示すように、Googleアカウントの「データとプライバシー」画面を開き直す人がここ数日で急増しているようです。
ちょうど同じタイミングで、今度はAnthropicのClaudeを巡る別の騒動もXを賑わせ始めました。
ただ、この二つは別々の話に見えて、根っこにある問題は共通しています。
次の章で、それぞれ何が起きていたのか一次情報を確認していきます。
調べて分かったこと
なぜ検索履歴の設定が今、問題になっているのか?
TechCrunchの報道によると、Googleは2026年6月ごろから「検索サービスの履歴」という新しい設定項目を静かに追加していました。
この設定は、Googleレンズで撮った画像・音声検索の録音・アップロードしたファイルなどが対象です。
Google検索だけでなく、マップ・ショッピング・フライト検索・ホテル予約・翻訳・ニュースといった幅広いサービスをまたいで適用されます。
厄介なのは、以前から「ウェブとアプリのアクティビティ」をオフにしていた人でも、この新設定は別扱いで初期状態がオンになっているという点です。
つまり、過去にプライバシー設定を一度見直した経験がある人ほど「もう対策済みだから大丈夫」と思い込みやすい構造になっています。
Google側は、学習に使う際はアカウントとの紐付けを外して匿名化すると説明しています。
ただ、免許証や自宅の外観が写り込んだ写真、家族の声が入った録音などをうっかり検索に使っていた場合、設定の見直しを後回しにするほどリスクは積み上がります。
Claudeの共有チャットでは何が起きていたのか?
もう一つの騒動は、Claudeの「共有(Share)」機能を巡るものです。
Claudeには、会話やコード成果物(アーティファクト)を公開URLとして発行し、リンクを知っている人にだけ見せる機能があります。
ところがこのページには、検索エンジン向けの「noindex」タグ(検索結果に載せないよう指示するHTMLの1行)が設定されていませんでした。
その結果、SNSや掲示板に貼られた共有リンクをGoogleのクローラーがそのまま巡回・登録してしまいました。
「リンクを知っている人だけが見られる」はずのページが、「検索すれば誰でも出てくる」ページに変わっていたのです。
海外の開発者アカウントがこの問題を大きく取り上げ、Xで急速に拡散しました。
Claudeに深刻なプライバシー問題が起きている。
共有機能で作った公開リンクが検索エンジンに登録されてしまい、APIキーや資格情報、暗号資産ウォレットの情報が検索で見つかる状態になっている。
実名・住所・電話番号入りの履歴書なども見つかっている——という趣旨の投稿です。
CLAUDE HAS A SERIOUS PRIVACY PROBLEM RIGHT NOW, A HUGE NUMBER OF SHARED CONVERSATIONS ARE PUBLICLY INDEXED ON GOOGLE FOR ANYONE TO FIND
— Om Patel (@om_patel5) 2026年7月26日
when you use claude's share feature it makes a public link. it turns out those links got indexed by search engines, so "share with anyone who… pic.twitter.com/vvGeKW76F5
このアカウントは続報として、チャット本文だけでなく共有された成果物も同様に検索エンジンに登録されていたと報告しています。
社内ダッシュボードや事業計画、医療データを含む臨床試験の要約まで見つかったといいます。
「共有」と「公開」の境界があいまいだったことが、想像以上に広い範囲のデータ露出につながっていました。
なお、いずれの投稿も海外の英語圏アカウント発ですが、指摘している事象自体はClaudeの日本語ユーザーにも共通して起こり得るものです。
Anthropicはどう対応したのか?
海外メディアの報道を総合すると、この問題は7月25日ごろ、海外のコミュニティサイトで「site:claude.ai/share」という検索コマンドを使ったユーザーが偶然発見したのが発端とされています。
話題が拡大した7月26日以降、Anthropicは共有ページにnoindexタグを追加する対応を進めました。
Google側の検索結果からは、7月27日までに多くのページが削除されています。
ただし、Bingなど他の検索エンジンや、すでに保存・転載されたページについては露出が完全には解消されていない可能性があるとも指摘されています。
Anthropicはこの件について、システムの不具合やデータ漏えいではないとしています。
共有機能の設計上の想定不足によるものだとしており、非公開のチャットは初期設定のまま影響を受けていないと説明しています。
とはいえ、過去に共有リンクを発行した記憶がある人は、設定画面の共有履歴から内容を見直しておくと安心でしょう。
Shiritomo AI 編集部の考察:「初期設定まかせ」が一番危ない
今回の二つの騒動に共通しているのは、ユーザーが意図的に情報を公開したわけではないのに、初期設定やシステムの作り込みの都合で公開範囲が広がってしまったという構図です。
SNS運用やAIツール活用の現場でも、新機能をリリースする際に「デフォルトでオンかオフか」「共有範囲がどこまで広がるか」を利用者に丁寧に説明できているかどうかが、後の信頼を大きく左右します。
特にClaudeのケースのように、「リンクを知っている人だけ」という体感と「検索すれば誰でも見つかる」という実態にズレが生じると要注意です。
ユーザー側が自衛のために設定を毎回チェックする手間を負うことになってしまいます。
企業でAIツールを業務利用している担当者は、共有機能を使う際に「このリンクは検索エンジンに登録される可能性があるか」を確認する習慣を、社内ルールに組み込んでおくとよさそうです。
まとめ
Googleは7月30日の規約更新で検索履歴のAI学習利用範囲を広げ、Claudeは共有チャット機能の設定不備でAPIキーなどが検索エンジンから閲覧できる状態になっていました。
どちらも「初期設定のまま」だと影響を受けてしまう点は共通しているため、Googleアカウントの「データとプライバシー」設定と、Claudeの共有履歴の両方を一度確認しておくことをおすすめします。
