「PCにRAMがあるのはかなりひどい」――アルトマン氏の発言にX上で反発、DRAM高騰の最中
「個人のPCにRAMが積まれていて、しかもその5%しか使われていないのは、世界的な資源配分の観点から見てかなりひどいことだ」。
OpenAIのサム・アルトマンCEOが、現地時間10月29日に公開されたポッドキャスト「Cheeky Pint」でこう語りました。
発言したのは、DRAM(パソコンの主記憶に使われる半導体メモリ)の価格がAI需要の高まりで高騰し続けている、まさにそのさなかです。
自分のPCやゲーム機にメモリを積むのが当たり前だと思っている人ほど、聞き捨てならない話でしょう。
先に結論をまとめると:
– アルトマン氏は、個人のPCに積まれたRAMは5%しか稼働率がなく、クラウドのデータセンターに集約すべきだとポッドキャストで発言しました
– X上では、アルトマン氏の発言のせいでGPUやRAMが買えなくなっているといった皮肉や反発が見られます
– 発言の背景には、AI向けの需要増でDRAM価格が記録的に高騰している事情があります
何が起きたのか
アルトマン氏の発言は、Tom’s Hardwareなど海外メディアによると「From a global allocation perspective, actually, it’s quite terrible to have everybody have a bunch of the world’s limited supply of DRAM sitting in their own computer and being used 5% of the time(世界的な資源配分の観点から言えば、誰もが世界の限られたDRAM供給の一部を自分のコンピューターに積みっぱなしにして、それが5%の時間しか使われていないというのは、実にひどいことだ)」というものでした。
続けて「供給が制約されたこの状況に対処しようとするなら、クラウド側で最大限利用されるようにすべきだ。
それなのに多くの人の直感は逆を向いている」とも語っています。
Xでは発言が伝わるとすぐに速報として取り上げられました。
BREAKING: OpenAI CEO Sam Altman says having RAM in personal computers is an inefficient use of the world’s limited DRAM supply, arguing it would be better allocated to data centers, per Tom’s Hardware
— unusual_whales (@unusual_whales) 2026年10月30日
ただ、この発言だけを見ていても「なぜこれほど反発を招いたのか」はよく分かりません。
調べて分かったこと
なぜ今この発言が反発を招いたのか?
背景にあるのは、AI向けの需要急増によるDRAM価格の高騰です。
海外メディアの報道によると、32GBのDDR5デスクトップ用メモリキットは、1年前には1〜2万円程度だったものが、2026年10月時点では450ドル(日本円で7万円前後)近くまで値上がりしているといいます。
市場調査会社TrendForceは、2026年第4四半期もDRAM契約価格が四半期比で約20%上昇すると見込んでおり(上昇率自体は第2四半期の約80%、第3四半期の約40%からは鈍化していますが、高止まりが続いています)、AIデータセンター向けの需要が、民生用メモリの生産能力を奪い続けている構図です。
つまり、個人のPCにメモリを積みにくくなっている一因ともいえるAI企業のトップが、「個人のPCにRAMを積むのは非効率だ」と語ったことが、反発の火種になったわけです。
X上では、アルトマン氏の発言と価格高騰を結びつけて皮肉る投稿が見られました。
You're not able to afford GPU, RAM and Storage because Sam Altman thinks that its quite terrible to have DRAM sitting in your computer https://t.co/pjX8IdVo4E pic.twitter.com/9VVb6iLuwm
— NikTek (@NikTek) 2026年10月29日
アルトマン氏個人への反発そのものを示す投稿も見つかります。
Does this guy have any power over us or can we just get him https://t.co/EikI6xgl8b
— Maxy (@maxpinelliart) 2026年10月30日
データセンター中心のメモリ利用は本当に効率的なのか?
アルトマン氏の主張の骨子は「個人のPCでは稼働率5%しかないメモリも、クラウドに集約すれば高稼働率で使い回せる」というものです。
これ自体は、サーバーの仮想化や共有リソースの考え方としては目新しいものではありません。
ただし、この5%という数字についてアルトマン氏自身が具体的な算出根拠を示したという報道は見当たらず、感覚的な数字である可能性が高い点には注意が必要です。
個人のPCには、オフラインで使う・プライバシーを確保する・通信コストをかけないといった、稼働率だけでは測れない価値があることも見落とせません。
ゲームや動画編集のように、応答速度を優先したい用途では、ネットワーク越しのクラウド型メモリでは体感速度が落ちる場面も出てきます。
「使っていない時間が長い」ことと「不要である」ことは、本来イコールではないはずです。
Shiritomo編集部の考察
今回の一件は、AI企業のトップが語る「効率」と、一般消費者が実感する「不便」がすれ違った典型例だと感じます。
アルトマン氏にとっての最適解(クラウド集約)は、AI企業側の経済合理性と強く結びついており、消費者のメモリ調達コストが上がる現実とは別の次元の話です。
SNS上の反発は、単なる感情的な反発というより、「自分たちが払っているコストの原因を作っている側が、効率を説くのはおかしい」という構造的な違和感の表明だと見るほうが近いでしょう。
AI業界の発言を追う際は、発言の論理的な正しさだけでなく、「誰にとっての効率か」を常に分けて考える視点が必要になりそうです。
まとめ
アルトマン氏の「個人のPCにRAMがあるのはかなりひどい」という発言は、DRAM価格が記録的に高騰するさなかに飛び出したこともあり、X上で反発を招いています。
発言の是非はともかく、AI需要が私たちの身近なハードウェア価格にまで影響を及ぼしている現実が、あらためて浮き彫りになった格好です。
パソコンの買い替えや増設を考えている人にとっては、しばらくメモリの値段とにらめっこする日々が続きそうです。

