「派手にしたかったから」——レベルファイブが認めたAI映像騒動、日野社長の釈明の中身
「派手にしたかった」。
ゲーム会社レベルファイブの日野晃博社長が、こう釈明しました。
9月10日に配信した新作発表イベント「LEVEL5 VISION2026 II」で使われた映像への批判に対する説明です。
イベント映像の一部にファンが違和感を覚え、生成AIの使用を指摘する投稿がXで急速に広がったのです。
ゲーム業界に限らず、SNS運用やコンテンツ制作の現場で「生成AIをどこまで使うか」を考えている人にとって、今回の一件は他人事ではありません。
何が問題視され、会社側は何と説明したのかを調べました。
先に結論をまとめると:
– レベルファイブの発表イベント映像に生成AI由来とみられる不自然な表現があるとファンから指摘が相次いだ
– 日野晃博社長は「派手にしたかった」ための実験的な使用だったと説明し、発売するゲーム本編には「安易なAI出力データ」を入れないと明言した
– 海外の大手ゲームメディアも取り上げる規模の騒動となり、謝罪の中身自体に「矛盾している」との指摘も出ている
Xで広がった「作画がおかしい」という指摘
騒動のきっかけは、9月10日の発表イベントで流れた新作タイトルの映像でした。
ゲームメディアのAUTOMATONは、日野社長がこの映像について「派手にしたかった」ためと弁明したことを報じています。
レベルファイブ日野社長、“AI盛り込みトレイラー発表会”について「派手にしたかった」ためと弁明。ただ発売するゲームには、“安易なAI出力データ”は入れないhttps://t.co/wV52AasxOP pic.twitter.com/cdP5AbAarx
— AUTOMATON(オートマトン) (@AUTOMATONJapan) 2026年9月12日
同じ投稿では、発売するゲームには「安易なAI出力データ」は入れないという方針も伝えられました。
ただ、この説明だけでは「では発表イベントの映像では何が起きていたのか」が分かりません。
そこで、実際にファンが何を指摘していたのかを確かめてみました。
調べて分かったこと
何が「おかしい」と指摘されたのか
Xユーザーのkyoutaigaharaさんは、問題の映像について具体的な違和感を挙げています。
レベルファイブ「安易なAI出力データは入れない」じっくりAIガチャの結果がコレ?
— 筐体ヶ原キバ子 レトロゲームVtuber (@kyoutaigahara) 2026年9月12日
・AI透かし?ロゴ?を手書きで修正
・カットごとに変わる背景、消えるボール
・ほくろが出たり消えたり https://t.co/cEA1r9maCs pic.twitter.com/uX2EM5dASX
投稿によると、映像内でロゴらしき部分が手描きで修正されたように見えたり、カットごとに背景が変わったりする箇所があったといいます。
人物のほくろが出たり消えたりする箇所もあったとされています。
生成AIによる映像制作では、コマとコマの間で細部の一貫性が崩れる現象がしばしば報告されており、投稿者はその特徴と重なる点を指摘した形です。
なお、この指摘はあくまで投稿者本人の観察であり、Shiritomo編集部として映像そのものを一次確認できたわけではありません。
日野社長は何を釈明したのか
ゲームメディアのファミ通も、日野社長が経緯とお詫びを投稿したことを伝えています。
海外メディアの報道もあわせて確認しました。
日野社長は「シナリオ・キャラクターデザイン・基本設定といった作品の個性に関わる部分はすべて人の手による」とした上で、AIは主に原画をポリゴンモデルへ変換するといった効率化の工程に使っていると説明していました。
あわせて「AIによって生まれた時間を、創作の本質によりあてられるようになる」とも述べ、開発期間を5年から2年へ短縮する目標も明かしています。
一方でXでは、この釈明自体に疑問を投げかける声もありました。
レベルファイブ日野さん、生成AIを使いまくるのは開発期間5年を2年に短縮するためと言ってるけど、そもそも御社の開発が遅れがちなのは社長を含めた社内審査の体制がクォリティ判断を粘りに粘ってなかなかゴーサイン出さないためとご本人も認めていたので、だったら制作現場よりトップをAIに置き換えた…
— 多根清史 (@bigburn) 2026年9月12日
投稿は、開発が長引きがちなのは社内審査体制の問題だと社長自身が過去に認めていたはずだと指摘し、AI活用の理由づけそのものに矛盾があるのではと問いかけています。
海外でも報じられているのか
今回の騒動は日本国内にとどまらず、Nintendo LifeやGoNintendoなど海外の主要ゲームメディアでも取り上げられました。
Nintendo Lifeの記事では、日野社長の説明について「誰もが好意的に受け止めたわけではない」と伝えられています。
「発表イベントではAIを使いながら、製品には使わないと主張するのは信用しづらい」という声も紹介されていました。
国内外で反応の温度差は多少あるものの、「説明と実際の使い方の整合性」が問われている点は共通しているようです。
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
今回の騒動が示しているのは、生成AIの活用そのものよりも、「どこまで使ったのかを開示しないまま公開すること」が批判の火種になりやすいという点です。
日野社長の説明にあるように、効率化目的でAIを使うこと自体は珍しくありません。
ただし発表の場でAIの使用を明示せず、後から指摘されて釈明する流れになると、たとえ技術的な使い方に問題がなくても「隠していたのでは」という印象を持たれてしまいます。
企業アカウントや制作現場でAIを使う担当者に勧めたいことは2つあります。
ひとつは、AIを使った箇所を公開前に自分たちで開示するかどうかを検討すること。
もうひとつは、指摘が出た後の釈明で「何にAIを使い、何を人が作ったか」を具体的に切り分けて説明することです。
技術の是非より説明責任の設計で炎上規模が変わるというのが、今回の一件から見えてきた教訓です。
まとめ
レベルファイブの発表イベント映像をめぐる騒動は、日野社長の釈明後も完全には収まっておらず、海外メディアでも報じられる規模になりました。
AI活用の是非そのものより、使い方の説明が十分だったかどうかが、批判の分かれ目になっているようです。