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GPT-6 Astra抜きで、GPT-6 Astraを超えた——サカナAIの新モデルが選んだ戦い方

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月12日 更新
GPT-6 Astra抜きで、GPT-6 Astraを超えた——サカナAIの新モデルが選んだ戦い方

Sakana AIが2026年9月11日、新しいAIモデル「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を公開しました。
目を引くのは、コーディング性能を測るベンチマーク「DeepSWE」などで価格が3〜5倍高い他社モデルを上回るスコアを出しながら、OpenAIの最新モデル「GPT-6 Astra」やAnthropicの「Claude Fable 5」シリーズを自社モデルの連携先(裏側で動かす他社AI)に一切含んでいない、と明言している点です。

他社の最新モデルを借りずに、その最新モデルを上回る——一見矛盾したこの言い分の中身を調べました。
AI選びで「どのモデルが一番賢いか」を基準にしている人にとって、見え方が変わってくる話です。

先に結論をまとめると:
– Sakana AIが「Fugu Max」「Fugu Ultra v2」の2モデルを発表、コーディング性能などでGPT-6 Astraを上回る結果を示した
– 両モデルとも、GPT-6 AstraやClaude Fable 5系を自社の連携先(エージェントプール)に含めていない
– 正体は単一の巨大モデルではなく、複数のAIを裏側で指揮して結果をまとめる「オーケストレーション」という仕組み

何が起きたのか

発表直後、AI関連の速報アカウントがX上でいち早く伝えました。

投稿では、コード生成や図表読解でGPT-6 Astraを上回ること、複数のAIを連携させて特定のモデルに依存しない高性能を実現していること、そして安価な廉価版はClaude Sonnet 5より4〜6割安い価格で使えることが紹介されています。

ただ、「複数のAIを連携させる」という説明だけでは、実際にどういう仕組みで動いているのか、価格や性能の中身までは分かりません。
公式発表とベンチマーク結果を確認してみました。

調べて分かったこと

Fugu Ultra v2とFugu Max、何が違うのか

Sakana AIの公式発表によると、今回追加されたのは性能重視の「Fugu Ultra v2」と、コスト重視の「Fugu Max」という役割の異なる2モデルです。

Fugu Ultra v2は、8つの難関ベンチマークのうち5つで最高スコアを記録し、7つで上位2位以内に入りました。
特に図表読解の「Chartography」ではAnthropicの「Opus 5」(27.3点)や「Fable 5」(29.5点)を大きく上回る48.3点を記録し、コーディング力を測る「DeepSWE」では74.3点を出し、価格が3〜5倍高い他社モデルより高いスコアを示しています。

一方のFugu Maxは、NVIDIAのオープンウェイトモデル「Nemotron」系列などを組み込んだコスト重視版です。
出力価格はGPT-5.6 TerraやClaude Sonnet 5、Kimi K3と比べて4〜6割安く、10種類のベンチマークのうち7つで、価格と性能のバランスにおいて最良の水準を示しています。

オーケストレーション型AIとは、そもそも何なのか

Fuguの正体は、単一の巨大な言語モデルではありません。
複数のAIモデルを裏側に抱え、届いたタスクの内容に応じて「どのモデルにどう振り分けるか」を判断し、対話・統合して1つの答えとして返す仕組みです。
利用する側からはOpenAI互換の1つのAPIを呼び出しているだけに見えますが、内部では複数のAIが役割分担して動いています。

Sakana AIは公式発表で、単一の最先端モデルへの依存を前提にしない設計思想そのものを打ち出しています。
1つの巨大モデルで殴り合うのではなく、複数のモデルを束ねる指揮者としての強さを打ち出す狙いがうかがえます。

Sakana AIは今回、Fugu Ultra v2がGPT-6 Astra・Claude Fable 5・Fable 5.1のいずれも連携先に含まずにこの結果を出した、とわざわざ明記しています。
特定の最新モデルに依存せず、既存の中堅モデルの組み合わせだけで高いスコアを引き出せることを示す狙いがあるとみられます。
オーケストレーション型のAIは、単体では最先端に届かないモデル同士を組み合わせて実力を底上げする発想がベースになっているため、頼れる相手が多いモデルに依存しすぎない設計は、この技術の強みをそのまま体現していると言えそうです。

Shiritomo編集部の考察:「1強モデル」から「組み合わせ」への転換点になるか

今回の発表が示しているのは、AIの性能競争が「どのモデルが一番賢いか」から「どう組み合わせて使うか」に軸足を移しつつある、という変化です。
OpenAIやAnthropicが数千億円規模の資金を投じて単一の最先端モデルを鍛え続ける一方で、Sakana AIは既存モデルの指揮に徹することで、開発コストを抑えながら特定領域のスコアを押し上げています。

AIをビジネスで使う担当者にとっては、「一番賢いモデルはどれか」で選ぶのではなく、「自社のタスクに合った組み合わせを選べるか」という視点が今後さらに重要になってきそうです。
すべてのタスクに最上位モデルを使う必要はなく、コスト重視のFugu Maxのような選択肢が実務では効いてくる場面も増えるでしょう。

まとめ

Sakana AIの「Fugu Ultra v2」「Fugu Max」は、GPT-6 Astraなど他社最新モデルを連携先に含めずに一部のベンチマークで上回る結果を示しました。
単一の最強モデルを目指すのではなく、複数のAIを指揮して結果を引き出す「オーケストレーション」という発想が、AI選びの新しい基準になるかもしれません。

さらに深掘りしたい方へ

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