新技術はまず高額機種のはずが——DUNU、初のMEMS搭載を4万円台の「PRS6」にぶつけた理由
41,800円。
中国のイヤホンブランドDUNUが9月10日に発売した新型イヤホン「PRS 6」の価格です。
新しい駆動方式は普通、数十万円クラスの上位機種にまず投入され、数年かけて価格帯を下げていくのが業界の相場観でした。
ところが今回、DUNUが自社ブランドとして初めて採用したMEMSドライバー(micro-electro-mechanical systems:半導体の微細加工技術で作る極小サイズの音響素子)は、いきなりこの価格帯に投入されています。
同時発表されたPRS 5は26,980円。
2機種とも複数のドライバー(音を出す振動板)を1つの筐体に詰め込んだ、いわゆるマルチドライバー型のイヤホンです。
イヤホンの新製品情報を追っている人にとっては、価格と技術の組み合わせ方そのものが注目ポイントになっています。
先に結論をまとめると:
– PRS 5(26,980円、1DD+3BA+1マイクロプラナー)とPRS 6(41,800円、1DD+4BA+1MEMS)の2機種構成で、PRS 6はDUNU初のMEMSドライバー搭載モデル
– 新技術のMEMSドライバーを、上位フラッグシップではなく4万円台のモデルに先に投入したのが今回の特徴
– PRS 6はすでに9月10日発売済み、PRS 5は9月末発売予定
発売直後から反応が広がっている
DUNUの発表やAV Watch、PHILE WEBなど複数の専門メディアの報道によると、PRS 6は発売直後から注目を集めています。
象徴的なのが、ヨドバシAudioの公式アカウントが9月10日に投稿したプレゼント企画です。
PRS 6を1名にプレゼントする内容で、1,300件を超える「いいね」を集めています。
/
— ヨドバシ@オーディオ専門 (@Yodobashi_Audio) 2026年9月10日
DUNU初のMEMSドライバー搭載✨
\
高解像度で正確な空間表現により、
音楽はもちろん映画やゲームまで
臨場感あふれるサウンドを楽しめます🎵
DUNU PRS 6を1名様に🎁
➡https://t.co/VhFLdbRM51
🔁フォロー&リポスト
💬このイヤホンで聴いてみたいみたい曲を✍️
9/16まで‼️ pic.twitter.com/chMpI8D3YK
投稿に添付された画像には、紫とピンクの結晶模様が入ったPRS 6の筐体が写っており、「DUNU PRS 6」という製品名がグラフィック上に明記されています。
フォロー&リポストで応募でき、聴いてみたい曲をリプライで投稿する形式が取られていました。
家電量販店の音響ブランド公式アカウントが発売直後にこうした企画を打つこと自体、新製品への注目度の高さを裏付ける材料といえそうです。
DUNU初のMEMS採用という技術的なニュースバリューと、発売直後のプレゼント企画という販促の動きが重なったことで、PRS 6は複数の角度から話題になっている状況です。
ただ、この反応だけでは、PRS 5とPRS 6が具体的にどう違う製品なのかまでは分かりません。
そこでスペックを一次情報で確認してみました。
調べて分かったこと
PRS 5とPRS 6、具体的に何が違うのか
DUNUの発表やAV Watch、PHILE WEB、mimiオーディオなど複数の専門メディアの報道を確認したところ、両機種のスペックは次のように整理できます。
PRS 5は1DD(ダイナミックドライバー:一般的なスピーカーと同じ構造の振動板)+3BA(バランスド・アーマチュア:小型で高域再現に強い駆動方式)+1マイクロプラナー(薄膜を振動させる平面駆動型ドライバー)の5ドライバー構成で、価格は26,980円、発売は9月末が予定されています。
PRS 6は1DD+4BA+1MEMSの6ドライバー構成で、価格は41,800円、発売日は2026年9月10日です。
公表されている数値では、再生周波数帯域が5Hz〜40kHz、インピーダンスが43Ω、感度は112dB/mWおよび125dB/Vrmsとなっています。
MEMSドライバーの採用はDUNUにとって今回のPRS 6が初めてで、半導体プロセスで作られる極小の振動板を最上位の高域再生に充てる4ウェイ構成(ダイナミックドライバーが低域、バランスド・アーマチュアが中域と高域、MEMSが超高域を担当する設計)が採られています。
なぜ今、MEMSドライバーなのか
MEMSドライバーは、スマートフォンのマイクなどにも使われている半導体加工技術を音響用に応用したもので、従来のバランスド・アーマチュアよりも量産時の個体差を抑えやすいとされる技術です。
ワイヤレスイヤホンやフラッグシップ級のインイヤーモニターの分野では、ここ数年で採用例が増えてきており、DUNUが自社ブランド初のMEMS搭載機を4万円台という比較的手の届きやすい価格帯に投入したことは、この技術がハイエンド専用ではなく中価格帯にも降りてきた事例として位置づけられそうです。
一方のPRS 5は、マイクロプラナー(平面駆動型ドライバーの小型版)を採用しつつ2万円台に価格を抑えており、2機種を並べることで「万能に使えるPRS 5」「解像感を求めるならPRS 6」という住み分けをユーザーに提示する狙いがあるとみられます。
Shiritomo GADGET編集部の考察
今回のPRSシリーズで興味深いのは、DUNUが「初のMEMS搭載」という技術的な目新しさを、フラッグシップではなく4万円台のモデルにぶつけてきた点です。
新しい駆動方式は、まず数十万円クラスの上位機種で採用され、数年かけて価格が下がっていくのが一般的な流れでした。
今回はその順番が崩れており、技術の目新しさよりも「今すぐ手が届く価格で試せること」を優先した設計判断がうかがえます。
家電量販店の公式アカウントが発売直後にプレゼント企画を打つという販促の動きも見逃せません。
イヤホンは実際に耳に入れてみないと自分に合うかどうか判断しにくい製品であり、SNS上での接点を増やすことは、購入を迷っている層にまず製品名を覚えてもらう入り口として機能しているとみられます。
まとめ
DUNUの新シリーズ「PRS」は、価格帯の異なる2機種にそれぞれ異なる駆動方式を組み合わせた新製品です。
新技術のMEMSドライバーを上位機種ではなく4万円台のPRS 6に先に投入した点が特徴で、PRS 6はすでに発売済み、PRS 5は9月末の発売を控えています。
この記事で取り上げた製品
DUNU PRS5
DUNU PRS6
※ 表示している価格は各ショップの販売価格で、メーカー希望小売価格とは異なる場合があります。価格・在庫はリンク先でご確認ください。当サイトは各社のアフィリエイトプログラムに参加しており、リンク経由の購入により収益を得ることがあります。
さらに深掘りしたい方へ
DUNU PRS 6の技術的な詳細は、AV Watchの特集記事で試聴レポートとともに紹介されています。
DUNU初のMEMS「PRS 6」、マイクロプラナーで2万円台「PRS 5」。
新世代IEM 2機種を聴く(AV Watch)
PRS 6のドライバー構成や発表の経緯については、PHILE WEBの記事も参考になります。
DUNU、ブランド初のMEMSドライバー搭載イヤホン「PRS 6」。
1DD/4BA/1MEMSの6ドライバー構成(PHILE WEB)
PRS 5単体の発表内容は、mimiオーディオの記事にまとまっています。
